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「放課後の距離」第一話
放課後、学校の廊下
トド松は廊下の一角で同級生たちと談笑していた。女子たちが「トッティ、かわいい!」と声をあげるたびに、彼はにっこり笑って相手をしている。
トド松「まぁまぁ、そんなに褒めても何も出ないよ~。」
軽い調子で返すトド松に、周囲はさらに盛り上がる。
一方、少し離れた場所でその様子を見ているおそ松は、不機嫌そうにため息をついた。
おそ松「……なんだよ、あいつ。調子に乗りすぎだろ。」
おそ松はトド松の周りの人だかりに目を向けながら、なぜかモヤモヤする胸の内を抑えられない。その場を立ち去ろうとするが、どうしても視線がトド松に吸い寄せられる。
帰宅後、松野家のリビング
夕食の時間、松野家の賑やかな空気の中、おそ松はわざとトド松に絡む。
おそ松「お前さ、最近学校でモテてるらしいじゃん?」
「ん~、まぁね。」トド松は自信満々に返事をする。
おそ松「は?なんでそんな偉そうなんだよ。」
トド松「だって事実だもん。なに?、おそ松兄さん、ヤキモチ?」
その一言に、おそ松の眉がピクリと動いた。
おそ松「はぁ?誰がヤキモチなんか焼くかよ!」
トド松「ふーん、じゃあなんでそんなに怒ってんの?」
トド松は軽く笑いながら話を流そうとするが、おそ松は追い打ちをかける。
おそ松「お前さ、もうちょっと兄を立てろよ。俺がいなかったら、お前なんて何もできないんだから。」
トド松「はいはい、ありがとー。」
表面上はいつもの口喧嘩だが、トド松の胸にはほんの少しだけ引っかかるものがあった。おそ松の言葉の裏に隠された、微妙な感情に気づいたからだ。
その夜、トド松の部屋
トド松はベッドに横になりながら、ふと思い出した。
トド松「お兄ちゃん、ほんと子どもみたいだな……でも、ああいうとこ、嫌いじゃないかも。」
自分でも理由はわからないが、おそ松の顔が頭から離れない。
一方、おそ松は自分の部屋で一人つぶやく。
おそ松「なんなんだよ、あいつ。俺の弟なのに、他のやつにニコニコしてんじゃねえよ……。」
それぞれの想いが交錯する中、夜は静かに更けていく。
次回予告:
風邪を引いたトド松を看病するおそ松。二人の距離が少しだけ近づく夜。
「お前には俺がいるんだから。」
その言葉の意味とは――?