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俺は大森元貴。
生徒たちに数学を教えている高校教師だ。
「え〜次もっくん?ウチやる気出ちゃう〜」
「こーら、先生のことをあだ名で呼ぶんじゃない。」
この子は僕が請け負うクラスの1番前の席に座る金髪ギャル。
俺に気があるのか知らないけど、ボディタッチが多くて困っている。
「はいはい、席着いて。」
窓際、前から4番目の席を見つめる。
そこには、制服を着崩して友達と駄弁る男子生徒がいる。
名前は若井滉斗。運動神経抜群で体育の授業では女子にきゃーきゃー言われてるらしいが、勉強になると…な生徒であり、僕の恋人。今日も可愛らしいガミースマイルを振り撒いているから、周りの女子がヒソヒソと噂話をしている。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが響くと、生徒たちは急いで席に座る。
「じゃ、昨日の続きだから…問2ね。若井、答えわかる?」
「3xです。 」
「ん、そうだね。ここはさ式の形が……」
いつも通り授業が進んでいく。
「今日はここまでね。ちょっと時間余ったけど、のんびりしといてー。」
教卓の椅子に腰掛けて教科書を捲っていると、ギャルが話しかけてきた。
「ねーぇ、もっくん。じゃなくて大森センセ。好きなタイプ教えてよ。」
「…あ゛ー…うーん。 」
正直この類の話はめんどくさい。だって俺には可愛い恋人がいるから。だが、恋人がいると言えば話が拗れる予感しかしないので、適当に答えてやる。
「勉強ができて、僕の仕事の邪魔してこなくて、物静かで、スキンシップが少ない人。」
遠回しにお前はお断りだ、と伝えた。
「えー。ウチと真逆でつらたんー、脈なしじゃん〜 」
そもそもお前は対象外だ、と心の中で毒づいているとチャイムが鳴った。
立ち上がって若井の方を見ると、視線が合った。俺が会釈しようとすると、ふいっと目を逸らされてしまった。
何かあったのかな、と気にしつつもスマホで
『いつもの場所で。』
と連絡をすると教室を後にした。
放課後、いつも通り校舎裏で若井を待っていたが。いくら待っても姿を表さない。確か今日は全部活オフだから、すぐ来るはずなのに。何度か連絡をしたが既読すら付かない。
嫌な予感がしつつ俺は若井を探しに出かけた。