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夢から醒めて……颯馬の家で過ごして二時間ほどがたった。電子機器が使えないのでアナログな遊びをやっているが、意外と楽しい。
本来こうあるべきなのかもしれない。
「トイレ借りるね。」創一はそう言い部屋を出た。
二分後ほどだろうか、叫び声が聞こえきたのだ。
急いで下に降りると、エリサが創一を追いかけ回していたのだ。母の様子は分からなかった。
そして次の瞬間、エリサから音が発せられた。
「ようこそ、パラレルワールドへ」
……何かが光った。何も見えなくなった。
………………………………………………
少しずつ視界が明るくなった。見覚えのある場所。
ここは神坂の出身、相楽中学校のグラウンドだった。
周りには見慣れた顔が並んでいた。久しぶりのやつもたくさんだ。
隣には小学校の頃から仲が良かった木橋がいた。
「急に光に包まれて気づいたらここにいた!なんなんだこれ」
木橋は言った。誰もわかるはずがないのだ。
何が起こっているのか訳が分からない。近くにいる久しぶりの友達と思い出話をするわけでもなく、謎な今の状況について中身のない会話をするだけだ。
五分ほど経っただろうか。いきなりだった。グラウンドから見た校舎の方に巨大な黒い画面が出現した。
「なんだこれ、?」
「何が起こっても不思議に感じなくなってきた…」
周りからそんな声が聞こえてくる。
画面はどこから映されているのか、見当たるところはなかった。
「ザザッ」
黒い画面から音が聞こえて怪しい仮面をつけた人が薄暗く画面に映っている。全員が騒いでいる。生まれて初めての出来事だが、神坂は漫画の読みすぎだったのか、新鮮感が足りない。
そして声がした。
「御機嫌よう、日本の皆さん。私は今全国でこの中継を行っている。どうか混乱しないで聞いて欲しい。まず最初に、今あなたたちがいるこの世界は、高校1年生の代だけの人で構成された仮想世界だ。」
「え、?」
「何を言ってるんだ」
「意味が分からない!」
混乱をしない人の方が少なかった。
「現在、ここにいる人の本体は私たちが安全に保管をしている。色々なことをして全く同じ人間を投影しているにすぎない。」
「しかし、こちらの世界で万が一死ぬことがあれば、この仮想空間からは消え、仮死状態となる。その後どうなるかはまだ考えなくていい。とにかく現実の死と同じものと思ってくれ。」
死ぬようなことが起こるのか。周りは騒然としているが、モニターに映った男には当然聞こえていなく、話は続く。
「この世界では、ロボットがあなたたちの敵となり、襲ってくるようになっている。詳しいことはあなたたちの行動によって変わるし、そこは戦いを通して学んでくれ。
そして、あなたたちには最初の武器とこの世界で使用することのできる通信機器、スマホとほぼ同じ役割をする
”ミニロボ”を1人1台配布する。」
「戦えるのか。夢みたいだなこの世界」
そういう木橋を楽観的だと思ったが、自分もどこかワクワクしてきた。颯馬と創一もそう思っているだろう。
「そして最後に、ポイントと能力の話だ。この仮想世界では私たちが定めたポイントで暮らしてもらう。食品から武器、そして概念までポイントで購入出来る。その概念のひとつとして、『能力』が存在する。能力はまだ解放されていないが、今日の夜12時に解放される予定だ。能力には『技』と『奥義』があり、夜12時に無償で技が付与される。人によって技は違うが、残念ながらその技を変更することは出来ない。ただ、その人に合う技にしているはずだから我慢してくれ」
「なんなのこれ!私たちはどうなるの」
誰かは分からなかったが、女子の叫び声が聞こえてきた。
その声は仮面の男に届いていない。
「大まかな話はここまでだ。今日を1年1月1日としてこの仮想世界の時間は進んでいく。一日が24時間なのは今までと変わらない。家族、現実世界の心配はたくさんあるだろう。まずは自分に集中してくれ。健闘を祈るよ。」
プチッという音とともにスクリーンが再び黒く映った。