確かこっちで
あれ?右だっけ左だっけ
もう数年前の事なんて全く覚えてないな〜
これはおそらく数年前…
「んーこの辺を右に曲がれば多分どっかに着くでしょ」
「いや、流石に雑すぎるよのんさん」
「この看板を右に曲がろ!」
「なんか森に行ってない?本当に大丈夫なの…?」
「大丈夫、生きてるから」
「本当か…?」
「ん?なんかあそこある!行ってみよ〜」
「え、ちょまってのんさーん」
「ほら、早くして!縺セ縺薙■…」
あれ、誰だっけあの人って
てか、この後なにを見つけたんやっけ…なにも覚えてない
「なんで、なんでなの」
数年前の事だから…か
「まあ死ねれば何処でもいい。適当に歩き回ろ」
周りの視線が痛く感じる
こんなボロボロになった服を着たらそれはそうか
いや、私が外に出なさすぎてそう感じるだけなのかもしれない
そう思ってもやっぱり怖い
下を向いて歩く
行く当てもなくただ歩き
「あれ…なんか此処見覚えが…ある?」
思い出せそうで思い出せない
此処で話した思い出があるような
少し進んで、森に入って寒さで凍え死にそう
太陽は顔を出すことは絶対にないと言わんばかりに完璧に雲に隠れている
森を探索していると1箇所だけ木が避けるように空いてる所があった
気になって見に行ってみるとそこには
綺麗な湖があった
あ、そうだ私は此処に来たかったんだ
あの時隣で笑っていたのはまこちでその湖で偶然会ったのがきょさんとゆいさんだ
そうだこの湖で偶然てぅーが揃ったんだ
パズルのピースがハマるみたいに記憶のピースがハマっていく
「てか、てぅー懐かし、今頃なにしてんだろみんな」
湖に足をつけてみる
真冬の湖は流石に冷たい
数十分で感覚が無くなっていく
雪が降ってくる
雨混じりの雪
頬をつたる水
昔のおかしながらも楽しかった思い出が蘇ってきて、
数年振りに声を上げて泣いた
頬をつたる水が雨なのか涙なのかもう分からない
もう一度あの頃に戻れるのなら
意味も分からないことで笑い合って、普通とは言い難い日常は楽しかったのかもしれない
今でこそ伝えたい言葉がある
確かにアタオカな日常も楽しかったけど…次は普通に生きたいな
能力の格差もない。次はそんな人生を送りたい
涙が枯れるほど泣いた後、覚悟を決めた
限界まで息を吐いて
水の中に入る
冷たい苦しい
でも
すぐ楽になれるから
この思い出の湖で死ねた事嬉しく思うよ
てぅーに会えてよかったと思う
胃が痛いってずっと言ってたから私まで体調不良が増えた気がするよ笑
色んな人と喋れる所すごいなって思ってたよ、きょさん
良く奇行に走るし訳のわからない事よく言ってたね笑
人一倍努力出来て絵が上手な所尊敬してたんだよ、ゆいさん
うるさいしめんどくさいしウザいけど
私のこと想ってくれるとこ好きだったよ、まこち
今頃だけど私のクローン体を作ったのは誰だったんだろ
ようやく貴方に会えるんだ
この日をずっと夢見てた。
頭に酸素が回らない
なにも考えられない
頭が真っ白になって…
いっ…て…
今からそっちに逝くからね蟾・阯、縺輔s
おやすみなさい…
「え…のんさん…?」
此処に着いた時にはもうのんさんは帰らぬ人と化していた
数時間前
「ただいま〜…って鍵…開いてる…?」
まあ部屋の鍵が開いてなければ出られないし
開けれないでしょ、あれが見つけられない限り
急いで部屋の鍵を開けたが
家に着いた頃にはもう遅かった
やっぱりあれが見つかっていた
行く所の目星は付いている
私は彼女をあの人に任せられたのだから
20××年
「よーやくできた。のんさんのクローン体」
「……」
「これからのんさんを宜しく頼む」
あの人はそう言って私の肩をぽんと叩く
「えっと…のんさんって誰すか?そもそも貴方が分からないんですけど…」
「あぁ、申し遅れたね。私はちーさんだよ。君を作り出した人。のんさんって言うのは君の…元ととなった人間…?」
「じゃあ私人間じゃないんだ」
「まあ、そうだねクローン体だから」
「ふーん…」
「まあ、てことで宜しくね私はちーさんネットワークシステム略してTTTの準備があるから」
