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開けるしかなかった。
逃げ道なんて、とうにない。
ふたりの世界は、
もうとっくに、外から見つかっていた。
警察は思ったよりも優しく、
それがかえって残酷だった。
「未成年の家出。
保護します。
ちゃんと、親御さんの元へ戻しましょうね」
すみれは、私の腕に縋りついていた。
その肩が震えて、声にならない嗚咽が漏れていた。
「離さないで……お願い……」
「離れたら、私、壊れる……」
私は、声が出なかった。
すみれの手を握り返したまま、
ただ頭の中が真っ白になっていた。