類司 ロゼ王 (1)
※ツが死んでます、
派生です、
語彙力がないです、
続きます。
国が一眺できる高台。僕の目の前には、今は亡き王であり僕の元主人が治め、守り、愛し、栄えさせた、綺麗で美しい街の風景が。陽の光が徐々に消え始めていて、目に入る建物からはぽつぽつと灯りが付いていく。
あぁ、もうこの景色は見れないのか、それは少し寂しいな、なんて。ここまで来て今更何を考えているんだと、両手に持った、小さなトパーズが埋め込まれたネックレスと、それと同じぐらいの大きさのアメジストが埋め込まれたネックレスを交互に見つめてひとつ小さな溜息を零す。
きっとこんなことをしても元主人……ツカサくんは喜ばない、寧ろ悲しまれてしまう。わかっている、わかっているから、“あの日”から今日まで、ずっと答えを探していた。けれど、どれだけ考えても、正解なんてわからなかった。答えを教えてくれる君は、もうこの世にいない。
2週間程考えて、やっと答えが見えてきた気がした。そうだ、正解がないなら、何をしても、正解にも、不正解にもならない。それを、今まで書いては消してを繰り返していた手帳に書いて改めて見返した時、全身に付いていた錘がスッと外れ、一気に体が軽くなった気がした。
『僕が早くツカサくんのところに行けばいい。』
それなら、と。この考えに至るまでに、あまり時間は掛からなかった。
会いたい、早く、ツカサくんに。そう考えた瞬間、足が途端に軽くなった気がして、1歩、また1歩と高台の柵へ近づく。これで最期か、なんだか呆気ない終わり方だなぁ…なんて、最愛の元主人の最期に、なんの演出も付けることができなかった僕が何を言っているのだろうか。
「ははっ……w」
顔は引き攣っていて、ぎこちない笑顔と乾いた笑い声が溢れる。
「…どんな形であれ、最期くらいは笑顔の方がいいと思わないかい?」
観客がいる訳でもないのに、かつての自分のように、演技がかった喋り方をしてみる。でも、そうだな。最後の1歩を踏み出す前に、今までの僕とツカサくんのことについて思い出してみることにしよう。ふと周りを見渡せば、自分が高台に上ってきた時よりも、辺りが明らかに暗くなっていることに気付く。
僕の最期のショウの演出は、月明かりのスポットライトだけか、なんて。我ながら何を考えているんだと、薄ら苦笑を浮かべた後、柵の上に座っている僕は、そっと目を閉じた。
続き→10♡
コメント
2件
うぉぉ…わっちの今まで見た類司とは違う…なんか…これもいい…(ΦωΦ)