本当はさのじんの冒険少年を見てから読んでいただきたいのですが…もう見れないので、せめて、M!LKYouTube「冒険少年『脱出島』にいくメンバーを送っていくドライブ!」(https://youtu.be/GmcLnSddyLA?si=t123HGlZB8kYnXaO)とEmo!miuさんのこの記事(https://emomiu.jp/news/168598/)を読んでから読んで貰えると楽しめると思います。
仁人が泣くのを見たのはいつぶりだろう。
「ありがとう」と、はにかみながら泣く仁人を見ていたら自分も涙が溢れ出して止まらなくなった。
いい歳した男が2人、人目もはばからず大号泣。
カメラが回っていても、カットがかかってもそんな事お構いなしに涙が溢れ出てくる。
「あの…吉田さん体調のほうは…」
俺たちが落ち着くまでそっと見守ってくれていたスタッフさんがさすがに声をかけてきた。
「あ、はい。だいぶ良くなりました。ご迷惑おかけしてすみません」
「あ、いえ。大丈夫ですよ。これ、温かいお茶と新しいカイロです。もうすぐ港に着くと思うんで暖かくしといてください」
「すみません。ありがとうございます」
「ありがとーございます」
スタッフさんは俺と仁人にお茶とカイロを渡すと頭を下げそそくさと退散して行った。
「勇斗、ほんとごめん」
「あんま謝んな」
「うん…ありがとう」
「…港着くまでちょっと寝てな」
「うん」
俺の肩に頭を預けすぐに寝息が聞こえてきた。
こんなに弱ってる吉田仁人を今まで見たことがあっただろうか…
幼き頃からこの業界に身を置き、M!LKのリーダーとして気丈に振る舞い続けた仁人をこんなに小さく感じたのは初めてで。
確かに俺も焦っていた。2024年の顔に選ばれ、2024年初っ端放送の地上波バラエティ番組。ゴールして爪痕を残さなければってことに囚われすぎて…プレッシャーや緊張、不安や恐怖でいっぱいいっぱいの仁人を見て見ぬふりして無理を強いていたのかもしれない。俺は仁人がいてくれてすげー良かったっと、ほんとに元気をもらえる存在だと再度実感できて楽しい思い出になったが、仁人はどうだったんだろう…
横で眠る仁人の寝顔を盗み見つつ頬を撫でる。
そして、頬を伝う涙の跡に申し訳なさで心が痛む。
「…仁人、ごめんな」
深い眠りのこいつには聞こえない。謝罪の言葉を紡ぐ。
『今晩の放送一緒に見ませんか』
仁人からそんな連絡が来たのは放送時間の数時間前。
現在撮影中なうえにケツも決まってない。
はっきり言えば一緒にリアタイは不可能だ。
でも、スタジオで視聴した時に『もう見ない』って苦笑いしてた仁人が一緒に見ようって言ってきたことに応えてやりたかった。
『一緒には厳しーけど早く帰れるよう頑張っから俺ん家来とけ』
『うん』
仁人からの返信を確認し、撮影を早く終わらせようと気合いを入れた。 が、間に合うわけもなく、なんならあと数十分で日付が越える時間だ。仁人から連絡はないので家にいることを願いながら足早に現場を後にし家に向かう。
玄関を開け靴があるとこを確認し安心する。
リビングの電気は消えいる為寝室だろうと覗くと人のベッドでスヤスヤ眠る仁人がいた。
人の家なのに慣れたもんでとほくそ笑み、風呂場へ向かった。
風呂から上がり、寝る準備を整えベッドの淵に腰掛け仁人の寝顔を覗き込む。
「こいつ、また泣いたのかよ」
仁人の頬にはまた涙の跡。
指でそっと撫でると瞼がピクリと動きゆっくりと目が開かれた。
「ふぇ!え!!」
「俺だよ」
「…あ、佐野さん…おかえりなさい」
「ん、ただいま」
仁人を落ち着かせる為に頭を撫でたのに俺の意思とは反対に仁人の目に涙が溜まりだす。
「…勇斗ごめん…ごめん……」
「だーから泣くなって。今回はあれで良かったんだよ。俺も仁人が海洋恐怖症って知っててそれでも仁人と行きたいと思ったんだから。俺こそ色々ごめんな。無理させて」
「勇斗は悪くない!俺も勇斗と行けて良かったし…勇斗がいなかったら絶対無理だった」
「じゃ、良かったよ。これで」
「でも…俺、不甲斐ないよ…」
仁人は俺が作った道とかM!LKの看板背負ってくれてるとか俺に頼りっぱなしとか色々思ってんだと思うけど俺は仁人がリーダーとしてM!LKを守ってくれててどーんと構えてくれてるから自分には戻る場所がある、支えてくれる仲間がいるそう思えるから頑張れてる。
仁人が思ってるよりも俺は仁人に、メンバーに甘えてる。だから…
「仁人、お前は不甲斐なくなんかねぇ。リーダーだからってずっと強くいなきゃいけないわけでもねぇ。リーダーでも芸歴が上でもたまには歳上に甘えろ。1人で無理すんな。な?」
涙を流しながらコクコクと頷く仁人を抱きしめ背中をさする。
「わかったら泣きやめ。泣くな。明日開かなくなんぞ」
ふふっと笑う仁人の目元をティッシュで軽く拭き取ってやる。
「泣き止んだか?」
「ん、もぉ、大丈夫」
「んじゃ、寝るぞ。…っとその前にお前水飲め、ホットアイマスク付けて寝ろ」
「至れり尽くせりやん。ありがとう」
明日の仕事に支障が出ないよう最善は尽くす。
仁人はホットアイマスクを付け、俺は目を閉じ眠りにつこうとした時…
「佐野さん」
「んぁ?」
「…早速甘えてもいいですか」
「なに?」
目が見えてないから、きっと仁人なりに勇気を振り絞ってるから目を開けずに受け答えをする。
「…今日だけ…今日だけ、ぎゅっとして寝てくれませんか…」
最後の方はもはや聞こえてないにも等しいか細い声。
それでも俺は仁人を包み込むように抱きしめ胸を貸してやる。
「ん」
「…ありがと…勇斗」
仁人はまた声を押し殺し俺の胸で泣く。
でも、今日だけは気づかないふりをして胸を貸してやる。
俺のシャツの裾を握り泣く仁人に『ホットアイマスク意味ねぇな』と思いながら眠りについた。
END
コメント
1件
冒険少年の無人島を見てた私は、このストーリーが切なかった(良い意味で)仁人くんが海洋恐怖症だと初めて知り、極限までお互いの為に頑張ってたのが、ストーリーにも反映されてたし、 番組が終わってからの💛🩷さのじんの甘々なストーリーが素敵すぎる。