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「もう、やらないで、」
太宰から言われた一言。
あの後は意識を手放してしまったみたいで、目覚めると自分のベッドで寝かされていた。
「現実を見たくないのは分かるよ、、」
太宰の口から吐き出される一言が俺の何かをプツプツと引き裂いていく。
「自分から逃げたいのもわかる、」
プツ
「何もかも忘れたいのも分かるんだ、」
プツ
「でも、1人でこんなことしないでよ、」
ジャキン
___ザク
包丁かハサミか。そんなことはどうでもいいのだか。
刃物が大きな何を断ち切る音が頭に響いて離れない。呪いのように。
___1人でこんなことしないで?
こんな事ってなんだ?
そんなに小さな事だったのか?
1人で決断するのはそんなに悪いことなのかよ?
「お、、ぃ、ったくせに、」
「え?」
「置いていったくせに!」
口から勝手に出てくる。
1度でてしまった其れは止まることを知らない。
「手前は4年前!1人で俺を置いて!1人で決断して!敵組織についただろ!」
「え、ちゅ、や?」
「現実を見たくない?自分から逃げたい?何もかも忘れたい?」
「俺は!自分で生きる為の術を探して!逃げないように!現実を受け入れるように!全部!羊との事も忘れないように!!!!!!」
「この決断を、!したんだよ、!其れを知ったように云うんじゃねェ、」
ブラックホールにでも入れられてたんじゃないかって思うくらい封じられていた想いがポロポロと水を含んだ土のように雪崩を起こして落ちてくる。
「それに、!さっき首領に報告してただろ、!」
意識が曖昧だった時、太宰が部屋のすぐそこで首領に電話しているのを聞いてしまったんだ。
「中也が薬を過剰摂取して、」
ってね。
「手前ならまだバレてもいいと!少しでも信じた俺が馬鹿だった!手前なら直ぐに報告せずに!ゆっくりしてくれるんだって!、、そう、思ってたんだ、!」
込み上げてくるのは裏切られたような悲しみか、其れとも怒りか。、、、否。両者である。
だって少しは信頼をよせていたから。
びっくりしたような、困ったような、何か思い詰めたような太宰の顔が視界に入る。
「ぁ、ちゅ、う、、ぁ」
上手く聞こえない。言っていないのだろうか。
だがもう何を言っても遅いのだ。
だって知られてしまったのだから。
首領に。
太宰が伝えて、誤解が生まれているかもしれない。
生まれていなくとももう何も出来ない。
俺の居場所は無いのだ。
だから家から飛び出した。
一生懸命走った。
早朝の5時半だった。
暫く運動もしていなかったから体力も落ちていた。
ご飯も食べれなかったから筋肉も落ちていた。
それでも逃げるように走った。
足がちぎれるように痛かった。
信頼していた人が。
勝手に広めたのだから。
首領が広めなければいいって訳では無い。
少しでも多くの人に伝わるのが苦しかった。
息が詰まった。
走りながら、頭の中は考えでいっぱいだった。
どうして。
なんで?
太宰は電話で言った。
「死んで欲しくない。」
と。
「苦しいだろうけど。しんどいんだろうけどさ。」
って。
意味がわからない。
しんどい。
しんどいからだよ。
何故?
太宰side
森さんに伝えた事が中也にバレていたみたい。
私も分かっていた。
自分勝手だと。
もし私が中也の立場なら、絶対に言われたら許せない。
其れが分かっているのに。
中也が居なくなったら、
なんて考えたら。
言わずには居られなくなったんだ。
嫌いな奴でも、長年居た仲だからかな。
少し、寂しくなって。
ほんと、最低だな。私。
分かっていてやったんだから。
中也side
首領から電話が来た。
一応出てみるか。
「もしもし。首領。」
「中也君。太宰君から聞いたよ。今の体調は平気なのかい?」
嗚呼やっぱり。
これからどうしよう。
俺は首領に返答せず端末を川に投げ捨てた。
誰にも探られたくない。
深く探られるのが怖い。
足が酷く冷えている。
見ると靴を履くのをどうか忘れていたみたいだった。
少し石を踏んだりしたせいか、所々と皮膚が向けているのが目に入る。
現実味がない。
動かない。
もういっそ死んでやりたい。
死にたい。
太宰が死んで欲しくないって言ったから死にたい。
___生きても何も、好きなことも出来やしないんだから。