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〜前回のあらすじ〜
悪魔軍の裏切り者を粛清し、ほかの場所でも白星をあげていた矢先、憤怒の悪魔が撤退を選ぶほど追い詰められていた。一体何があったのか───?
──────Iれいまり編──────
…どういうことだ。ぶつりと途切れたテレパシーはもう繋がることはなく、残ったのは静寂であった。
おかしい。こんなことありえない。盤上掌握を使って、全ての戦場は私の手のひらの上のはずだ。ここで追い詰められる未来なんて無いはずだ。それに、この世界に来る前にこの物語の内容は全て覚えている。それでも、こんな展開はなかった。───いや、色んな想定外が起きているのだから今更だが。しかし、嫌な予感がする。
───私は、翼を広げ、壁を貫通して迅速に飛ぶ。
「天才!!どこに行くつもりだ!!今は待機に決まってるだろ!?!?」
怠惰の悪魔が大声で私を呼び止める。こんな、必死な声初めて聞いたな、なんて思いながら私は羽ばたくスピードを下げることなく、勢いよく飛ぶ。
行くところは決まっている。ゼンのところだ。ゼンはもちろん強い。けど、今はヒナちゃんでも撤退を選ぶほどの危機的状況なのだ。そんな中、ひとりで対処させるのは危険すぎる。私が、私が守らないといけない。
私は、目の前にワープホールを作り出す。魔力を使えば使うほど遠くへと行ける上級魔法。敵との戦いがあるから、なるべく魔力の消費は抑えたいところだがそんなこと言ってられない。最大出力の魔法でワープホールを出しつつ、魔力回復用のポーションをがぶ飲みしながらワープホールに飛び込んだ。
───一瞬で光景が変わる。目の前にはゼン。無事だ。そんなことに安堵しつつ、漂う空気に違和感を感じる。なるほど、魔法阻害だ。と、言ってもテレパシー程度しか抑制できない霧だが。どうりでゼンがテレパシーを送ってこないわけだ。
目の前には天使の軍勢。1人のリーダーとその他数百人の天使達がゼンを取り囲むようにいた。…この程度ならゼンなら行けると思ったが。なるほど、それか。私はゼンが苦戦を強いられていた原因を睨みつける。
【神器:炎神のバンダナ】。炎神が天界に住んでいた時に使ったとされるバンダナ。炎の力を宿しており、神の力もどきが使える。無論、こんなものが一介の天使ごときには使えない。だからこそ、代償を支払い、それに見合った対価を得ている。…確かこれならば寿命だろう。リーダー格の隣にいる天使は赤い炎を蘭々と光らせ、目を真っ赤に染めていた。しかし、手は黒ずみ始めており、神の力に耐えきれなかった証拠でもある。
「そちらには【神器】があるんですね!たった一人の悪魔に使うものじゃないと思いますよ!」
私がそう叫ぶ。ゼンは明らかに怯えきっており、頭を抱え込んで私に抱きついている。───相当怖かったらしい。流石に初めて神の力を見るならそうなってしまうだろう。仕方がないことだ。ならば、私がここを対処すれば良いだけ。私がそう思い、魔法陣を展開しようとする。が、それは敵の一言で阻まれる。
「お久しぶりです!れいまりさん!」
息が詰まる。リーダー格の天使が、私の名を、呼ぶ。私の名前を知っている?別に、特段功績を残した訳でもない私が、なぜ、ただの天使に知られているのだろうか?疑問が絶えないが、敵ということには変わりない。油断を誘う作戦に決まっている。そう決めつけようとするが、続く言葉に私は目を見開いた。
「あの時、弟子入りして、断られたものです!ゼンさんに、小さい世界しか見ていない、と指摘された、あの!」
私の記憶が思い出される。私がまだ成人してない時に出会った、あの小悪魔と面影が重なる。私の事を好きなことを続けるのはすごい、と褒めていたあの子だ。───あの小悪魔が天使だった。衝撃が胸を貫いた。
そして、ようやくゼンが怯えていた本当の理由がわかる。神器が怖かったわけではない。違う。自身が見送ったその子が、敵として帰ってきたことに、そして命を狙われていることに恐怖を抱いたのだ。───きっと、ゼンはあの子に情が湧いてしまっているのだ。理解した。運命っていうものは残酷だ、と改めて思い直される。
「私、実は天界から抜け出してたんです!だって、自由がなくて、どうしようもなく苦しかったから!でも、ゼンさんに言われました!広い世界を見に行った方がいいって!だから、見てきました!!それに、立派にもなってきたんですよ!天使軍の小隊のリーダーまで登りつめました!お二人のお陰です!!だから───」
その瞬間、私と天使の距離が一瞬で縮まる。右手には槍を持って。
「憧れたあなたを超えるために!殺します!!」
