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年齢操作
Hなし
暴力表現少々あり
伏せ字なし
約3800字
解釈違いあります
ご本人様に関係ありません
ようやく次が最終話
甲斐田晴⋯大学3年生、根暗、不破への愛は誰にも負けないぐらい大きくなった
不破湊⋯社会人でホスト、姫より甲斐田で、どの子のアフターにも行っていない
第5話.陰キャとホストはすれ違う
fw視点
(湊!今日こそアフター行こうよ!)
『ごめんね姫、今日も行けなくて⋯』
(はあ?!最近ずっとじゃん!いつまで待てばいいのよ!)
『うーん⋯⋯』
今日の夜も甲斐田と会う予定で、姫たちからのアフターの誘いは断るしかない。
俺自身姫たちのアフターより甲斐田とのデートの方が嬉しい。ようやく覚悟が決まったのだ。今夜仕掛ける予定だし、絶対に成功させたいから。
(いい加減にしてよ!私のこと大事って言ってたじゃない!あれは嘘だったってこと!?)
『嘘じゃないよ、今日は先に予定が入ってたからってだけで』
(いつもそうじゃん!何の予定なのかも言ってくれないし!あと私知ってるんだからね!
あんたが私とのアフター断った日にひとりで居酒屋にいたこと!私の誘い断っておいて一人の時間優先するとかおかしいでしょ!)
『そ、それは⋯』
おそらく先週のことだ。甲斐田が時間より少し遅れると言ったから、先に入って待っていた時だろう。
見られていたなんて⋯。でもこの姫は俺が男と遊ぶことさえ嫌がる。男友達よりも優先して欲しいというわがままな子だ。あのあと甲斐田と会ったんだ、なんていったらブチギレるに決まってる。
『ごめん、あの日少し具合が悪くて、一緒にいたら気分悪くさせちゃうかなって思ったんだ』
精一杯の言い訳だった。しかしこんなものが通じるわけもなく。
(うそよ!私といる時ずっとニコニコしてたじゃん!)
そりゃ営業なんだから笑うに決まってんだろ⋯何当たり前のこと言ってんだよ⋯。
(ねえ湊、お願いだから今日はアフター来て。⋯⋯もし来ないんだったら⋯)
彼女はそう言って、自分のバッグから折りたたみ式のナイフを覗かせた。
『っ⋯⋯』
(刺すよ⋯?)
それはおもちゃでも脅しでもなく、本当に俺を刺すつもりで持ってきたものだった。
素直に怖くて、ものすごく葛藤した結果、俺は一瞬席を立ち、甲斐田に『今日は会えない、ごめん』と連絡を入れた。
悔しかったし怖かったけど、何より甲斐田に申し訳なくて、でもその分ずっと我慢してくれた姫にも詫びなくてはいけない。
俺は自分の欲望のために他人を苦しめ、結果的に自分の首を絞めていた。
こんな今でさえ、頭から甲斐田の笑顔が離れなくて、姫を一番に出来ないことが恥ずかしかった。
会いたかった。声が聞きたかった。また手を握りたかった。
俺が悪いんだ、全部俺がいけないのに⋯心のどこかで誰かに罪を擦り付けようとしている。
俺ほどカッコ悪い人間などいないだろう⋯。
──────────
kid視点
家を出ようとした時、不破さんから残念な連絡があった。
初めてあんなこと言われたので、とても驚いたし悲しかった。
ただ理由が気になって何故か尋ねたのだが、それに対して返事が来なかった。
電話は営業中だろうからかけられなかったが、やはり気になり家を出た。
向かい風がやけに冷たくて、まるで不破さんに会うことを辞めさせたがるように思えてょうがない。
でも今日告白すると決めたんだ。なんとしてでも会いたい。
到着した歌舞伎町はいつも通り賑やかだ。まるで世界が違うこの明るい街に、いつも少し怖気づいて繁華街を抜ける。
人のいない路地を通り不破さんのいるお店まで行こうとした時。
「⋯え?」
不破さんの後ろ姿を見た。あんなに煌びやかなスーツを着ている人などいない。その上あの背格好や髪型から、確実に不破さんだ。
しかし隣には女性がいる。不破さんの腕にしがみつき、距離は普段の僕と不破さんよりも圧倒的に近い。
何あれ⋯約束なしにしてなんだと思ったら女の人とデートって⋯どういうつもり⋯?
ふつふつと湧き上がる怒りは抑えきれず、2人に近づく。
不破さんの肩に手を伸ばしグイッと後ろに引っ張ると、不破さんは体制を崩し、必然的に女性が不破さんから手を離した。
『いたっ⋯え、甲斐田!?』
「不破さん、何やってるんですか?今日は僕と会う予定でしたよね?」
『あ、いやそれはわかってたんだけど!』
「じゃあ何してるんですか」
『⋯っ』
(ちょっと何あんた、今湊といるのは私じゃない!邪魔しないでよ!)
