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雨が降りしきる夜に
第一章 雨と貴方
「あっ、やば、、もうこんな時間だ、」
「あんたそろそろ起きないと遅刻するわよー」
「わかってるってー!」
最近本当に朝起きれない。夜更かししてるから?それとも単純に寝不足?
ずっとそんなことばかり考えている
「いってきまーす!」
「気をつけていきなさいよー」
「はーいっ!」
最悪だ、今日は雨予報なのに傘を忘れた。友達に借りるしかないか、、
「どうかしたー?」
「あ、え、」
そう声を掛けてきたのは同じクラスの井上遙(いのうえはるか)だった
「さっき独り言みたいなの聞こえたよ?」
どうやら意識せずに独り言を言ってしまってたらしい
「ええっうそ、ごめん、」
「全然いいよー!なんかあったの?」
「ああ、、傘忘れちゃって、、」
「傘かー、、由姫(ゆき)って帰りどっち方面?」
「えっと多分遙と同じ方面、、!」
「じゃあ貸せる!今日一緒に帰ってもいい?」
「え、いいの、?」
「いいよー!」
「ありがとう、!」
「どうしたしまして!」
本当に助かった、彼女がいなければ私はずぶ濡れになって帰ることになっていただろう
「おっはよー!」
そう言いながら教室に入ってくるのはクラスの1軍的立場の堀宮零(ほりみやれい)さんだ
「あれ?由姫さん前髪少し切った?」
「え、よくわかったね、、」
「えへへっ!あったりー」
彼女は本当に人の変化に敏感だ。他の人が気づかないようなことも気づいていて、そのお陰かクラスで1軍に所属できているんだろう
あ、そろそろ朝のHRが始まる時間だ。席につかないと、、
「それじゃあ朝のHR始めていきます」
「学級委員、号令!」
「起立ー気をつけ、おはようございます」
「おはようございます」
朝ってなんでこんなに憂鬱なんだろう。今日は雨だし、、低気圧で頭痛も酷いし
「なーなーっ」
そう声を掛けてきたのは隣の席の神谷遥斗(かみやはると)だ
「なに、?」
「ひまだから先生の言ったことを数えてくゲームしねぇ?」
「え、あり、」
「だよなっ?、」
こういうゲームは好きだけど得意ではない、、けど先生の話が聞けるから得はある
「で、今日は雨だから昼休みは教室で過ごすように」
私の担任の先生はよく「で、」という言葉を使う。他には、、
「あ、あとは5時間目に心臓病検診があるから着替えておくように」
そうだおもいだした、「でー」以外にも「あとは」などをよく使う。まだ学校生活が始まったばっかなのになんとなく担任の先生について詳しく知ったような気持ちになる
「これで朝のHRを終わります、学級委員挨拶」
「気をつけーありがとうございました」
「ありがとうございましたー」
えっと、、先生は「で、」を5回ぐらい言ってて、「あと」を3回ぐらい言ってたな
「なー由姫」
「んあ?」
「答え合わせしよーぜ、さっきのゲームの」
「ん、いいよー」
「由姫はどーなった?」
「で、が5回で、あとが3回だった」
「おー」
「遥斗は?」
「おれも由姫と同じ」
「じゃあお互い正解だから、、引き分けかー」
「別に勝負じゃねえけどな、笑」
「あ、ごめん、」
さてと、次の授業は、、やった!まあまあ好きな授業だ!
