テラーノベル
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シェアハウスの地下にある防音室では、K-Tとアオノが演奏に夢中になっていた。
K-Tはドラムを激しく叩き、アオノはギターを弾いている。二人の演奏は想像以上に本格的で、外の物音などまったく聞こえていなかった。
その頃、リビングでは――。
カキ「これ、アオノが作ったマシーンだよな?」
テーブルの上には、複雑な配線と操作パネルが付いた機械が置かれていた。
カキは周囲を見回す。
カキ「誰もいないし、ちょっとくらい触ってもいいよな!」
カキは、赤いレバーを勝手に引いた。
マシーン「ウィィィィン……!」
カキ「おおっ! 動いた!」
マシーンの中央部が開き、青白い光がリビング全体へ広がっていく。
メバル「カキちゃん、何をしてるの!?」
カキ「メバルちゃん! これ、すごいぞ!」
マサカゲ「カキ、すぐに操作をやめてください!」
ミステー「これは非常に興味深い現象です。装置内部のエネルギー循環が通常の――」
メバル「ミステーちゃん、説明はあと!」
光が四人を包み込む。
カキ「うわっ!」
メバル「きゃあああっ!」
マサカゲ「全員、伏せて!」
ミステー「人格変容に関する仮説としては――」
四人はその場に倒れ、マシーンも音を立てて停止した。
しかし、防音室にいるK-Tとアオノは、その異変に気づいていなかった。
K-T「……」
ドラムが激しく鳴り響く。
アオノ「そのリズム、いい。もう少し速くする」
K-Tは無言でテンポを上げ、アオノもギターの演奏に集中する。
リビングで四人が倒れてからしばらく経った後、ようやく二人の演奏が終わった。
アオノ「……今、何か音がしたか?」
K-T「気のせいだ」
アオノ「そうか」
二人は演奏を続けていたため、リビングで何が起きたのか、まったく把握していなかった。
K-Tとアオノが防音室を出てリビングへ向かう。
アオノ「マシーンの稼働状態を確認する」
K-T「……」
リビングに入った二人は、床に倒れている四人を見つけた。
アオノ「……」
K-T「……」
アオノ「メバルちゃん、カキ、マサカゲ、ミステー。全員、意識を失っている」
K-Tは倒れている四人を見たあと、無言でキッチンへ向かった。
アオノ「Kさん?」
しばらくして、K-Tはフライパンとお玉を持って戻ってきた。
アオノ「起こすのか」
K-T「……」
K-Tはフライパンを構え、お玉を勢いよく振り下ろす。
カン! カンカンカンカンカンカンッ!!
凄まじい金属音がリビングに響き渡った。
メバル「うるさいわね!」
カキ「敵か!? どこだ!」
マサカゲ「全員、状況を確認してください!」
ミステー「意識の回復を確認しました。まず、我々が同時に倒れていた原因についてですが――」
四人は一斉に起き上がった。
だが、いつもと様子が違っていた。
メバルの髪は、普段より短めになっている。表情も険しく、周囲を見下ろすような高圧的な態度を取っていた。
メバル「あなたたち、いつまで床に座っているの? さっさと立ちなさい」
カキ「メバルちゃん、髪が短くなってるぞ!」
メバル「髪型の確認は後。今は状況把握が先よ。あなたは余計な発言を控えなさい」
カキ「はいっ!」
マサカゲは髪を整え、穏やかな笑顔を浮かべている。普段なら真っ先にカキを止めるはずなのに、妙に落ち着いていた。
マサカゲ「まあまあ、メバルちゃん。そんなに厳しくしなくてもいいでしょう」
メバル「あなたもまとめ役なら、もっと積極的に指示を出しなさい」
マサカゲ「そうですね。では、全員でマシーンをもう一度動かしてみましょうか」
アオノ「待ってください。再起動は危険です」
カキ「じゃあ、俺がやる!」
メバル「勝手に触るなと言っているでしょう!」
カキ「でも、動かしたら元に戻るかもしれないぞ!」
メバル「あなたは本当に話を聞かないわね!」
その横で、ミステーがゆっくり立ち上がった。
頭には、なぜかピラミッドの被り物をしている。
アオノ「ミステー。その被り物は何ですか」
ミステー「この被り物について説明します。まず、ピラミッドとは古代文明における巨大建造物の一種であり、その形状には構造力学上の合理性が認められます。特に底面積と高さの比率について考察すると、安定性と象徴性が同時に成立しており――」
カキ「ミステー、いつもよりよく喋るな」