女性はもう一度強引に不破さんの腕を掴む。まるで彼女気取りで、余計に腹が立つ。
「知りませんよそんなこと、元々僕と会う予定だったんですから。不破さん、なんで僕じゃなくてこの人を優先したんですか?」
(はぁ?そんなの私の方が好きだからに決まってるじゃない)
「あなたに聞いてないんですが」
(チッ⋯何なのこいつ)
『⋯ずっと甲斐田と会ってたから、この子とアフター行けてなくて⋯それで行こうって言われて⋯』
(あぁ何、今までアフター行けてなかったのはこいつのせいだったのね?)
『え、いや違うそういうことじゃ⋯! 』
(なんだそうだったの。湊、嫌だったら言っていいのよ、私がいくらでも手伝ってあげるから)
『やめて!おい!!やめろ!!!』
そう言って彼女はバッグに手を突っ込んだ。不破さんは彼女のその手を止めようとするが、彼女の方がほんの少し手早かった。
出てきたのは折りたたまれたナイフ。くるっと回転し中から覗いた刃は、僕を向いていた。
「⋯は?正気かお前」
(正気も何も、あんたが湊を苦しめたんじゃない!そのせいで私がどれだけ辛かったか⋯知らないでしょ!!)
怒号をあげ彼女はナイフを振り上げる。
だが不破さんが僕を庇おうと前に出てきた。
─────────
彼のこういう、自己犠牲なところが好きじゃなかった。
自分の身よりも僕を優先する姿が、僕の心配する気持ちを気にしてくれていないようで。
優しくてカッコイイ彼は、いつか僕に恩返しがしたかったという。
あの日、ガラスの瓶から彼を守ったことをすごく喜んでくれていた。『俺も甲斐田を必ず守るからな!』と笑顔で言ってくれたことをよく覚えている。
でもここまで体を張って欲しくなんかない。もっと自分を大事にして欲しい。
欲を言えば、僕が、彼を大事にしたい。彼に危害を加えるものは全て僕が守る。そうしたらきっと、もっともっと僕を好きになってくれるかな⋯⋯
─────────
なんて思ったのがいけなかったのか、僕を庇った彼を腕に抱き、後ろに引き下げる。同時にナイフを掴もうと手を伸ばす⋯⋯が
グサッ
「っ⋯⋯!」
ナイフを止めようとした僕の手のひらに刺さった。ナイフは手を貫通し、血がダラダラと腕を伝う。感じたことのないような痛みに、声も出なかった。
『⋯甲斐田ぁぁぁ!!!!』
僕の腕を振りほどこうとする不破さんの力は異様に弱い。力が入らないのだろうか。
ものすごい剣幕で不破さんは彼女を睨みつけ、
「ふざけるな!おい、離せ!!そのナイフを離せ!!甲斐田が⋯!!」
(⋯なんでよ⋯⋯私は湊のために⋯! )
「いい加減にしろ!!お前にこんなことされた所で嬉しくもなんともない!!どっか行け!二度とその汚ねえ顔を見せるな!!」
不破さんは大声で彼女に怒鳴り散らす。痛みより、こんな風に叫ぶ不破さんを見た事がなくてそれに驚いた。
彼女は潔くナイフから手を離し、バッグを持ってその場を走り去っていった。
それと同時に不破さんは僕の腕を強引に解き、スマホで救急車を呼ぼうとする。
「不破さん、いいですよ⋯そんな事しなくても大丈夫だから」
『ダメや甲斐田!だって血が⋯止まらんやんか!』
何も言えずに固まっていると、路地の入口から一人の男性が走ってきた。
(あの、大丈夫ですか?今ちょうど見てて、近くにいた人があの女性を今足止めしてて、で警察にも連絡したんですが⋯ )
「あ、わざわざありがとうございます⋯」
『すんません!助かります!』
男性はゆっくり僕の手からナイフを抜き、すぐにハンカチで抑えてくれた。しかし血は止まらない。痛みに耐えられず座り込み体が震えていると、不破さんが背中に手を当ててくれた。
『ごめん⋯俺が甲斐田との約束守ってれば、こんな怪我せんかったのに、、ごめん』
「⋯いや、そもそもあの連絡もらって家を出た僕がいけないんです⋯⋯どうしても今日会いたくて」
『⋯⋯俺も会いたかったよ』
そう言った不破さんを見ると、今にも泣き出しそうな顔で僕の手を見つめていた。
その後来た警察により、女は逮捕された。僕の手は近くの病院で治療を受け、家に帰してもらえた。
でもその家に不破さんは自ら『ついて行く』と言って、刺されていない方の手を握ってきた。とても可愛くて、女性とデートしていたことを責める気にはとてもなれなかった。
─────────
マジで長くてすみません
次回あーる入ります
おまたせしてます
コメント
5件
今回も最高すぎました❤️やんさんの作品、今まで見た中で1番好きすぎて生き甲斐になってます🤣続きも無理しない程度に頑張ってください🔥💪応援してます🥰
今回も最高でした!!!!!!!!めっちゃ長くて嬉しいです!!!!!次も楽しみに正座で待ってます!!!!!(((o(*゚▽゚*)o)))🫶🩵