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第20話
あらすじ
大森の強い支配欲に雁字搦めになる若井。
二人の関係性はどうなっていくのか。
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「ねぇ、若井?」
大森の指が、若井を慈しむように頬をなでた。
「楽しい時に一緒にいるなんて誰でもできるでしょ
いいチームを目指すなら、苦しい時こそ相手を思いやれる忍耐力がないと」
大森の腰が再び、ゆっくりと動く。
「ね、そういうの
若井はちゃんと分かってるよね?」
若井は恐怖に囚われて、とりあえず頷いた。
しかし脳裏には、なぜ今こんな事を聞いてくるのかという疑問があった。
本心を汲み取れないと、何かを踏み外しそうな予感がする。
若井は大森の言葉の裏を読み取ろうと、表情を観察した。
目が合うと、大森の唇が三日月のように上がる。
値踏みするような支配的な笑みに、若井の心臓は掴まれたような圧迫感に包まれた。
「ありがと…うれしいな
期待できる人が近くにいるって幸せだね」
そう言いながら、大森は指先でするりと横腹を撫でる。
若井は何故か、微かに恐怖心を抱いた。
大森の指が腰周りを撫でた後、降りてくると下をぐっと握る。
くすぐったいような、淡い快感が湧くと恐怖心が溶けていった。
これより少し前、大森が若井の腰の上に座った頃。
藤澤はじっと動かず、両手でズボンを握りしめていた。
実は、藤澤はこういう事に対する耐久が低い。
例えば、 若井と大森が軽い下ネタで盛り上がっている時。
たまに若井がラインを超えて来る時がある。
する時の体位に対してやたら語り出した挙句、揺れる胸を下から眺めるのがうんぬんかんぬん
そういう事を言い出すと、藤澤はもうどんな顔をしていいのか分からない。
なので藤澤は用事を作って逃げて、しばらく時間を潰してから戻っていた。
ある日、同じように時間を潰して戻った後に若井がどんな用事があったのかしつこく聞いて来たことがあった。
そういう事に耐久がない藤澤をいじって楽しんでいる雰囲気を感じた時
さすがに藤澤は、堪忍袋の緒が切れた。
僕の立場になって考えろと怒るとそれ以来、若井はそういう事を言わなくなった。
つまり、自分はそれほどにそういう事に耐久がない。
だからこそ、藤澤は目の前で起きている現状から目を逸らそうと必死だった。
しばらくはそうして床を見つめていたが、若井の切羽詰まった声がするとやはり心が揺れた。
二人が何をしているのか。
若井はどんな表情をしているのか。
本音を言えば、それが気になって仕方ない。
「もっと…触って」
若井が甘えるような声でそう言った時
藤澤は耐えられず、盗み見るように二人の様子に目を向けた。
「いいよ」
大森が答えると、若井の下を刺激するように腰が妖艶に動く。
それ合わせるように、若井の足の指がぎゅっと縮んだ。
藤澤は顔を覆うと、再び俯いた。
この気持ちは羞恥なのか、高揚感なのか。
重なり合う二人を見た時、背筋がぞわりとした。
でも、二人は友人だ。
いや、友人なんて言葉じゃ収まらないほど
藤澤の甘さ、醜さを見捨てずに、許さないでいてくれる存在。
だからこそ、これ以上不甲斐ない所を見せたくない。
僕は最年長なんだから、こんなんじゃ駄目だ。
二人が崩れても僕は平然とした態度を貫いて、湯ノ内から二人を守るんだ。
藤澤は必死で自分に言い聞かせていた。
藤澤が自分と戦っている頃
若井はそんな事、露ほども知らず大森に踊らされていた。
腰の上に座っている大森が、上半身を倒して顔を寄せてくる。
若井の脳裏に、あの激しい愛情表現が浮かんだ。
例え、また首元に噛みつかれても受け入れるしかない雰囲気が漂っている。
若井は、ぎゅっと瞳を瞑った。
大森の顔が首元に寄った気配があった。
若井が身体を強ばらせる。
大森は首筋につけた傷を指で撫でると、唇を寄せてぺろっと舌で舐めた。
若井は薄く瞼を開けて、様子を伺った。
大森は地面に手を着くと、少し移動した。
次は胸元に顔を寄せると、とんと触れるだけキスをする。
そのキスがお腹や腰にも降ってくると、ぞわぞわした期待感が広がった。
広がった期待感で心がはち切れそうになっていると、太ももにもキスが降りてくる。
