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昨夜いくつかメッセージをやり取りした。おたがいのプロフィールも交換し合った。

彼女の名前は加戸もえ。年齢は20歳。毎日夕方から朝まで居酒屋でアルバイトしている。日中はたいてい寝ているそうだ。

僕の名前は和田森だと答えたら、下の名前は? と聞かれた。和田が名字で森が名前、シンと読ませるんだと答えたら、じゃあシンと呼ぶねと言い出した。僕は26歳。年下のくせに調子に乗るなと答えたら、シン君にすると譲歩してきた。なんか疲れたので、それでいいよと答えた。


萌さんは正午から少し遅れて来た。黒いワンボックスに乗って。彼女はそれをローンで買って、ローン返済はまだ五年後まで続くそうだ。

車は昨日も見ていたから驚かなかったけど、運転席に座る彼女の服装が何かのスポーツの青地のユニフォームだったから驚かされた。両頬にも青いタトゥーシール。

「何のコスプレ?」

「コスプレ? 遊びじゃねえよ。これを着ればともに戦ってる気分になれるだろ?」

「戦うって、今日はデートじゃなかったの?」

萌さんがデートコースは任せろと言うから任せてしまったことが、今さらながら悔やまれた。青いユニフォームを着た集団にリンチされるとか、ヤンキー同士の抗争に巻き込まれるとか、恐ろしい情景ばかりが頭に浮かんだ。

「時間がもったいねえだろ! 早く乗れよ!」

遅れてきた人に時間がもったいないと言われるのも理不尽だと思いながら、僕はぎごちなく助手席に乗り込んだ。


車はひたすら北へ。つまり 愛鷹あしたかの山々に向かって疾走した。人家がどんどん少なくなり、車窓からの景色は緑色が多くなっていく。

萌さんのヤンキー仲間たちが山で待ち構えていて、殺されて埋められるんじゃ?

妄想はますます過激になっていく。萌さんは彼女自身のことを底辺だと言ったけど、底辺は僕の方だ。仕事以外の楽しみは月に一度の歌会だけ。でも参加者は年寄りだけ。その歌会さえもう行くのをやめようとしている。僕が萌さんと友達になったのは、代わり映えしない毎日をちょっと変えてみたかっただけ。それさえ望んではいけないことだったのか?

君はスタジアムに吹く風のように

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