私と中也は太宰と別れて、中也と肩を並べ家に帰る。丁度黄昏時だ。二人の間に気まずさが広がる。先に口を開いたのは中也だった。
中也「…巻き込んですまなかった。」
「こっちも、余計に口挟んでごめんね。」
二人は下を向いて歩く。
何も変わってないじゃないか。中也の苦しみも、組織の王としての重荷も、辛いはずなのに。でも少しは寄り添ってあげたい。
「ねえ、私、羊やめようと思うんだ。」
私の発言に中也は目を見開く。
「明日、白瀬達に伝えてくる。」
中也「ちょっと待て、冗談か?」
疑う中也、信じたくないのも当然だ。
自分から誘っておいて、中也を残すなんて、私は糞女だ。結局中也が傷つく結果になってしまった。やっぱり私がこの世界に来る資格なんて…
中也が私に「これからどうするのか」と尋ねる。まだ決めてないと答える。1度考えて改めた方がいいだろう。
私は俯いた儘、唇を噛む。
中也「手前の弱点はなあ、自分の事を上手く伝えられない事だ。」
「え?」
私は驚愕した。中也が私の事を見てくれていたのだ。
中也「だがな、その分優しいんだ。最初会った時からずっと。俺の事を見放さなかった。理解しようとしてくれた。」
_____私は優しいの?浮かれてるだけじゃないの?言葉が詰まって声が出ない。
母「〇〇、最近どうしたの?言葉に優しさがないじゃない。〇〇じゃないみたい。」
「私だって優しくしたい…。どうすればできるの?」
自分が分からなかった。本当の自分は口が悪くて、きつい性格の私、それか誰にでも優しい私。母もわかってくれなかった。
もしかして…自分が分からないから?自分を探す為に生きているから?だからこの世界に私を推薦してくれたのか?
中也「俺はな、八歳以前の記憶がねぇんだ。俺の中には、荒覇吐っていう魔物がいるんだ。まず、俺が人間なのかも分からねぇんだ。」
_____知ってるよ。全部。
「じゃあ、一緒だね!!お揃い!!」
涙を引っ込めて、笑顔を作る。
中也「…怖くねぇのか?俺、人間じゃねぇかもしれねぇんだぞ。」
「関係ないじゃん、そんなの。確証もないんでしょ。」
中也は呟いた。そして私の頭を撫でながら言った。
「やっぱり手前は、優しいよな。」
少し頬が赤くなる。恋はしない、みんなを救うためには。不思議と涙が出てきた。
涙を隠すように、中也の腕を引っ張る。
「そんな事より、早く格闘術教えて!!」
私にとって強がりの言葉。中也は「はいはい」と呆れたような言葉で、〇〇の後を追った。
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