若井はそろそろかもしれないと思うと恐怖が湧いた。
大森が怖いというより、自分を保てないかも知れないという恐怖だ。
脳裏にキスされた時の舌の感触が浮かんだ。
暖かくて、柔らかい
乱暴で優しい
まさに大森のその様を写したような、そんな触り方だった。
また同じような触り方をされたら今度こそ持たないかもされない。
若井の頭にふわりと欲望が浮かぶ。
大森の腕を掴みあげて、壁に押さえつけて
逃げ場を奪ってから
それが一瞬駆け巡る、若井は頭を振った。
まて、まて
そんなのやったら、さすがに嫌われる
それに一歩踏み入れたら、多分戻れない。
大森が泣いても、叫んでも止まれない気がした。
そんな若井の葛藤を溶かすように、大森の舌が太ももを舐めた。
少しだけ濡れた舌先の感覚に、足先から頭まで快感が走る。
若井は耐えられず、息を吐くと大森の腕を掴んだ。
大森が視線を上げると、若井の様子を観察する。
そのまま目線を外さずに、大森が指先でするりと下を撫でた。
若井の胸に期待感が溢れると、潤んだ瞳で大森を見つめた。
「…もとき」
名前を呼ぶと大森の喉仏が、ごくっと動いた。
黒目がちな瞳が、さらに色が濃くなった気がした。
すっと目線を外すと、若井の腰に顔を寄せる。
若井の呼吸が早くなる。
まだ何も起きていないのに、イキそうな気分になった。
股間に大森の息がかかると、若井は興奮で少し震えた。
本当に実現すると思ったら、さっきまでの恐怖が煙になって消えていく。
その変わり、高揚感に包まれた。
大森は若井の下に唇を寄せると、濡れている先端をペロッと遠慮がちに舐めた。
「ぁ…」
じりじりとした快感が下腹部で燃える。
恐らく、こんな機会はもう二度とない。
元貴が舐めてくれるなんて
若井は今の姿を目に焼き付けようと、大森の表情を見た。
大森はさらに唇を寄せたが、その辺で少し戸惑い始めた。
ぱくっと横から下を咥えると若井の膨張したそれを、もごもごと舐めてる。
大森の口の小ささと一生懸命さが際立って興奮が湧き上がった。
しかし難しかったのか、一旦離れる。
次は上からというように、先端から咥える。
「う、」
若井は微かに唸った。
柔らかくて熱い舌が敏感な場所に当たる。
大森は先端だけ咥えると、再びもごもご難しそうに舐める。
若井は息を荒くして、大森を見つめた。
絶妙に物足りないのが、 初々しくて可愛らしい。
大森が下から口を外すと、今度は横から根元をゆっくり舐める。
シャワーを浴びてないと言ったのに、 大森は嫌悪を見せず
むしろ、丁寧に全体を舐めてくれる事に若井の心が嬉しさで溢れる。
纏わりつくような舌が、先端まで上がると敏感な所を刺激した。
「あっ」
ピリッとした刺激に若井が声をあげると、大森はそこを重点的に舐め始めた。
「う、んん」
若井の頭がビリビリと痺れると、腰が少し浮く。
今まで物足りなかった分、急激に絶頂が近づいてきた。
その様子を見た大森は、若井の腕を引っ張った。
「ねぇ…若井」
「ん…な、なに?」
若井が薄く目を開けると、大森を見る。
「若井が先にイっちゃったら…
なんか寂しい 」
「あ…」
若井は二回程、大きく頷いた。
突然、可愛らしい事を言うので心が騒つく。
大森が言葉を続ける。
「一緒がいい…お願い」
「…わかった」
そういうと大森が嬉しそうにするので、若井も笑顔になった。
再び、大森が下に顔を近づける。
「あ、えっと」
若井が慌てたような声で言う。
大森が、ちらっと目線を投げながら髪を耳にかけて言う。
「なに?」
「その…一緒にって、触り合うみたいな?」
大森の口角が微かに上がる。
「ん?」
大森がとぼけた顔で言うと、さらに一言付け加える。
「一緒にいこうね」
そういうと、大森の唇を下に近づける。
「え、」
唇が触れると、少しだけ開けた隙間に割り込むように若井の下が入っていく。
「んぅ、う」
今度は先端だけではなく真ん中辺りまで大森の柔らかい口内に包まれる。
舌がぞりぞりと動くと、 混乱する頭を溶かすように強烈な快感が流れ込んだ。
「あ、まって!!」
若井は快感に溺れないように、大森に手を伸ばす。
しかし、大森はその手をぱしっと叩き落とした。
「え…」
すると、大森が音を立てて若井の下を吸うように扱いた。
「く、う!!」
若井の身体が飛び上がると、耐えられず大森の肩を掴む。
