テラーノベル
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※一番初めの話から見ることをおすすめします。
できるだけ原作と一緒にするため、人格崩壊の可能性あり。
「恋い焦がれているっていうのは……?」
どういうこと……?
「当時のサラを知っている人は、みんな惚れていますよ。一年前、急に姿を消したので……どの人もみんな行方を捜してます」
え……!?
いったいどういう状況になっているのかまったくわからず、開いた口が塞がらない。
俺、グズだし秀でたところもないのに……みんな勝手な幻想をいだいているんじゃ……。
どうしよう……サラが俺だってバレたら、がっかりされそう……。
「僕も捜してるんですけど、見当もつかないんです」
る、るぅと先輩まで……!?
ここにいます……こんなやつですみません……。
土下座したい気持ちになった俺に、追いうちをかけるように告げられた言葉。
「さっき言った僕の好きな相手なんです、サラは」
「……っ!?」
か、片思いの相手って……嘘……!
るぅと先輩、ごめんなさい……。
騙しているような気持ちになって、罪悪感に襲われた。
「どうしたんですか?そんなに驚いて……」
驚きを隠しきれていない俺を見て、るぅと先輩が不思議そうにこっちを見た。
「い、いえ……その、サラって人と、知り合いなんですか?」
たぶん噂がひとり歩きしちゃったんだろう……俺は、るぅと先輩と会ったことがないはずだから……。
「一方的に、です。助けられたことがあるんです。本当に……美しかった。この世にこんなきれいなものがあるのかと思いました」
え……会ったことが、あるのか……!?
それでも好きでいてくれたって……るぅと先輩、目が悪いのか……?
「へー……そうなんですか……」
もうそれしか言えなくて、自然と下る視線。
どうしよう……なんとしてでも、サラだってバレないようにしないと……。
勝手に伝説にされてるなんて迷惑極まりないけど、詐欺罪で訴えられるのは嫌だから隠し通さなければいけない……。
るぅと先輩にも、目を覚ましてもらわないと……。
「でも、じつはたいしたことない人なのかもしれないですよ、みんな夢を見すぎなんじゃ……」
「……サラのことを悪く言わないでください」
急に声のトーンが落ちたるぅと先輩に、びくりと肩が震える。
「す、すみません……」
自分を貶して起こられるなんて……理不尽過ぎる……。
「一度しか会ったことはないですけど、あの人は僕にとって運命のような相手なんです。サラにとってはそうじゃないかもしれないですけど……白神くんの彼女だとしても、諦められないんです」
るぅと先輩……。
本当にどうしてそこまで思ってくれてるのかわからないけど、少し嬉しかった。
そんなふうに言ってもらえて嫌な気持ちになるはずがない。
きっと俺がサラだってわかったら、千年の恋も冷めるだろうけど……。
「……サラにあんな男は、相応しくないです」
ぼそりと、るぅと先輩が呟いた言葉。
その言葉の意味がわからず、首をかしげる。
「……すみません、喋りすぎました。キミには、なぜかなんでも話してしまいそうになるんです」
るぅと先輩は、口元を手で隠すように覆った。
気のせいか……?
聞き返すようなことでもないと思い、この時はとくに気に留めなかった。
「……と、話はそれましたが、とにかくこの学園ではふたつの勢力が存在していて、反発し合っています。あっとくんも明日、クラス発表があると思いますが、その中でも分かれています。ほとんどの生徒が族に所属していますから」
「わ、わかりました……。教えてくださってありがとうございます!」
「そんなにかしこまらなくていいですよ。ちょうどつきました。ここがあっとくんの寮です」
いつの間にかついていたらしく、視線を向ける。
……え、寮って、こんなに豪華なのか……?
どこかの高級マンションかと思うほどの造りに、目をぎょっと見開いた。
「寮の生徒以外の者が入ればセンサーが反応するようになっていますから、設備も問題ないはずです」
慣れた足取りで入っていくるぅと先輩に続いて、エレベーターに乗る。すると、るぅと先輩は最上階のボタンを押した。
「ここです」
「え……」
最上階の一番奥って……。
こんないい部屋に住まわせてもらっていいのか……?
