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大晦日の夜。
街の喧騒が年末ムードで賑わう中、Hoolaはもこもこのダウンを羽織って、Hyeheheの家のインターホンを押した。
「おまたせ〜っ!ってか、年越しまでに入れてくれないと凍えるってば!」
「……遅ぇぞ、バカHoola」
不機嫌そうな顔とは裏腹に、Hyeheheは用意していたあったかい毛布を彼女に被せてくれる。
「うっわ、あったか!……やるじゃん、へへへ」
ふたりきりの年越しお泊まり会。
テレビをつければ年末特番が流れているけど、どっちも番組にはあまり集中していない。
Hyeheheが持ってきたボードゲームや、Hoolaが持ってきたスナック菓子で夜はゆるゆると過ぎていく。
「……あ、あと10秒で年越しだって!」
「え、じゃあジャンプじゃん!!年越し瞬間ジャンプ!!“地球にいなかったごっこ”しよ!」
「へ?……まじでやんのかよ、だっさ……」
「いいから立って!せーのっ……!!」
\5、4、3、2、1——!/
「ジャンプっっ!!」
二人は部屋の真ん中でぴょーんと飛んだ。
瞬間的に浮いた感覚と、同時にふわっと重なる笑い声。
「ハッピーニューイヤー!!」
「……くだらねー……けど、まぁ、悪くなかったな」
「でしょ?へへっ、今年もよろしく〜♪」
そのあと、こたつで寄り添いながら録画していた映画を見たり、ココアで乾杯したり、ゲームで本気バトルしたり。
静かであったかい夜は、ふたりの距離をまた少しだけ近づけた。
⸻
翌朝__
元旦の朝。ふたりは早起きして、雪がうっすら積もった道を初詣へと歩いていた
「……しぬ。寒い。なんで初日の出なんて見ようとしてんの……」
「うるさっ、さっさとお賽銭入れてきなよ!Hyehehe、何お願いするの?」
「秘密。てか、おれ五円玉しか入れねーから」
「やっすぅ!!(笑)」
神社の境内は人が多く、屋台もちらほら出ていた。
手を合わせたHoolaは願う。
(今年も一緒に、いっぱい笑って過ごせますように…)
横目でちらっとHyeheheを見ると、彼もまた、真剣な顔で手を合わせていた。
「……お賽銭、五円だけのくせに、めっちゃ真剣じゃん」
「うっせーな。真面目に願っちゃダメなルールあんのかよ」
「ふふっ、ないよ。ないけど、ちょっとキュンとした〜〜!」
ふたりは並んでおみくじを引き、凶を引いては笑いあい、屋台の甘酒を飲んで暖まり、
お土産の縁起物の置物を選びながら、ゆっくりとした元旦の時間を過ごした。
⸻
帰り道。
雪がちらつく中、マフラーに口を埋めたHyeheheが、ぽつりと呟く。
「……来年も、また一緒に年越せよ」
「え?」
「なんでもねーよ。聞こえてんじゃねーよ、ばか」
「あはっ、聞こえてたけど?ばかHyehehe〜」
「おい、雪ん中に投げるぞ」
ふざけ合いながらも、隣にいるぬくもりに安心する。
ふたりの新しい一年が、また始まった。
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