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新キャラ出てきます
floogull まぁまぁ真面目で何事にも一途な性格
soozaちゃんに片思い中
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秋晴れの空の下。
グラウンドに白線がくっきり引かれ、カラフルなクラス旗がはためいていた。今日は待ちに待った体育祭!
わいわいと賑わう生徒たちの中で、hoolaはポニーテールを揺らして元気いっぱいに整列していた。
ギャルらしくカスタムしたハチマキをキュッと締め、顔にはやる気満々の笑み。
一方、hyeheheは列の最後尾で体操服の袖を無造作にまくり、余裕ぶった顔で欠伸をかみ殺していた。
でもその視線は、ちょっと前の列にいるhoolaの背中を、ちらりちらりと盗み見ている。
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「みんな〜!赤組も白組も、全力でいこうね〜!」
応援団のSchmoochleが、ハリのある声で応援歌を始める。真っ赤なポンポンを揺らしながら笑顔を振りまく彼女に、観客席からも歓声が上がる。
「よしっ、ボクも負けないぞ〜〜〜〜っ!!!」
隣ではWhiz-bangが勢いよく走り出し――転んだ。
「いった~~~~~~~~いっっっ!?ちょっと先生!この地面傾いてません!?!?」
わざとらしく地面を指差して大声で抗議し、先生にツッコミを入れられている。
「ったく、いつも通り騒がしいね」
とぼやいたのはHumbug。でも、その口元にはしっかり笑みが浮かんでいる。彼はツンとした態度を崩さないまま、みんなの様子をしっかり見守っていた。
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「続きましては、赤組・白組混合で行われる、借り物競走です!」
司会のマイクから響いたのは、真面目な声――Floogullだ。
「ただし、今回の借り物は例年よりも……ちょっぴり刺激的ですので、皆さんお手柔らかに!」
「へ?刺激的?」
hoolaは首を傾げながらカードを引いた。そして目を見開く。
「…………っ、『好きぴ』!?!?!?」
耳まで真っ赤になったhoolaは、急いでカードを裏返したが、文字は変わらない。
「まじか〜……ッでも……やるしかないっしょ!」
顔を両手でバッと仰いでから、彼女は全力ダッシュでスタートを切った。
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「hyeheheぇぇええええ!!!」
「うお、声でけぇな。……なんだよ」
hyeheheは余裕そうに笑ってみせたが、その目はすでに少し焦っていた。
周りの視線が一斉に集まる中、hoolaは彼の手をぐいっと引っ張った。
「ちょっと!“好きぴ”なんだよ!来てよ!!」
「ふーん、そっか」
hyeheheはおどけたように笑って、手を差し出した。
「じゃ、手ぇ……ちゃんと繋げよ?」
「……〜〜〜ッバカ!!」
手のひらがぴったり合わさった瞬間、グラウンドが遠くなった。
歓声も、アナウンスも、一切聞こえない。
2人だけの世界で、風を切って走った。
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「ゴールっ!赤組、得点入りました〜〜〜〜っ!!」
Floogullは一瞬ぽかんとした後、慌ててマイクを取り直す。
「え、え〜……現在のスコアは赤組が逆転!!え、ていうか、あの二人、手、ずっと繋いで……っ、ま、まぁいいか……!」
「やば〜〜〜〜!!今の見た!?」
「hoolaちゃんとhyehehe、まさかのアレじゃん!!」
ざわつく観客席。そこからWhiz-bangがわいわいと叫んだ。
「ボク前から思ってたんだよぉ〜〜〜!!!お似合いじゃない!?!?!?え、え!?付き合ってんの!?まだ!?!?え、でも手〜!?!?」
「ふふっ、青春だねぇ」
Schmoochleがマイクを握ったFloogullの肩をぽんと叩いて笑う。
「いいよね、ああいうの。……で、Floogull、soozaちゃん見てた?君の頑張り」
「そっちの話はちょっと勘弁してくださいッッ!!」
顔を真っ赤にして抗議するFloogullに、周囲からも笑い声が上がった。
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《午後》
hoolaとhyeheheは、グラウンドの隅で水を飲んでいた。
「……見てた?皆の顔」
hyeheheが少し照れくさそうに言うと、hoolaはぷくっと頬を膨らませた。
「見たよ!もう、めっちゃ叫ばれたし!floogull君は噛むし!!!」
「でも、さ」
hyeheheはそっと、もう一度手を繋いだ。
「楽しかったよな、借り物競走」
「……うん。手、あったかかった」
hoolaはそっとその手を握り返した。
風が秋を運ぶ中、2人の笑い声が空に溶けていった。
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