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朝起きるとなんだかいつもより少し寒く感じた。
「あ、もう出掛けたんだ」
サイドチェストの上にあるデジタル時計を確認すると【9:00】と表示されている。
「いや、寝過ぎだよね……」
のそりと起き上がりリビングに行くとご丁寧にダイニングテーブルの上におにぎりと卵焼きがラップされており、置き手紙に味噌汁もあるからね、夜までには戻ります。と書かれていた。
「感謝感激です……」
本当にスパダリなんじゃないか? と思わせる彼の行動に手を合わせて感謝する。
隆ちゃんがいない事をいい事にパジャマのままおにぎりを頬張る。私の好きな鮭のおにぎり。味噌汁は温め直すのがのが面倒くさいので食べない。
皿を洗い、歯磨きと顔を洗い髪を梳かす。今日は一日一人だと思うとウキウキしてしまう。なんたって堂々とBL漫画が読めるから!
家の中でスキップをしながら自室に入る。
「んぅ〜この感じが堪らないぃ〜」
ズラリと並ぶ漫画や小説達にうっとりしてから、部屋着に着替え、段ボール箱を開封する。
(いでよ! BL漫画ちゃんっ)
思わずニヤけてしまうが部屋に一人なので存分にニヤニヤできる。
部屋にはソファーや椅子など座る場所をまだ用意していないので両手で抱える程漫画を持ちリビングに向かった。
(……今度ビーズクッション買おうかな、でもアレに座って漫画読んじゃうともうそこから抜け出せないんだよなぁ)
ドサっと漫画をソファー横の床に置き早速ページをパラリ。ふぅ。良き。
同性愛ってやっぱりまだ偏見があるからか、ヒロイン(男だけど)はその思いに葛藤しながらもやっぱり好きで一途に思い続けるタイプの話が多い。下手な少女漫画よりも純愛なんじゃないか? って、思うような作品が多い。
でもまぁなかなかハードな絵面もあるから苦手な人も多いのは事実だ。
読み出すとBL沼にハマってなかなか抜け出せない。特にオメガバースなんて読んだ時には興奮がなかなか冷めなくて困る。(興奮っていっても性的興奮じゃなくて、物語の凄さに興奮ね)
キリのいいところまで読んだらあっという間にお昼の時間を過ぎてきた。トイレにくらいしか動かず漫画を読んでいただけなのにグゥとお腹が鳴る。
(隆ちゃん夜帰ってくるって書いてあったな……朝ご飯作ってもらっちゃったし、夜ご飯の支度してみようかな)
お昼は炊飯器に残っていたご飯と納豆、隆ちゃんの用意してくれていた味噌汁を温めた。豆腐とネギとワカメの入った味噌汁は私の好きな具材だ。
「んぅ、美味しい」
「ご馳走様でした」と手を合わせ食器を洗った。
よし、と気合入れに両太腿を叩きTシャツジーパンに着替えてマンションを出る。夜ご飯の食材をスーパーまで買いに行く事にした。近所のスーパーは会社とは反対方向、歩いて十五分程で着く。日差しが強くて額にじんわりと汗をかいてきた。
「これ、エコバッグ持ってきたけど、お肉買ったら腐るんじゃない?」
仕方ない、保冷剤も一緒に買おう、とボソボソ独り言を呟きながらスーパーに向かう。
自動ドアが開き中から冷気が出てくる。暑さにやられていた身体にはちょうどいいひんやり加減でまさに、生き返るぅ〜って言葉がピッタリだ。
カートにカゴを乗せ、まずは野菜コーナーから。前回来た時は隆ちゃんに任せっぱなしで金魚のフンみたいについて行くだけだったので、今日は自分で考えながら買わないといけない。
歩きながらメモ帳アプリに書いてきた食材をカゴに入れていく。人参、ジャガイモ、玉ねぎは冷蔵庫に入っているのは確認済み。ハンバーグの付け合わせにブロッコリー、合い挽き肉、パン粉、牛乳、腐らせないように保冷剤も購入した。エコバッグに詰めてマンションまでの十五分の道のりをまた歩く。なかなか重い。人参ジャガイモ玉ねぎの御三家が重く、右手で持ち直し、左手で持ち直しを繰り返しながら歩く。
美味しく作れるかなぁ、何度も袋を持っていない反対の手でレシピを見ながら歩いていたらあっという間に着いた。
買ってきた食材を冷蔵庫入れて、コップにコポコポと麦茶を注ぐ。ゴクンと一口、冷たい麦茶が身体の中心をスゥーっと通る。冷たくて気持ちがいい。
「よし! とりあえず漫画よもーっと」