早く準備しよっと
「はい、これから授業始めていきます」
「号令お願いします」
「気をつけーお願いします」
「お願いします」
「今日は前から言ってた通りテストなので机の上のもの全部しまってくださーい」
げー、、テストいやだなぁ、なんの意味があるんだろ、、範囲ってどこだろ、、
「配っていくのでもう喋んないでくださーい」
「それじゃあ始めてください」
げ、、この問題どうやって解くんだっけ、たしか素因数分解して、、共通する数をかければいいんだっけ
あ、やばっもう時間ない、これで行くしかないかっ
「それじゃあテスト回収しまーす」
「お、、今回はみんな結構できてるね」
絶対満点じゃないや、、おわった、、ワークもう1回解いておけばよかった、、
「なーなーっ」
「んあ、どしたの?」
「今回のテスト自信ある?」
「え、ぜんぜんない、」
「だよなっ」
良かった、自信がないのは私だけじゃないっぽい、、零さんと遙は、、自信がありそうだな、、
「それじゃあ、、時間が余ってるので前回の最後にやった問題の答え合わせします」
「誰か前にでて答え書いてくれる人!」
「お、じゃあ君は、、」
絶対間違えてる自信しかない、なぜかって?まじでバカだからだよ
「ななっ」
私よりも多分あほな遥斗が話しかけてくるなんの用だろ、、
「ん?、」
「今日傘持ってきた?」
「持ってきてない、、」
「じゃあおれが入れてやるよっ」
「え、いいよ、、遙に入れてもらう予定だし」
「ちぇー」
なんなら私彼氏いるし、流石に他の男子と相合傘はやばい、彼氏に怒られる
「それじゃあそろそろチャイム鳴るので終わります、学級委員号令」
「気をつけーありがとうございました」
「ありがとうございましたー」
つぎは、、もう給食か、早いなぁ。というか今日給食当番だ、嫌すぎる。たしか遙も給食当番だった気がする
「んあ、、全然結べない、、」
本当に自分は不器用すぎてリボン結びさえできない。エプロンは可愛いけどリボンを結ばないとなのがいやだ、、
「もー結んであげよっか?」
「おねがい、、」
「よっし!結べたよ!」
「ありがと!遙」
あー、、ほんとに重い。まだ2人で運ぶからいいけど1人だったら絶対に無理だ
「ぁ、足りるかな、、」
「だいじょうぶっしょ、足りる足りる」
そう声をかけてくれたのはまあまあモテる斉藤結斗(さいとうゆいと)だ
「まあなんとかなるかぁ、」
結斗とは幼稚園からの幼馴染だ。そしてなぜか私は幼稚園の頃に結斗に告白して、なんかまだ付き合えてるという我ながらすごい偶然が重なったなぁと思っている
「あっぶなー、、ぎり足りた」
「だろー?俺の言った通りだな」
「まあありがと」
「んだよその態度」
「別にいいでしょー」
給食の時間はあんまり好きじゃないんだよな。お昼の放送で曲が流れるとはいえ黙食はやっぱり慣れない
先生によると感染症などが起きた場合、原因が給食なのかそれとも唾液等が混入したからなのかを見分ける為らしい
「全員来たかな?」
「手を合わせてください、いただきまーす」
「いただきまーす」
げ、今日は私が嫌いな柏餅が出てる。しかも毎回の事だが量が多い。少なめにしても多い、、この量を少なめにしないで全部食べてる人はすごいと思う、ほんとに
「それじゃ、手を合わせてください。ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでしたー」
「2号車から順に片してってくださーい」
1号車は最後だからまだ食べれるな、、でももう入らなそうだし辞めておこう
「1号車どうぞー」
めんどくさいなあ、、これをまた下まで運ばないとなんて。しかもこの後心臓病検診だから着替えなくちゃだ、、
「あ、遙ー」
「んー?」
「持ってくものある?」
「あ、ないよー」
「じゃあ一緒に持ってもらっていい?、」
「いいよー!」
遙は基本的になんでもお願いごとを聞いてくれる。たしか遙とは去年知り合ったんだっけ。
どうしよう、、全然クラスに友達ができない、、
「あ、ねね!」
「え、あ、」
「もし良かったら修学旅行の班一緒にならない?」
「え、いいの、?」
「いいよ!」
「あ、もう1人いるんだけどいい?」
「あ、わかった、!」
「お、由姫ちゃん?」
「あ、え、はい、、」
「私は多田來(ただらい)だよ!よろしくね!」
「よろしくお願いします、!」
今思うと遙と來とは修学旅行がきっかけで知り合ったんだった。來は今は八王子の中学に行ってしまって中々会えていない。しかも忙しいのか連絡も取れていない。久々に連絡してみようかな、、
