(湊視点)
まだ、そとは暗さが残っている。
香奈よりも早く起きるのが、ココ最近の日課だ。そして、フランス人形のような美しい顔を見つめる。
やはり、香奈は綺麗だな。まつ毛は長いし、目はパッチリ二重。すらっとした体型に、さらさらの髪。
僕は、香奈の隣に合っているのか心配になる程。
でも、香奈には、記憶がない。
そう考えているうちに、香奈の目が開く。
「香奈。おはよう。今起きた様だね。」
おはよう。みんなにとっては、ただの挨拶にすぎない。でも、僕のおはようは、みんなとは違うんだ、
だって、香奈は、僕のことを知らないんだから、
挨拶って、知り合いとかにすることがほとんどだろう?
いきなり、知らない人から挨拶されて、しかも、起きたら近くにいるなんて、僕だったら殴ってしまうとおもう。
案の定、香奈は驚いたようにこちらを見ている。
「えっと、貴方は、?」
このセリフを聞くのは、何回目だろうか、
「僕は、湊。一応、君の恋人だよ。」
恋人と言って良いが分からないが、一応、記憶が無くなる前は、学校中に知れ渡るほどだった。
すると、香奈は戸惑っている。
それはそうだ。知らない人に加え、恋人だって言われたら、それはそうなる。
「君は、夜、眠ると、記憶が無くなるんだ。」
僕は、香奈のベッドの横にある引き出しから、日記帳を取り出す。
「はい。これ。」
「これは、?」
「君が記憶を無くした時から書いている日記だよ。」
この日記は、すごく大事だ。唯一の、香奈が作った記憶。
香奈の、可愛らしい字。
香奈の書くノートはとても綺麗で、学校の掲示板にも乗るほど。
本当に、完璧だったんだ。
そう考えているうちに、香奈は日記を読み終わったのか、こちらを見てきた。
「読み終わったかい?」
できるだけ、優しく言った。
日記には、親の事や、色んな傷つく内容のものもある。
でも、それでも君は、
「はい。湊さんは、いい人なんですね。」
ほらね、?君は、毎回、僕の事を、褒める。
「そうかい、?」
情けない声で、そう言った。
いったい、君に、僕の情けない所を何回見せているのだろうか、
「あの、なんで、私を振らないんですか、?」
まただ、きっと、僕を心配しているんだろうな、笑
「君は、変わらないね、苦笑」
君は、凄く、心が優しいんだ。それだけは、何があっても変わらない。
「さぁ、お出かけしに行こう。」
「今日は、院内を回ろうか。」
“今日は”そう言ってるが、正直、毎日院内を回っている。
遊園地とか、色んなところに行きたいけれど、急に何か起きたら困る。だから、毎日院内を回っている。
「はい、」
「さぁ、行こう。」
コメント
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お久しぶりの投稿です。 投稿サボって申し訳ない。