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うい、我です。
前回のとーます視点を見てから、かえる視点をみた方が分かりやすいかと思います。
(以下略)
ーーかえる視点ーー
「かえる、今日なんかいいことあった?」
『まあね~。』
とーますの声が通話越しに聞こえてくる。
そう、あったよ。いいこと。
ずっと欲しかった限定版ゲームのソフトが再入荷したって連絡がきたの!!
本当にそれだけなんだけどね笑
ネットじゃ全然買えないからさ~。
けど、まだとーますには言わないでおく。
一緒にそのゲームをやる時に伝えたら驚いてくれるかな~。
「え~、何があったの??」
こういう時のとーますの声、なんか子犬みたい。
『う~んとね…』
ピンポーン
あ、チャイムだ。
僕の家っぽいな。
「かえる、チャイム鳴った?」
『そうみたい。』
『ちょっと行ってくるね。』
「ん、いってらっしゃい。」
離席する事を彼に伝え、椅子から立ち上がる。
誰だろう。
こんな時間に。
僕、何か頼んでたっけ…?
ドアホン越しに覗いてみると、そこに立っていたのは男の人だった。
服装的に宅配業者ではなさそうだな。
顔が少し困っているように見える。
僕に何か聞きたいことでもあるのかな。
『はーい』
話を聞こうと思い、ドアを開ける。
男の人は、何も言わずにこちらを見つめてくる。
なんか…ちょっと怖いな…。
『あの…何か…?』
そう問いかけると、男は僕の言葉を遮り、無理やりドアを開き入ってきた。
『いや、ちょ、何…!』
突然のことに驚き、僕は後ずさりをする。
が、そんなことはお構い無しに男は無言で近づいてきた。
『やめてくださいっ…!』
怖くて声が震える。
僕の後ろには、まだとーますと通話中のスマホがある。
急いでそのスマホを手に取る。
とーます、聞いてるかな…。
早く逃げなきゃ…。
そう思った瞬間、強い力で肩を掴まれた。
抵抗しようと腕を振り払っても、男はさらに力を込めて僕を床に押し倒してきた。
『いや…!!』
床に叩きつけられた衝撃で、頭がぼんやりとしてくる。
気づけば、スマホも手から離してしまっていた。
【それじゃあね。】
その男の声の後に聞こえてきたのは玄関のドアが閉まる音。
『……けて…。』
声にならない言葉が、かろうじて口から漏れる。
お願いとーます…。
気づいて…。
助けにきて…。
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