「由姫?どうかしたの?」
「いや、、ちょっと遙と出会った頃のこと思い出してさ」
「懐かしい、、そーいや來元気にしてるかな!」
「ね!私家帰ったら連絡してみよっかな」
「私は、、いいや、喧嘩しちゃったし、、」
「そっかぁ、」
遙と來は最後に喧嘩別れしてしまって、私と來は喧嘩してないけれどなんだか気まずい空気が流れている
「そーいや!結斗とはどーなの?」
「今話すこと、?」
「うん!だって2人幼稚園の頃から付き合ってるんでしょー?」
「まぁね、、」
「最近どーなの?」
「普通、、かなあ」
「えー?」
「特に代わり映えはしてないよ」
「そっかー」
「早く着替えよー?」
「わかったぁ、、」
結斗とはやっぱり幼稚園の頃から付き合ってるのもあって進展はほぼない。まあでも別れるとまではいかないからいい方ではあると思う。
「あ、最悪、、」
「どしたの?遙」
「上は体操着着てきたのに下着てくるの忘れた、」
「うっわー最悪じゃん」
「制服のままでいるしかないかあ」
「がんばー」
私も最悪な事が起きた。次の5時間目の授業はめっちゃ大好きな先生の授業なのに心臓病検診が被ってるからあまり受けれない、、
「やば、全然準備できてない」
「わーお、がんば、遙ならいけるいける」
「これから授業始めていきます」
「挨拶お願いします」
「気をつけーお願いします」
「お願いしまーす」
「えーとっ早速なんですが、心臓病検診があるので靴下脱いでください」
最悪だ。こんな日に限って足の毛を剃るのを忘れた。まあきっと足なんて誰も見ないだろう、、
「みんな脱いだね?それじゃ授業始めます」
「今日はー」
「失礼しまーす、心臓病検診でーす」
「あ、それじゃあ廊下に並んでください」
うー、、寒い、、
「寒いっ?」
「あたりまえじゃんっ」
「そー?おれ寒くねーけど笑」
「結斗ほんとに昔から暑がりだよね」
「そーか?逆に由姫は夏でもタイツ履いてたよな笑」
「なんでそんなの覚えてるの、、」
「あははっ、そりゃ好きな人のことは覚えてるに決まってるだろ?」
「あっそ」
「じゃ、男子こっちだからまたなー」
「んー」
最近結斗が積極的にアプローチしてくる。やっぱり同じクラスになったからだろうか、、
「次の人入ってくださーい」
「あ、はいっ」
「台に横になってくださーい」
「はい、」
「じゃあ力抜いてリラックスしてねー」
「わかりました、」
めちゃくちゃ変な感覚がする。手足も拘束されてるし、、そしてものすごくくすぐったい。気を抜いたら笑いそうだ
「はい、おわりです」
「ありがとうございました、」
「おわっ」
「あ、由姫っやっときた、、」
「遙と、、璃乃(りの)さんだっけ、?」
「あ、はいっ」
「私の事ずっと待ってた感じ、、?」
「うん、遅いよ由姫ぃ、、」
「あははっごめんって」
「はやく教室戻って着替えよっ?」
「おけけっ」
まさか遙と璃乃さんが一緒に待ってるとは思ってなかった。遙は待ってるだろうと思ってたけど、、
「なんかめっちゃ変な感覚したよね」
「えそれなっ」
「璃乃さんはすぐおわったの?」
「あ、はいっ、」
「えーいいなぁ、、私なんてなんかめっちゃ時間かかったよー?」
「由姫ー授業中だからねっ」
「あ、そっか」
「あ、お疲れ様です。着替え終わったらプリントの穴埋めしててください」
「わかりましたー、、」
好きな先生に着替え見られるのかっ、、体操着の上に制服着ていくだけとはいえなんか緊張するな。
「ねーねっ由姫っ」
「ん?」
「穴埋めできた?」
「まだまだ、、全然思いつかないっ」
「私もう終わっちゃったー笑笑」
「え、はやっ」
「それじゃあねっ」
そういや男子全然帰ってこないな。なにかあったのかな、、?結斗なんともなってないといいけど。あ、遥斗が帰ってきた
「あー、、つかれた」
「おつかれー」
「男子どんな感じだったの?」
「んー、、なんか2台しかなかったんだよな」
「え、だからこんなみんな帰ってくるの遅いの?」
「じゃねー?結構待たされたし」
「うわぁ、、出席番号後ろの人可哀想、、」
「んなー」
結斗はたしか私の1個後ろだったからすぐ帰ってくるだろう。はやく会いたいな。
「ただいまー」
結斗だ。なんか話しかけようかな、、
「おつかれー」
「なー、女子どんなんだった?」
「んー、、4台あったからすぐ呼ばれたよー?」
「えーいいなあ」
「そっちは2台しか無かったんだっけ?」
