──────ガンマス視点──────
しばらく目を塞ぎ、死を待ったが、それが訪れることは無かった。不思議に思い、目を開ければそこには茶髪で、くせっ毛気味の狐耳をはやした──────れいまりさんが、私のことを姫抱きしてくれていた。だから落ちる感覚がなかったのか、そう理解する。しかし、疑問は私の中で溢れ続けている。どの疑問から言えばいいのか、全て同時に聞きたいと思うほど今起きた出来事は難解な事だった。
「ガンマスさん!大丈夫でしたか?」
れいまりさんが、私のことを見つめながら、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。しかし、それどころでは、と言いかけた時、上空から無数の槍が振り落ちる。光や、闇、様々な属性が入り乱れた矢が、私たち目掛けて飛んでくる。
「れいまりさん!危ない!!」
そう言って、私は武器を構えようとしたが、思いのほか、れいまりさんがしっかりと拘束していたせいで、咄嗟に動くことが出来なかった。しかし、れいまりさんは冷静に御札を空中に貼り付け、結界のようなものを作りだす。たちまちそれは、球体となり、私達を360度全体の攻撃を守ってくれる。カキンッキンッと結界によって弾かれた矢がぶわりと空気に染まり、消えていく。この猛攻を耐えきったのだ。
「れいまりさッ!」
「しーっメテヲさんに気づかれちゃいますから。」
私の言葉を遮り、れいまりさんは自身の唇に人差し指を軽くおき、ウィンクする。こういう時にも余裕があるとは、と精神力の強さに驚くと同時に尊敬する。
「ガンマスさん。1時、撤退しましょう。」
え?と思わず思ってしまう。何故ならば、今から攻め込む、と思っていたが、逃げ帰るという選択肢が出たからだ。私が予定していたプランが崩壊し、修正不可能なところまで来てしまった。
「逃げ帰る…逃げ帰るんですか?」
焦りのあまり、私は2度同じことを繰り返す。それは、私への侮辱であると同時に、私が殺してしまった天使たちへの手向けにすらならない。そこを考えているのか、と助けられた身でありながら思ってしまう。
「違います。戦略的撤退です。この情報を皆さんに共有しなければなりませんから。」
「それは、私が殺した天使があまりにも報われないと思いませんか?私はここで潔く死ぬべきなんですよ。」
淡々とした議論に見えるが、瞳の奥底では、両者1歩も引かないという維持の強さ、根比べが始まる。
「私は、ガンマスさんを救う為だけにここまで積み上げてきて、手札を切ったんです。引き下がれるわけないじゃないですか。」
そう言って、少し怒ったかのような表情をうかべる。しかし、私はこの言い草に少々理解し難いことを言ったように感じる。
「その言い方的には、こうなることがわかってたみたいに見えますけど?」
私がそういえば、れいまりさんは当たり前、と言わんばかりに誇らしげに言う。
「私、未来が見えるので。」
そう言って、私を姫抱きしたまま空中でくるりと回転する。こんなにも動き回っていたらメテヲさんにバレそうな気もするが、幸い、近くにはいないようだ。
「…なるほど?」
「あっさり信じてくれるんですね。信じてくれないかと思ってました。」
そう言って、驚いたかのような表情をれいまりさんがうかべる。正直、信じれない話ではあったが、それくらいでないと、この状況で落ち着くことも、冷静に対処来ることも出来ないと思ったからである。
「…と、雑談はいいんですよ。それよりも帰りましょ?ね?」
そう、圧を押してくる。…一芝居、打つことにする。
「わかりました…。帰りますよ。今回は。」
そういえば、れいまりさんは目を輝かせ喜ぶ。とてもわかりやすい。
「本当ですか!?わーい!!やった!!帰りましょ帰りましょ!」
そう言って、私からやっと姫抱きという名の拘束を外す。私は諦めた振りをしつつ、ゲートを作り出す。禍々しく、重圧感が溢れたそのゲートを躊躇無く、れいまりさんは入っていく。
「ガンマスさん!早く行きましょ!!」
そう言って、私の手を強く繋いで、ゲートの中へと引きずり込もうとする。その瞬間、強い風が吹き、私の布が飛ばされ、顔が現れになる。
「あ”ッ!?」
れいまりさんは見ないように素早く目を閉じようとしたが、時すでに遅し、しっかりと私の顔を捉える。そう、見てしまったのだ。
はらりと私の手をしっかりと掴んでいたれいまりさんの手が離される。そして、放心状態のれいまりさんはそのままゲートへと吸い込まれて行った。…やはり、れいまりさんはゲートを作ることが出来ないようだ。疑念が確信へと変わりまた、思いのほか思い通りに言って安心する。次は本気で行かなければ。あれほどの大技を出したあとだ。まだ疲れて近くで休憩しているはずだ。まだ、まだ戦いは終わりなどでは無いのだ。そう決意し、私は身を風にのせる。
ここで切ります!なんか最近毎日のように退出物におわれてる…なんで?てことでさっさと切り上げましょう!おつはる!
コメント
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人芝居はね…曲なのよ