「ちなみに、僕は手前の部屋です。下の階には生徒会の幹部が住んでいます。……さっきも説明されたと思いますけど、あっとくんの隣の部屋が生徒会長です」
俺の部屋に行く前に、隣の部屋の前で立ち止まったるぅと先輩。
「一応生徒会長にも挨拶しておきましょう。愛想のない人ですけど……まあ、会えばわかります」
……?
意味深な言葉を吐いて、るぅと先輩がその部屋の扉をノックした。
「まぜ太くん、ちょっと来てください」
るぅと先輩は呆れたようにため息をつきながら、大きな声で言った。
すると、中からひとりの男の人が現れる。
う、わ……。
イケメンって、こういう人のことを言うのか。
るぅと先輩も芸能人のような顔の作りだけど、この人は何ていうか、別格だ。
こんな整った容姿の人……見たことない。
「まぜ太くん」
るぅと先輩に名前を呼ばれた彼は、だるそうにこちらを見た。
黒と白の髪に、吸い込まれるような金色の瞳。
アクセサリーをつけているわけでなく、髪もとくに整えているわけではなさそうだけど、それでも彼は美しかった。
そして、着飾る必要のない美しさの中に、近寄りがたいオーラがあった。
「聞いてますか?」
「……うるせぇ」
「うるさいじゃないです!今日からまぜ太くんの隣人になる生徒を連れてきました」
呆れた様子のるぅと先輩が言って、俺も慌てて頭を下げる。
けど、彼は俺のことなんて、視界にすら入れようとしていない。
まるで、見えていないものとして扱われているような気がする……。
「理事長から話を聞いていますよね?」
「聞いてる……」
「ならよかったです。この方です」
るぅと先輩が俺の肩を叩き、ようやくこっちを見てくれたまぜ太と呼ばれた人は、相変わらずだるそうな態度を改める気はないらしい。
「紅瀬あっとです。よろしくお願いします」
軽く頭を下げると、舌打ちをする音が聞こえた。
「……俺に用事がない限り話しかけてくるな。あと……うるさくしたら追い出す」
え……野蛮……。
見下ろす視線は、相手を凍らせてしまうほど冷たい。
けど、“怖い人”は慣れっこだから、別になんとも思わなかった。
生徒会長がこんなに無愛想な人だっていうのは想定外だけど……。
「……初対面でそんな威嚇するようなこと言わないでください!」
俺をかばうように言ってくれたるぅと先輩。
やっぱり、先輩はいい人だ……。
「関係ない。人とは関わらないって言ってるだろいつも」
なんだかふたりの間に険悪な空気が流れ始めて、慌てて笑顔を浮かべた。
「あ、あの、大丈夫です。るぅと先輩、かばっていただきありがとうございます。極力ご迷惑かけないようにするので……し、失礼しました……」
そう言って頭を下げると、生徒会長は一瞬驚いたように目を見開いたあと、すぐに眉間にシワを寄せて舌打ちをし、扉を閉めた。
「……すみません。あの人は人嫌いですから、人には誰にでもああなんです」
「そうなんですね。俺は平気ですよ」
「そう言ってくれて助かります……まあ、関わることもないでしょうから、あの人のことは無視してください」
こくりと頷くと、るぅと先輩は苦笑いを浮かべた。
「それじゃあ、何かわからないことがあったら聞いてください。……そうだ、三年生の階には来ないほうがいいですよ。聞きたいことがあれば、僕は基本的に寮か生徒会室にいますから、いつでも来ていいですよ」
え?
「どうしてですか……?」
学校に慣れたら、三年生の階ににしきを探しに行こうと思ってたのに……。
「上級生の階に行かないのがこの学園の暗黙の了解なんです。野蛮な人もいると言ったでしょう?その人達に絡まれる可能性もありますし、基本的に他の学年の階は立ち入り禁止にしているんです」
……そうなのか……。
でも俺、にしきが三年生でfatalってことしか知らない。どうやって会いに行けばいいんだ……?
さっそく困ったことになったけど、同じ学校にいるから、そのうち会えるはず……。
にしきもきっと、見つけてくれると思うし……。
そう期待することにして、俺はるぅと先輩に「わかりました」と返事をした。
「今説明するのはこれくらいです」
「はい、ありがとうございました!」
「僕の役目ですから、気にしないでください。楽しい学校生活になるといいですね」
ふふっ、そうなるといいな……。
俺は笑顔で、大きく首を縦に振った。
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いつも見てます!!
隼人, ❥ ↝😈🔥サブ垢