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「……………え?」
薄黄色な部屋にパイプが張りめくらされている部屋
周りの職員はオフィサーしか居らず、何だか異様な雰囲気である
ふと自分を見やれば大分前に着なくなったスーツ
仮面も『笑顔』もギフトも無く、私の手には懐かしい警棒が握られていた
直前の記憶との齟齬に脳がフリーズする
「…………夢……?」
そうとしか考えられなかった
どれだけ記憶通りでも、先程の光景が…
「……………」
(………いや、夢に決まってる)
確かにこれまでの夢は妙に現実的で…これから起こる事と言われれば妙に納得してしまうが…
…ならこの状態は何だ?
どう見ても入社直後で指示を待っている様にしか見えない
(……あ)
大分懐かしい顔を見つける
初日に出会い、私が話しかけたオフィサー
どこかのタイミングで見なくなってしまったが、その顔は夢の中と全く同じで…
「あの!…さ、」
試しに話しかけてみた
あれが夢なのか確かめる為に同じ内容を話してみる
「………初めまして。私はスミレ
…貴方は? 」
話をした
巣での大学を卒業し、幾つもの書類選考に入社条件を通過してようやく入社する事が出来た…と、
全く同じ表情と一言一句同じ言葉で言われてしまった
(…夢じゃない?
それとも予知夢みたいな…
いや、というよりかは……)
「…!」
作業指示が入る
向かう場所もやはり変わらず、とういことは……
収容室へ入れば、想像通り自分の倍程度のサイズをした頭蓋骨が出迎えてきた
「………」
作業を終わらせる
今の所私の記憶以外が初日へ戻っているようだ
つまり、これまでの記憶は実際に起こっていたという事で…
(私はハンスを守れなかった…?)
私の記憶ではハンスは…
『O-04-72《地中の天国》』によって…
「………いや」
違う
違う違う違う
そんな訳がない
彼はきっと生きている
たとえ全てが記憶通りでも、それを肯定してしまえば私は……
…あれは私が彼と会いたいが為に生み出した幻想だ
そう結論付け、私はまた作業へ戻るのだった
21日目
分かった事がある
一つ、私以外の職員、ましてやセフィラまでもが私のような記憶は持っていなかったこと
二つ、アブノーマリティが収容される順番は記憶とは全然違い、最初の『O-03-03《たった一つの罪と何百もの善》』以外はほぼ全てが見たことの無いアブノーマリティだった
…そして三つ目、入社してくる職員はタイミング、人物共に全く記憶通りだったこと
しかし、だからといって殉職した日までもが同じという訳でも無く、実際コントロールチームは私の記憶より職員が少なくなっている
あれは夢でも幻想でもなかった
きっと私は彼を守れず無様に死んでいったのだろう
今日は21日目
あまり日数は詳しく覚えて居ないが、たしか今日に……
私はソワソワしながらもコントロールチームのメインルームで待機する
入社してくる職員はタイミング、人物共に記憶通り
……つまり
メインルームの扉が開き、廊下の先から人が入ってくる
私は少し服装を整え、その人物へ話し掛ける
「久しぶり、ハンス」
「……………は?」
次こそ、貴方を守ってみせる