おんりー side
めんの夜は、きっと人よりも、深くて暗い。
肝試しだって敵わないくらいの冷たい暗闇の中に、たったひとり、生身で投げ出されるんだもの。
ねぇ。
つらいよね。こわいよね。
分かってるよ。ううん、なんにも、俺はきっと、理解できてなんか、ない、けど。
「…………。」
甘えていいのに。
言い出せないでいる。あなたの暗闇の中に、飛び込めないままでいる。
「…、……めん…、」
ああ、こえが、でてしまった。だしてしまった。
今なんてきっと、喋れば負担を掛けるだけなのに。またあなたが心を背負って、締め付けてしまうだけなのに。
「…おんりーちゃん」
くるり、例のひどい猫背でパソコンのブルーライトをじっと見つめていためんが、おもむろに振り向く。
「どしたの」
「あ……、…や、なんでも、ないけど、…コーヒーとか、さ、…いる?」
「んーん、大丈夫。ありがとね」
ほら。
ほら、また、無理をさせる、だけだ、
「………ごめん。、…ぁ、の…、………無理しないで、ね、。…」
「ほい。笑」
ちがう。ちがうんだよ、ちがうんだよ、めん、。
「………ほんとに、言ってる、…」
もごもご、鼻歌みたいに吐いては抜けてく言葉ばかり発しても、気づいてもらえないだけだ。
「……………めんは…、もうちょっと作業?」
「っんー、ま、ここだけやったら終わりっすかね~……」
「…そう。」
気の利いたことひとつも言えない自分だ。
「……ごめん、…おやすみ」
「おやすみ~」
…めんの心のぺたぺたしたとこが知りたい。
あなたの毒を食べさせてほしい。全部舐めて、含んで、なくしてあげるから、さ。
「……っ、……。………………。」
ごめんね。
こんな出来損ないじゃあ、あなたに迷惑かけるばっかりだ、。
「………っ…、……。…っ…………………。、」
めんの、布団の、こすれるおと、が、耳にここちよく、聞こえた。
「…………。」
眠れない夜は、いつもよりすこし、つらくなる。
握られた手がちょっとだけ震えていたから、冷たくなった指先で握り返してやった。
コメント
5件
そういう感じすき… 冷静に考えると実際の2人もなんか無理してぶっ倒れたことありそうな感じはする(?)
最後のとこめっちゃ好き ありがとうございます!