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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

68 - 第三章 ときめきの甘い恋を、あなたに EP.3「突然の雨に見舞われて」③

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2025年02月06日

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私の顔を挟むように両手が突かれ、あまつさえベッドに乗せられたもう一方の足で、半身を跨ぐように両膝に挟み込まれた。


「えっ……な、何を……」


言いかけて、気づいた。ここが、ホテルだということに──。


そこ・・に、二人っきりでって言ったら…………。


「あああ、あの、た、貴仁さん?」


突然のことに、とんでもなく動揺が込み上げる。


「……もう、疲れは取れたか?」


耳元に寄せられた唇で、低く問いかけられて、身体がゾクリと震えを放つ。


「は、はい。ですが、何を……」


「何を……?」


ますます彼の顔が迫り寄り、互いの鼻先が触れそうになる。


「あの、こ、ころの、準備が……」


「何の準備だ、よく聞こえない」


甘ったるい吐息が吹きかかり、今にも唇が付きそうな程近さに、思わず目を閉じた。


(もしかしたら気を引くために、聴こえているのに聴こえないふりをしてたりとか……)と、さらにギュッと固く目を瞑るけれど……、


しばらくそうしていても、何も起こるような気配もなく、恐る恐るまた瞼を開いてみた。


真上からじっと見つめる彼の眼差しとかち合い、胸がドクンと波打つ。


「貴仁さん、あの……」


「どうした、急に目を閉じて。まだ眠いのか?」


怪訝そうな顔で尋ねられて、えっ……、そういう雰囲気・・・・・・・じゃなかったの? と一瞬思い、はたと勘づく。


そういえば彼は、あんまりお付き合いの経験がなくて……って。……ということは、もしかして、ど……どう…て…──?


……それは、果たして訊いてみてもいいことなんだろうかとためらう。


「どうしたんだ、眠いのなら、寝ていてもいいが」


この言動からしてもどうもムードが違うみたいだし、やっぱり彼の胸の内を確かめてもみないとだよね……と、私は意を決して口を開いた。


「貴仁さんは、その、ど……」


……待って、聞けないってば。ううん違う、そんなストレートに尋ねようとするから、ダメなんだってば。もっとそう……ソフトな聞き方で……。


ソフトなって、でもどんな風に……?


「眉間にしわが寄っているが、さっきから本当にどうかしたのか?」


そう言う貴仁さんの額にも、困惑したように微かなしわが浮かんでいる。


「いえ、どう……、どう、も、しては……」


なんとかこの場をうまく切り抜けようとするけれど、”どう”と口にしただけで、ドキドキするとか、それこそ本当にどうかしてるってば……!


「あぁ〜ん、もう……」


悶々として思い悩んでいたら、はからずもあらぬ声が口からこぼれた。


すると──、


「この体勢で、そんな声を出されては、私の理性が保てなくなりそうだ」


彼が、私のうつをにわかに払拭するような、まさかの一言を漏らした。



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