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「いやーでも萩原が服好きとはね」
水族館に行く時間までまだしばらくあり、萩原に行きたいとこないかと聞くと服が見たいと言われた。
「好きっていうか」
「今の格好もおしゃれだもんな」
緑のハイネックのニットに黒コート、下は幅広めで緩めの黒ズボン。スタイルが良いから、何を着ても似合う気がする。
「あ、これ可愛いじゃん」
白のオーバーサイズめのニットだ。袖のところもだいぶ幅がある。
「、、白はあんまり」
「えーっ白嫌いか」
「いや、似合わねえって話」
「え萩原白似合うと思うよ、白似合う顔だもん」
「、、どういう顔だよ」
私は少し強引に試着するよう促した。
「あいいじゃん!やっぱ似合うよ」
萩原のいつものイメージと違っていて逆に良い。
「それでカフェとかいたらめっちゃ雰囲気いい」
「買うの決定なのか」
「もちろん」
萩原は少しだけ呆れたような顔をした。
「いい収穫だよ、萩原」
私は買った白ニットが入った紙袋を見て言った。
「なんでお前がそれ待つんだよ」
「えなんか嬉しくて」
、、変なことを言ってしまった。
「花田も服好きなのか」
「うん、人の服選ぶの好きなんだよね」
「人のだけか」
「いや、自分で着るのも好きだけど」
萩原は一瞬こっちを見てまた前を向いた。
「服いいな」
「、、私?」
「ああ、意外と」
「、、意外とって言わなくていいだろ!」
私はそう言って萩原に紙袋をばっと押し付けた。
「っおい袋潰れんだろ」
嬉しくて嬉しくて、やはり仕方ない。