お腹からぞわっとした感覚が上がると、下が一層硬くなる。
大森はさらに、吸いながら口をゆっくりと上方向に動かした。
若井の身体が震えると、排尿感が強まる。耐えられず、若井は叫んだ。
「んん゛、でちゃう!!」
「え、 一緒って約束したのに?」
大森が眉を下げると、子犬のような顔をする。
「は…そ、うだけど」
「ちゃんと約束守ろ…ね?」
大森がそう言うと、若井の呼吸が荒れる。
肩が上下に大きく動くと、瞳の奥に微かに怒りがちらついた。
大森は怒るかもと思って様子を見ていると、若井は意外と素直に頷いた。
「わかった…」
大森が悪戯ぽく微笑むと、頷いた。
「じゃ、続きしよ」
若井は覚悟を決めながら、ふーっと息を吐いた。
仕方ない、これも大森にとっての愛情表現だろうから
怒ったら可哀想だ
若井は自分に言い聞かせた。
時間を少し巻き戻して、大森が若井に “先にイったら寂しい “と甘えていた頃
藤澤は二人が作り出す雰囲気に完全に飲まれてしまっていた。
大森が若井に “一緒がいい” と甘えると、藤澤も何故か一緒にどきどきしてしまった。
その無駄な気持ちを誤魔化すように、藤澤はパタパタと足を動かした。
やはり藤澤にとって、この時間は辛いものだ。
いいな…若井って元貴の事なら、どこまでも許せるんだな
そう思うと、ざりっと心が削られた。
僕だったらどれくらい許してくれるんだろう
キスくらいは許してくれたりしないかな
ふっと心の中で思った時、自分が若井とキスをしたいと思っている事に気がついた。
いや、たぶん違う…こんなのを見せられたから好奇心で
藤澤は心は誰にも見られてもいないのに、誤魔化した。
その時、若井が甘い声で喘いだ。
藤澤はつい若井を見てしまう。
すると、大森が若井の股間に顔を埋めていた。
藤澤は息を飲むと、胸元をぎゅっと握った。
苦しい、心がはち切れそうだ。
それなのに、目が離せない。
若井が切羽詰まった声を上げながら、首を逸らす。
それを見た藤澤は身体の体温が上がるのを感じた。
若井の柔らかそうな髪が頭を振る度に動く。
いつもは真っ直ぐな視線が、溶けて焦点が合っていない。
大森の腕を掴む指は縋るように必死なのに、それを言葉には出さない所。
若井の愛しい所に気がついたら、全てが目に付いた。
普段だってそうだ
藤澤の好きな種類のお弁当があると残してくれる。
ぽろっと話した藤澤自身すら覚えていない話を覚えていてくれる。
困ってる時、いつの間にか隣に居て助けてくれる。
若井はいつもヒーローみたいにかっこいい。
なんで今、気づいちゃったんだろ
藤澤は、ぎゅっと目を瞑った。
胸が熱くなると涙が滲む。
諦めよう
藤澤は、すぐにそう思った。
若井が恋愛的にも大森が好きな事はさっき分かった事だ。
あの元貴に僕が勝てるわけない
それに今なら、気づかない振りをすれば何とかなる
藤澤は “若井は友達” と何度も頭の中で繰り返し唱えた。
同じ頃、若井は大森が与える激しい快感をどうにか耐えていた。
大森が若井の下を半分くらい咥え込むと、舌と上顎で潰すように刺激した。
「んぅ…あ、」
若井の脚が、ぐっと伸びる。
頭の中でパチパチと快感が弾けた。
さらに、敏感な場所を舌全体で優しく舐められる。
さっきと打って変わって、柔らかい触れ方に甘い快感が溢れ出した。
「ぁ、あ」
若井の身体が快感によって、力が抜けていく。
なんでこんな上手いんだ
若井はふっと疑問に思う。
さっきまで、たどたどしかったのに
若井が気になって様子を見ると、大森は下を根元まで咥えようと顔を傾けた。
敏感な所が大森の柔らかい喉に当たると、ぎゅっと締まった。
「んっ!!」
痺れるような快感に耐えられず、若井は喘ぐと同時に大きく腰が跳ねる。
すると、さらに下が喉奥に入り込んだ。
大森が嗚咽をあげると慌てた様子で口を外した。
「ぅ…げ、ほっ」
一瞬の間を置いて大森が激しく噎せるので、若井は慌てて背中をさすった。
「あ、も…元貴」
大森はひとしきり咳き込むと、落ちついて来たようだ。
潤んだ瞳のまま笑うと言う。
「びっくりした…だけ、大丈夫」
若井は、つい眉を顰めてしまった。
あんなに支配的な態度なのに、突然献身的な面を見せられると困惑してしまう。
「…元貴
そこまでやらなくていいから」
若井は背中を擦りながら言う。
しかし、大森は顔を振る。