そう言って、思いっきり槍を振り払い、心臓を的確に狙ってくる。
「───ッ!!」
私は咄嗟の判断で貫通の魔法を使い、彼女の体をすり抜ける。───が、
「ッガハッ!!」
「んへへ。流石にただの槍で勝てると思ってないですよー!【神器:正義の槍】!」
「───あ゛あ゛ぁッッ!!!」
ここに来て、神器の乱用。【正義の槍】それは自身の正義感が強ければ強いほど、また自分が正しい行いをしていると思えば思うほどそれに応じた強さに変化する槍。並大抵の魔法では歯が立たないぶっ壊れだ。使うやつが正義であればあるほど神に近づく。けれど、それは諸刃の剣であるのだ。自分に迷いが生じればただの槍以下だ。そんなハイリスクハイリターンなのを使うバカがいると思わない。
『だから、私がやるんだよ。』
どうして、頭がいい私よりも、何回も繰り返した私よりも、お前の方が強いのか。世界に天才と認められても上には上がいるように。私が引き立て用のモブでしかないように。結局は、力の強いお前が解決する。お前は、私が殺したのに。死んだくせに。のうのうと私の中に居座って、だらけて、努力をしないお前が強いのか。不公平だ。
「黙って私にやらせればいいんだよ。馬鹿な仕事は。」
そう言って、本来、この世界に生まれ落ちた私へと変わる。
バカみたいだ。ほんとに。頭がいいくせに、プライドなんてものがあるから追い込まれる。大人しく、強い私が血塗れの戦いをやっときゃいいのに。私は、ゼンを先にテレポで本部へと送る。
「ハロー。天使ちゃん。死ぬ前に何か言いたいことある?」
「…?死ぬのはあなたですよ?」
「ははっw冗談キツいって!神に愛されないからって神器に縋るのはさもしいよー?」
「使えるものは使うべきでしょ!私の美徳ですから!」
面白い天使だ。根本的にねじ曲がって、思考回路がまともじゃない。こういうやつが神様に愛されるのだが、残念ながら愛して貰えなかったらしい。
「じゃ、私も使おっかな〜?能力!」
「れいまりさんの本気が見られるんですか?わ〜!燃えてきました!やりましょう!どちらかが死ぬまで!!」
目を輝かせて言う彼女にどことなく親近感が湧きつつも、私と彼女もまた、根本的に何かが違うのだと思う。ま、そんなことどうでもいいか、なんて。
「ま、私は神様に嫌われてるんだけどね!【神堕ろし】今日の気分は氷神様!穢れたくなかったらさっさと全員殺せ。魂は私によこせ。」
その瞬間、私の目の前に黒い糸で吊るされた氷神が一瞬で全てを凍てつかせ、血1滴すら残さずに氷の残骸にし、全てを消す。
「んー!地獄に氷山ができるのも悪くないかも!氷神。帰ってもいいよ。いや、引き続き《私》の監視をよろしくね!」
私は、生に執着する悪魔。絶対に死にたくない。けど、生きるか死ぬかのスリルが大好物で。こんな神をこき使っていたらいつ死ぬかわかったものじゃない。けど、そのドキドキが楽しい。この肉体が成人した時、私は世界から名前を貰えなかった。けど、それは私が死んでいるからじゃない。世界が、私を拒むほどに、私を恐れているのだ。でも、仕方がないじゃないか。神が、私を死んだものとして転生の輪に入れようとしたのが悪いのだから。私は生きたいって言ったのに、無視したから。だから、私みたいな悪魔が生まれたんだよ。この世で最も神に嫌われたのが私で、その逆が椎名ちゃん。けどね、椎名ちゃん。あなたの肉体の主導権を今は譲ってあげるけど…。
「魂が溢れちゃったら、あなたの居場所はもうないからね。」
さて、椎名ちゃんを追い出すためにも、私は体内に無数の魂を入れ込む。椎名ちゃんの体は少しばかりおかしくて。魂を入れても入れても深淵に落ちるかのようにいっぱいになることがない。私を殺せた時点でこいつもこいつで狂人だ。
ま、そんな難しいことは考えなくてもいっか。
ここで切ります!息抜きで書いてたらいつの間にやら3000文字!絶対に書きたかった小悪魔ちゃんの再登場に満足してます!まあ、この世界のれいまりさんは出す予定はなかったんですが…まあ、そっちの方がおもろいやろ的なテンションで!ちなみに小悪魔ちゃんは第44話の小悪魔来訪に出た子だったはずです!あの子は本当は悪魔じゃなくて天使で、ゼンさんの説得で天界に戻ってまた会う時は敵として現れる。しかも、ゼンさんがアドバイスをした影響で。ま、別にこの子元々おかしい子だったので影響されたの事実ですが、どの道こうなってたと思います。だが!ゼンさんが他責できるかな!?
てことで、久しぶりの投稿でした!おつはる!
コメント
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結構ちゃんと久しぶりじゃない?