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続きです、前回の「類司 ロゼ王(1)」を見た後で見ることをおすすめします。
かなり長くなると思いますが、お付き合い頂けると嬉しいです。
ここからは永遠と類くんが語ります。
※派生、ロゼ王がなんなのかわからない方へ、
派生というのは、メインストーリーとはまた違った世界線でのお話のことです。今私が書いている類司は、高校生の類司ではありません。
ゲーム内の衣装の名前で、CPを組ませます。
ここでいうロゼ王は、「ブラウ・ロゼタキシードの類×キング・オブ・スマイルの司」なので、それを略して「ロゼ王」です。(ゲーム内で衣装を見てきてもらえば想像しやすいと思います。)
私、派生大好きなんですよ!興味がある人はGoogleで「類司 派生」と調べてみてください!
派生の沼へハマりましょう…?TELLERに類司の派生の作品が増えますように…!!
前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここからが本編です、どうぞ。
僕の家は、先祖代々国の王族に仕える使用人の家系だった。幼い頃から礼儀や作法などをみっちりと叩き込まれ、10歳の誕生日から、正式にお城の使用人として働く。ツカサくんと初めて話したのは、そのときだった。幼い頃の僕は、使用人として働くのがとにかく嫌だった。
「…めんどくさい。」
使用人の仕事がびっしりと書かれた本を暗記することなんかよりも、自分の好きなことをしていたかったのだ。母さんが丁寧に仕事のやり方を教えてくれているときも、右から左へ、聞き流していたっけ。そうしているうちに、僕は10歳の誕生日を迎えてしまった。
「おめでとう、ルイ。」
「ルイくんおめでとう!」
「遂にルイくんも私達の仲間入りね!」
「お前はきっと立派な使用人になれるぞ!」
「ルイくん、大きくなったねぇ〜、おめでとう。」
「頑張ろうね!ルイくん!」
様々な祝福の言葉を、大人達は僕に投げる。礼儀や作法、言葉使いなどは、ある程度身に付いてはいたけれど、使用人の仕事は、まるで出来なかった。それはそのはず、、今まで散々背を向けていたことを、いきなり完璧にこなすことなんて不可能だ。未来への不安に押しつぶされそうだった。救いを求めて、周りを見回す。
「ぁ…あぁ…!!」
だけど、救いなんてどこにもなかった。周りの大人達はみんな僕に期待の眼差しを向けている。自分で言うのも恥ずかしいことだが、僕は比較的に、周りの人よりも頭が良かった。早いうちから計算や読み書きができていたし、9歳のときには、暇潰しにおもちゃを改造して、ボタンを押せば、僕が触らずとも、喋って、動くようにしていた程だ。でも、それとこれとじゃ話が全く別だ。
「嫌だ、やめて、見ないで…やめて…!」
周りの視線が気持ち悪い、期待なんてしないでほしい。僕は期待されるべき存在じゃないのに。
「父さん…、母さん…!」
助けを求めるように父と母の方を見ると、どちらも周りと同じような、期待の眼差しを僕に向けていた。
「っ…!?」
もう、ダメだ。ここに居たくない、涙が溢れ落ちる。周りの音は聞こえなかった。自分よりも大きな大人たちを掻き分けて、僕は無我夢中に走った。普段あまり動かないからか、それともお城が広すぎるからか、すっかり上がってしまった息を、深呼吸で整える。
やっと呼吸が整ってきた、と思った瞬間、足の力が抜け、その場にペタンと、座り込んでしまった。
「違う、僕は…、期待になんて、使用人になんて……!嫌だ、やりたくない…、ごめんなさい…!!」
誰もいない、静かな廊下で、僕は泣いた。声を上げて、涙を拭うこともせずに、ただ、ひたすら泣いた。次の日から使用人として働かなくてはいけないという絶望、向けられる期待の眼差しの気持ち悪さ、その期待に応えられない惨めさ、全てが大きな水粒となって、僕の目から溢れ落ちていく。
…うーん、今考えたら失礼極まりないよね、確かこの後、お城を爆破すれば、使用人にならなくて済むんじゃないか、とかも考えたんだっけ。うん、過去に戻って一発ぶん殴ってやりたい。いや、一発じゃ絶対に足りないね、五発ぐらいやってらないと気が済まない…。おっと、話が脱線してしまったね、さて、話を戻して…。
どのくらいの時間が経ったのかわからない、泣き疲れて、ようやく落ち着いてきた僕は、変わらず同じ場所に座りこんでいた。そろそろ会場へ戻ろうか、そう考え、立ち上がろうとした時、
「そこで泣いているのは誰だーーっっ!!??」
僕の慟哭の声がなくなり、再び静かになったお城の長い廊下に、幼いながら、しっかりと芯のある声が響き渡った。
ここまでです!読んでくれてありがとうございます。
類司好きな人、ぜひお友達になってください!
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