「俺がやりたいだけだから」
若井は少し口調をキツくした。
「元貴、喉は大切にしようよ」
若井がそう言うと、大森は落ち込んだ様子で俯いた。
「…分かってる、ごめん」
「…うん」
若井が返答すると、しばらく沈黙が流れた。
覚悟を決めると若井から口を開く。
「…その、したい事とかあったら」
それでも、大森は答えない。
むしろ余計に俯いてしまった。
若井は緊張から乾いた唇を舐めると、質問を変える。
「…して欲しい事とか、なんでも」
「若井は?」
若井は突然の質問返しに、つい口を閉じた。
その様子に大森が吐き捨てる。
「ないよね、どうせ」
「俺は…元貴のしたい事」
「もういらない!それ!!」
大森が突然叫ぶと、立ち上がった。
若井は驚いて、固まる。
大森はその若井の表情を見ると、泣きそうな顔をして座り込んだ。
両手で顔を覆って隠してしまう。
「…ずるい」
若井も吊られるように、心が悲しみで染まっていく。
「ごめん」
「ごめんもいらない、 ちゃんと答えて」
大森が顔をあげる。
目の縁が赤くなっている表情を見ると、心がぎゅっと痛んだ。
「俺のこと好きって…言っといて
なんもしたい事ないってなに?」
若井は生唾を飲み込んだ。
確かに、何もないと言ったら嘘になる。
でもこの欲望を叶えたら、同時に大森を傷つけてしまう事になる。
それほど若井の欲望は自分本位だと自覚がある。
だから口に出せない。
「…ごめん」
若井がそういうと、大森が鼻で笑った。
大森の口角が苛立ちで上がる。
「舐めんじゃねーぞ、おまえ」
大森が唸るように言うと、膝蹴りが溝打ちに飛んできた。
「う!!」
突然の事に若井は情けなく呻くと、お腹を抑えた。
続けて、大森が首を掴むと地面に倒される。
若井が素直に倒れると、大森が腰の上に座った。
大森が瞳を覗き込むと、顔を逸らせないように顎を強く掴まれる。
「じゃあなんで、そんな顔すんの?」
大森の指先が胸を撫でると、ぐっと爪を立てた。
ひりつく痛みを若井に与えながら、話し続ける。
「俺…言われないと分からないんだって
ちゃんと教えて」
大森の瞳が潤むと、下唇を噛んだ。
若井はその様子に、ただ衝撃を受けて言葉が出ない。
大森が息を吸うと、震えた声で言う。
「もう 嘘つかないで」
大森の瞳から溢れた雫が、若井の頬を濡らした。
若井の瞳も、みるみると潤んでいく。
「…俺」
若井が口を開くと、声が掠れた。
「元貴みたいに…綺麗じゃないんだよ」
大森の顔が崩れるように歪むと、苦しそうに呻いた。
「う゛ぅ!!お前が言うな!!」
大森が壊れそうな様子で叫ぶので、若井も共鳴するように息が上がっていく。
「俺の汚さも分かってんじゃん!!
そういうの見せてきたつもりだし、そこを好きになってくれたんじゃないの?」
大森が一気に捲し立てる。
二人とも腕を掴みあったまま、見つめ合い肩で息をしている。
若井が息を吸うと口を開く。
「…もちろん、そうだよ」
若井の息が震えると、絞り出すように言う
「でも、」
若井の瞳から、とうとう零れた涙が頬を濡らす。
「元貴に…嫌われたくない」
大森が、息を飲んだのが分かった。
腕を強く引っ張られると、ぐっと抱きしめられる。
耳もとで大森の声がする。
「ごめん、俺… こんな人を好きになんの初めてで 」
若井は微かに震えた。
この言葉が自分に向けられているのが、信じられない気分になった。
「どうしていいか分かんなくて、若井の事…試すような言葉ばっか 」
若井は大森の腕の中で首を振った。
くぐもった声で若井が答える。
「なんか…嬉しかったし
そういう元貴も…好き」
大森は真っ直ぐな言葉に頬を赤らめた。
若井が、もぞもぞと動くと大森を見上げて続けて話す。
「ねぇ、俺のこと好きって…恋愛、的に…は」
若井がたどたどしく言うと、大森の瞳が優しくなる。
こくっと頷くと、はにかむ様に笑う。
「うん、恋愛的に大好き」
コメント
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荒ぶる大森さん好きです葛藤!!!!ああ!!!いやそれ以上にぴり様大好きですもう神様仏様
大森さんのわがまま顔。若井さんの何でも受け入れがちな実直な心。嫉妬剥き出しでも寂しさも剥き出しな涼ちゃん。今作も良いですね◎ また大森さん落ちないかなと考えてしまいました笑