「テヒョニヒョン、僕と別れてください」
気付けば口にしていた。
「、、、は?」
ヒョンが目を見開く。
「え?なんで?嘘でしょ?もう、やだな〜そういう冗談今いらないから笑」
「冗談、じゃないです、」
ヒョンの顔から一瞬で笑顔が消えた。光の映っていない瞳で僕を見ている。
「ふざけないでよジョングガ。おれのことこんなんにしといて、今さら別れてくださいって?じゃあ、もうジョングガはおれのこと好きじゃないんだ。愛してないんだ。ついさっきまで殴ってたくせに急に弱気だねー、バカみたい」
「僕が好きだったのは今のテヒョニヒョンじゃないです」
「はぁ、ジョングガ」
包丁がもう一度足に刺さる。
「ッ、!」
「おれ、さっき言ったよね。最初から全部嘘だって。ジョングガの知ってるおれはね、いないんだよ。偽物だから」
「てひょ、にひょ、、」
「うるさい黙ってて」
何度も何度も足に突き刺さる包丁。もう痛みは感じなかった。振り下ろされる包丁がスローモーションのように見えた。
「おれにもう1回堕ちてよジョングガ、ねぇ、ちゃんとこっち見て。ねぇ、見てってば」
ねぇ、こっち見て──。ヒョンがそう言い終わらない内に僕はヒョンを押し倒した。
「僕は、!貴方のことを愛していました。ちゃんと愛してたんです。これ以上ないくらいに。貴方の事が好きすぎて、、狂うぐらいに。だけどこれ以上一緒にいると僕だけじゃなくて貴方までもっとおかしくなってしまう。それは嫌なんです。」
ヒョンは何も言わない。ただ無言で僕を見ていた。
「僕は貴方を、正しい愛し方で愛したかった。だけど出来なかった。ヒョンを傷つけて、それでヒョンは僕の物でいてくれるって思い込んでた。それで満足していた」
僕は覚悟を決めた。
「別れましょう、ヒョン」
自分勝手だなんて分かってる。だけど、こうするしかない。
「ねぇジョングガ、、何考えてるのか分かんないよ。あれだけおれに依存して、急に冷めて、別れるとか言い出して。ちゃんと責任取ってよ」
あぁ、もう何を言っても無駄なんだ。
責任、か。そうだよね、ヒョンがこうなったのは僕のせいだから。
そう思った瞬間、全てがどうでも良くなった。もう、愛なんて分からない。
「ヒョン、、僕はどうすればいいですか」
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