ミステー「それは正確な指摘ではありません。私は以前から一定量の発話を行っていました。しかし、今回の人格変化によって思考の言語化が促進されている可能性があり、その原因としては装置から放射された未知の波動が脳内の言語処理領域に――」
メバル「要点だけ話しなさい!」
ミステー「要点を述べるためには、まず前提条件の整理が必要です。第一に、我々が倒れた時刻。第二に、マシーンの稼働状態。第三に、私が現在ピラミッド型の被り物を装着している理由。この三点を関連づけると――」
マサカゲ「ミステー、話が長くなっています」
ミステー「まだ序論です」
アオノ「序論?」
ミステー「はい。ここから本論に入ります」
カキ「本論も長そうだな!」
ミステー「本論では、人格変化と髪型変化の因果関係について、古代エジプトの服飾文化を参考にしながら――」
メバル「誰か止めなさい!」
アオノはマシーンの操作パネルを確認しながら、淡々と原因を調べていた。
アオノ「カキが勝手にレバーを操作したことで、試作段階の人格変換モードが起動したようです」
カキ「人格変換モード?」
アオノ「本来、搭載した覚えはありません。誤作動によって、装置が使用者の人格データを書き換えた可能性があります」
メバル「つまり、私たちの性格と髪型が変わった原因は、カキちゃんということね」
カキ「俺のせいか?」
メバル「他に誰がいるのよ」
カキ「でも、ちょっと面白いぞ!」
メバル「面白がるな!」
マサカゲ「まあまあ。性格が変わったことで、新しい視点を得られたとも考えられます」
アオノ「マサカゲまで楽観的になっている」
ミステー「人格とは固定されたものではなく、環境や刺激によって変化する可塑性を持つ情報構造であり、今回の事象はその実証例として非常に価値が高く、もしこの現象を正確に記録できれば、心理学、神経科学、さらには古代文明研究において――」
メバル「話を止めなさい!」
K-Tは無言でフライパンとお玉を持ち上げた。
アオノ「Kさん、もう一度鳴らすのか」
K-T「……」
カンカンカンカンッ!!
ミステー「音響刺激による発話停止については、非常に興味深い研究対象であり――」
アオノ「止まっていない」
メバル「Kさん、もっと強く!」
K-T「分かった」
カンカンカンカンカンカンッ!!
ミステー「したがって、結論としては、この装置の再起動には――」
アオノ「まだ喋っている」
カキ「すげえな、ミステー!」
メバル「感心している場合じゃないわ!」
アオノはマシーンの画面に表示された文字を見て、表情を変えた。
アオノ「……まずい」
マサカゲ「何がですか?」
アオノ「マシーンが、まだ完全には停止していない」
画面に新たな表示が浮かび上がる。
《人格混合モード、待機中》
カキ「人格混合?」
メバル「カキちゃん、絶対に触らないで」
カキ「分かった!」
カキは一歩下がった。
しかし、その直後、ミステーがマシーンのボタンを見つめる。
ミステー「このボタンの形状は、古代ピラミッド内部に存在したとされる未確認の祭壇装置と類似しており、もしこれを押した場合――」
メバル「ミステーちゃんも触らないで!」
ミステー「私は押していません。押す可能性について論じているだけです」
K-Tが無言で前に出る。
アオノ「Kさんも触らないでください」
K-T「問題ない」
アオノ「今回は問題があります」
マシーンが再び唸り始める。
メバル「全員、そこから離れなさい!」
カキ「今度こそ俺が――」
メバル「カキちゃん!」
リビングに、再びまばゆい光が広がった。
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コメント
1件
読んだよ~~😭💕 第3話、めっちゃ賑やかになってて面白かった! カキの“ちょっと触る”がまた事件起こすパターン、本当にやめてほしいけど憎めないよね笑。でも今回の見どころはなんと言っても**性格逆転&ミステーの大長編モード**!!「まだ序論です」「ここから本論です」の流れ、声出して笑った🤣 しかもピラミッド被ってるし、古代文明研究に言及し出すしでキャラ崩壊の仕方がおしゃれすぎる〜。 K-Tが無言でフライパン叩くのも相変わらずツボだし、アオノが冷静に「止まっていない」ってツッコむのも好き。次は“人格混合”って…どうなるの!!続きが気になりすぎるよ〜🌸