赤くん23 桃くん23
幼なじみパロ
「おやすみ」と桃くんと触れるだけのキスをした後、お互いの体をくっ付けて布団に入る。
なんだか心地よくて、不安なんか忘れて目を瞑り眠りにつく。
・
気が付くとそこは五味が散らばった部屋だった。
なんだか見覚えがある。
奥から物音がした。
誰かが近ずいてきている。
本能的に逃げろと言っている。
だけど体は自由に動かなくて怯えるばかりだった。
バンッと音がして目線を向けると髪を掴み女を引きずる男がこっちに近ずいてくる。
女の意識はもう無いのか泣くことも喋ることもなくただぐったりしていた。
男が女を雑に離して俺の方へ近づく。
拳を上げて勢いよく俺の顔を目掛けて振りかざした。
あぁ。
「お父さん」やめて。
痛いよ。
すごく、苦しい。
・
気絶したのだろうか、また気が付くとベットの中にいた。
お父さんがまた来てしまう。
なんだかすごく苦しい。
息ができない。
俺このまま死ぬのかな。
・
桃side
愛する赤に触れるだけのキスをして同じ布団に入る。
しばらくすると赤の寝息が聞こえ俺も眠りに落ちた。
・
意識が浮上しまだボヤけた頭で耳をすますと聞きたくないような呼吸音が聞こえてきた。
桃『赤?』
とんとん、と肩を叩いた時
赤「ひゅっ、はぁっ、やめてッ、はっ」
赤「ごめなさッ、はっ、げほっ、」
やめてと浅い呼吸をしながら連呼する赤。
あぁ。
またか。
いつになったら赤は解放されるのだろう。
・
付き合い始めた頃、赤は一緒に夜を共にすることを遠回しに断ってきていた。
理由があるのだろうと深くは聞かずそのまま時が過ぎていき
付き合い初めて半年頃だろうか、
俺が調子に乗って赤のことを撫でようと手を振りかざした時に赤が異常な程に怯え過呼吸を起こした。
当時の俺は赤がパニックになったことに混乱して上手く対応できてなく余計に悪化させてしまった。
何とか落ち着いた赤の口から出た言葉は「虐待」だった。
夜を共にしたくなかったのは悪夢を見てフラッシュバックをしてしまうから。
そう伝えられて俺は赤の傍で支えようと決めた。
そこからフラッシュバックが起きても赤のことを俺が現実に引き戻してやるという俺が無理やりさせた約束で一緒に寝ている。
桃『赤、大丈夫だよ。』
赤「はっ、はッ、殴らないでッ…」
赤の口から出る言葉に胸が痛くなる。
きっと赤の方が苦しくて胸が痛いよな。
絶対助けてやる。
桃『赤ー、大丈夫だからね』
できる限りはっきりと本人の耳に届くように落ち着いて語りかけ続ける。
赤「はぁっ、げほっ、はひゅっ、」
赤「けほっ…はっ、はッ、」
赤の体がピクっと動き過呼吸も治まったとは言えないが落ち着いた時がチャンス。
桃『赤?聞こえる?』
桃『俺だよ。桃だよ。』
赤「はぁっ、はっ、」
ぽろぽろと涙を流しながら焦点は合ってないが、俺の方を見てくれた。
桃『ここは俺の家。』
桃『俺と赤しか居ないよ。』
赤「はぁっ、はぁッ…、」
桃『赤は23歳、もう大人だよ。』
19の時に家を出て一人暮らしを始めた赤にもうあの家には住んでないことを伝える。
とにかく夢の中で見た過去から現実に引き戻さなければ赤は安心できない。
そう思いながら声をかけ続ける。
桃『赤、俺の事わかる?』
赤「はひゅっ、ぐすっ、…」
俺の事を父親と重ねていつも怯えるからいつも俺は接触せず離れたところから声をかけていたが、赤が俺と目が合った時、もう近ずいていい合図。
桃『赤、怖かったね。』
桃『戻ってこれて偉いな。』
赤「ぅ゙ぁっ、ひくっ、」
桃『もう大丈夫だよ。』
嗚咽を漏らしながら泣く赤を よしよし、と優しく撫でて抱きしめる。
フラッシュバックで使った疲労に勝てずぐでっと俺の肩に頭を預けた赤をそのままベットへ寝かす。
不安そうな赤にキスをして抱きしめながら布団に入った。
桃『頭空っぽにしてゆっくり休め。』
うとうとしている赤にそう伝え、優しく背中を叩いているとすぐに寝息が聞こえた。
明日も早いから俺も寝ようと目を瞑る。
赤がいい夢を見れますように。
𝑒𝑛𝑑
コメント
3件
なんで、そんなに上手なんですか😭
がちで、最高すぎます。ほんとにありがとうございます!!!!! ぴゃさんが書いて下さる作品すべて大好きです!!!((殴