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ネコの退屈
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「何してるんですかぃ?真夜。」
その声に真夜は縋りたくて仕方がなかった。でも、できなかった。
「お前、誰でィ?」
沖田総悟だった。
真夜はカタカタと震えることしかできない。
「へー起きてたんだ。」
あの人はそう言った。
至って普通の声音で。
「この時間はやってねぇんでぇ。帰ってもらってもいいですかぃ?」
後ろにたっているであろう沖田総悟は何事もないようにあの人に声をかける。
「うーん、嫌かな。」
あの人は沖田総悟の方を振り向いた。
サングラスをかけ、黒の着物に袖部分が赤色で、好青年のような男だった。
「ふーん、真夜もすみにおけねぇーや。」
沖田総悟がニヤニヤしながら、真夜にそうなげかけた。真夜は下を向いていた。
「でしょ?」
あの人は満足そうに言った。
「こんな夜更けじゃ怪しさ満載ですぜィ?」
「お前は、誰だ」
そう言った瞬間、あの人は笑った。
夜に響くような笑い声だ。
「アハ、アハハハハハハハハ!
アハハハハハハハハハハハ!!」
沖田総悟は、どうじなかった。
真夜は震えていた。
「あーあー、面白くない。」
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真夜side
「あーあー、面白くない。」
沖田さんの刀の抜く音が聞こえた。
ダメだよ、やめて、沖田さん、
「真夜、どこに連れていく気でぇ?」
私は沖田さんの方を見れなかった。
あの人は、にやぁと深く笑ってた。
「“憂鬱組”へだよ?」
私を引き寄せたあの人は、私の首に顔を寄せた。
血を飲む気だ。
「“憂鬱組”!? てめぇ、!」
沖田さんがあの人に切りかかるが、それを難なくあの人は刀で受け止めた。
「うるさいなぁ。」
沖田さんをぶっ飛ばした。
塀に当たったが、沖田さんは立っていた。
「僕の名前は、椿。“憂鬱組”の組長だよ。」
椿は、私を置いて沖田さんに切りかかる。
約束が違うよ、椿。
「やめ、て、椿!」
そういうと沖田さんの顔スレスレで刃先を止めた。
視界が滲む。目が熱い。
「真夜も僕の邪魔するの?」
私は首を横に振った。
「誰も、殺さないで、私の大好きな人達、を、殺さないで。」
私は土下座した。
額を地面に擦り付けた。
「真夜、あんた、」
椿は、刀をボトボトッと地面に落とした。
刀は真っ赤な椿になった。
「わかったよ。真夜。君の大好きな人達は殺さないよ。約束しよう。」
でもね、真夜。
「沖田総悟は、殺さなきゃ。」
私はバッと視線を戻した。
「彼は、僕の邪魔をしたんだ。」
しょうがないよね。と、椿は言った。
「真夜、どうすればいいか、わかるよね?」
分かる。わかるんだ。
そしたら、もうみんなに会えなくなる。
でも、ここで私が言わなきゃ、沖田さんも、土方さんも、近藤さんも、終にぃも……、
山崎さんも、死んじゃう。
「契約、する、椿と、いっしょ、に言って契約する、」
沖田さんは私に怒鳴るように質問した。
「契約、ってなんだ、!真夜、何する気なんだ、!?」
ドゴッ!!!!!!!
椿は、沖田さんを塀へぶつけた。
かハッと息が漏れた声が、苦しそうな表情が、私の目から離れない。
「お願いします、私、と契約して、くださ、い。
もう、江戸に帰れ、なくても、みんなに会え、なくても、いいから、」
だから、だから、
「みんなを殺さないで、沖田さんを、殺さないで、」
椿はいつものように優しく笑った。
「わかった。行こっか。真夜。」
私のことを何事も無かったかのように横抱きにした。沖田さんは、瞳孔が開ききってて私と椿を見ていた。
「行くな、真夜!!」
行かなきゃ、みんな、椿に殺されちゃう。
私の大好きな人達が、大好きな場所が無くなっちゃうのは嫌だよ。
沖田さんの私のことを呼ぶ声が聞こえる。
私は涙が止まらなかった。
「(もう、彼に会えない。)」
山崎さんに、会えないんだ。
この事実がどうしようもなく痛かった。