「どこで略したらそうなるんだよ」
「あ、そうそうのんさんはその部屋に居るからね〜自由に遊んであげて」
「へー興味な」
「まあまあ、一回しゃべってみなよ案外楽しいかもよ」
「興味ない」
「喋ってみてよ!話が進まないでしょ!」
「はいはい、多分ね」
「絶対だからね!それじゃTTTの準備あるから行ってくる〜」
そう言ってちーさん?は部屋から出ていった。
なんか話が進まないだのなんだの言われたから一旦行ってみるか。
指定された部屋に行きドアを開ける
「あーようやくちーさんきた〜さっさと解放してくれない?内側からは鍵かかってて出れないし〜…」
彼奴は私の方を見ないでベラベラ喋ってる
「ねぇ?聞いてる…って、え?生き別れの双子?」
ようやくこっちを向いた
「誰が生き別れの双子だよ。私はお前のクローン体?らしい」
「クローン体?誰が作ったんだよ。」
「名前忘れた。」
「なんやそれ笑、私のクローン体やけど頭悪いな…」
「失礼な、」
最初はそんな会話だった
興味も微塵も無かった
だけど話していくうちに興味が湧いていった
独占欲みたいなのが出てきてどこにも行かないで欲しいって言う意志が出て監禁は段々と悪化していった
暴力だって愛情だよ
ちーさん私をこの世に創り出してくれてありがと
感謝してるよせんせー
でも、ただ愛してただけなのに、のんさんは部屋から消えていた
嫌になっちゃったのかな
そんなことを考えながら
目的の場所へ行く
これは私がのんさんに少し興味が湧き始めた時のお話
一度だけ、のんさんと外へ行った事があった
その時にとある湖に来たんだ
森の中にある湖
「ここでねてぅーの4人揃ったんだ〜すごいでしょっ」
と君は自慢気に私に言っていた
「てぅーって何?」
咄嗟にそう聞いた
「てぅーってのはね〜…何て説明すればいいんだ。中学から仲がいい4人組?」
「へーいいねそーゆーの。にしても綺麗な湖」
「この辺で道に迷ってた時見つけたんだ〜」
「この辺で道に迷うって何処に行くつもりだったんだよ」
「んー分かんない!笑」
「なにそれ…笑。馬鹿だね」
「馬鹿じゃないから〜天才なんで笑」
「そーですね。」
「絶対思ってないね」
「ふっ…」
「ははっ…」
その後二人で笑い合った
あの日の事は忘れない
………
確かこの辺の森だった気がする
雪が降ってきた。
雨も混ざっている
あ、あそこだ
ん?なんか湖の中に影が
嫌な予感がした
その嫌な予感が間違っているはずがない
足速にその場へ向かう
やっぱりだ…
その影の正体はのんさんの死体だった
溺死したのだろう
今から何も出来ないがとりあえずのんさんの死体を水から出した
脈が無くて、息もしてない
当たり前に心臓も止まっている
真冬の湖に入ったからだろうが手も足も全身が冷たい
「守れなかった…いや…ここまで追い詰めたのは私なんじゃないのか」
ようやく気づいた
数年前…私が出来たばかりの時に教えられた事がある
私には電源を切るスイッチがある
普段は髪で隠れて見えないが首の後ろ
そこが私の電源だ
そこを押すと20秒後に私の全ての機能が停止する
もう一度誰かが押さない限り私の電源が付くことはない
今電源を切る時
左手で死体の、のんさんの手を握って右手で電源を切る
両手で死体の手を握ってふと顔を見てみるとのんさんの目元は赤く腫れていたが何処か幸せそうな顔で眠っている
闇に包まれた空を見上げ、
「今までありがと君と過ごす日々はとても楽しかったよ。途中から狂っていく壊れていく感じとか何やっても怒らなくなった時もあったよね」
そんなことを考えながら
最後はのんさんを見て電源が切れt…
愛していただけなのに_終…
コメント
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涙腺崩壊したわ😭 あのイラストだけでこんな素敵な物語が作れてすごく尊敬していますd( ̄  ̄) もう10回くらい呼んだと思う
とつても悲しくなつた朝から許されない行為と化した!!!!