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お前に会えた時点で
俺の人生はお前に委ねるべきだった
俺は誰かに大事にされたことなどなかった。
両親?
そんなの、俺が生まれて1年経つ頃にはもう俺の前から消えてたよ。
だからずっと、独りで彷徨ってた。
それで良かった。
それに俺は身体も強かったから、一定の年齢になれば戦いに行かなければならなかった。
俺はそんな生き方が良かった。
それなのに。
その年齢になるまでのカウントダウンが一年に迫った時、灯に巡り会ってしまった。
《灯、灯!!聞こえる?!灯!返事して!》
必死な女の声が聞こえた。
最初はスルーしようと思った。
だけど 俺は、雪のように白い肌と長いまつ毛、彫刻のような美しい横顔を見てしまった。
女の方じゃない。倒れ込む少年の方だ。
俺は駆け寄って、女に話を聞いた。
暑さに耐えれず倒れてしまったようだった。
少年を抱えて近くの川まで運び、水を飲ませたりと、とにかく涼ませた。
その間もずっと見惚れていた。
回復し目を覚ますと、飲み込まれてしまいそうなほど美しい、黒い瞳に反射する光に照らされた。
この少年も俺に見惚れているように見えた。
かわいい…。
と思った。
こんな気持ちを感じたのは初めてで、どうしたらいいか分からなかった。
だから俺は、できるだけ悟られないようにした。
女は母親だったらしく、とても感謝された。
『これくらい、普通ですよ。こいつが無事で何よりっす。 』
《貴方のお名前を是非、伺いたいのですが…。》
『俺の名前…ですか…。明…』
《まぁ、!良い名前…。この子は灯っていうんですよ。運命かしら…なんて…ふふ。》
母親はそう言って微笑んだ。
運命…。あながち間違ってはいなかったのだろうか。
灯という名の美しい少年は、俺が助けたことを知ると、すぐ俺に惚れ込んだ。
「母さん…僕、明くんと暮らしたい…」
俺は驚いた。例え一緒に暮らしたとして、そんな生活は一瞬で終わってしまう。
そんな事情を話すと、母親も更に悩んでいた。
とりあえず、俺がこの家に加わる形に落ち着いた。
灯は15歳だった。
俺は17だったけど、灯は小さく思えた。
とても甘えん坊で、俺によく懐いた。
「明くん、」
とよく呼んできた。
とても可愛かった。
俺は比較的なんでもできたから、忙しい母親に代わって家事をしたり、身体が弱い灯の看病をしたり。
時には金を稼いできた。
灯とその母親と過ごす日々は本当に楽しかった。
最初からここにいられたらよかったのに。
何度もそう思った。
「明くんの作るご飯、とっても美味しい」
よくそう言って微笑んだ。
嬉しかった。
そして俺は灯に抱いている感情が恋だと気づいた。
恋はどこへやればいいんだろう。