「そーまじで最悪だった」
「笑笑おつかれー」
「つーかなんで2台しかないって知ってんの?」
あ、やばいかも。結斗は昔から嫉妬深い性格だから遥斗に教えて貰ったって答えたら絶対に怒られる。適当に先生から教えて貰ったとでも言っておこう。
「あー、なんか先生が言ってたんだよね」
「ふーん、、なんか怪しっ」
「なんでよー笑」
「だって由姫、昔から嘘つく時前髪触んじゃん」
「え、まじで?」
「ほんとは誰から教えてもらったの?」
「あー、、遥斗から、」
「ふーん、、」
「じゃ、またな」
「うん、」
やってしまった。まさか私の嘘をつく時の癖がバレてるとは思ってなかった。絶対に今夜嫉妬LINEが送られてくる、、
「それじゃー全員戻ってきたので授業再開します」
「ここは、、」
あー、、ほんとにイケメン、、ずっと見てたい。技術は苦手だけど先生がイケメンだとやっぱりやる気でるよね。
「それじゃあチャイム鳴ったので終わりにします。号令お願いします」
「気をつけーありがとうございましたー」
「ありがとうございましたー」
あ、もう授業ないや、帰る準備しなきゃ。あ、、その前に清掃あるじゃん。嫌だなぁ
「ゆーきっ」
「おわっ、遥か、、どうしたの?」
「どっちが1組に箒借りに行くか決めよっ」
「あー、私が借りにいくよ」
「えっ、いいの?」
「うん、いつも遥が借りてるじゃん」
「ありがとね!」
「ん、」
ほんとは借りに行くの嫌だけどしょうがないよね。誰かが借りに行かないと困るし。最近遥に負担掛けてたしなー、、
「いたっ、」
「んえっ、大丈夫?」
「うん、ありがと、遙」
「おだいじにー」
最悪すぎる。誰かが落としたシャー芯踏んじゃった。
「あ、遙ー」
「んー?」
「今日私がちりとりやるよ」
「ん、ありがとー」
やっと清掃が終わった。あとは帰りのHRだけだな。早く帰りたい。
「それじゃあ帰りのHR始めます」
「学級委員号令」
「気をつけーお願いします」
「お願いします」
「月曜日の予定を確認します、1時間目は、、」
あ、数学じゃん。確か持ち物はいつも通りだった気がする。
「えっと、持ち物はいつも通りです」
「2時間目は、、」
そろそろ終わりだろう。早く終わってくれないかな。
「つけ足しなど質問はありますか?」
「先生の話です」
「えっとー、来週から本格的に体育祭の練習が始まってくるので、土日の間にしっかりと休んできてください」
「学級委員、号令」
「起立ーさようならー」
「さようならー」
やっと1日が終わった。早く帰って勉強しなきゃだな。あ、忘れてた。今日は雨だから遥の傘に入れてもらうんだった。えっと、遥は、、
「遥っ」
「ん?」
「傘入れてぇ」
「あーはいはい笑笑」
「ありがとっ」
「そーいや由姫のリュックの横にある折りたたみ傘みたいなのってなんなの?」
「え?あ、、これ折りたたみ傘だ、」
「まじ笑笑由姫傘忘れてないじゃーん笑」
「ここに折りたたみ傘入れてたの忘れてた、、」
「早く折りたたみ傘開きなー笑」
「うんっ笑」
「あ、ごめん、私こっちだからまたねー」
「うん、またねっ。遥」
我ながらものすごいミスをしてしまった。折りたたみ傘は家にあるものだと思っていたから、まさかリュックの横に入れてたとは思っていなかった。
「よっ」
「うわっ、結斗か、」
「相変わらず驚きすぎだろ笑」
「しょーがないじゃんっ、というか昔から言ってるじゃんっ」
「あははっ、ごめんって」
「はぁ、、あ!そういや結斗ってどんな髪型が好きなの?」
「んー、、ロングも好きだけどボブも好きだぜ?」
「わかった、ありがとねっ」
「ん、じゃあまた明日な」
「また明日ー」
帰り道で結斗と話せるとは思っていなかった。髪型、ボブにしようかな。髪の毛邪魔だし。
「げっ、」
つい雨が強くなったからそんな声が出てしまった。誰かに聞かれていないだろうか。聞かれていないことを祈ろう。
「ただいまー」
「おかえりー雨大丈夫だった?」
「うん、折りたたみ傘で何とか耐えた」
「制服干しときなさいよー」
「わかってるってー」
あれ?結斗からLINEが来てる。珍しいな、普段はあんまりLINEしてこないのに。あとで返信しようかな。
「、、疲れたー」
「あ、返信しなきゃ、」
結斗『来週の月曜日一緒に帰れる?』
月曜日か、、確かその日はなにもなかった気がする。多分行けるだろう
由姫『帰れるよー』
結斗『まじかっ、じゃあ一緒に帰ろーぜ』
由姫『いいよぉ』
「、、楽しみだな」
次話に続く