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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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正一神様はトドメを刺す事に決めた様である。

故に更なる飯テロオーダーをゴザに対して要求したのであった。


「ああ、ちっと食べ足りないかなぁ? 食べられないかもしれないけど、捨てる事になるかもだけど、一応恐がって見せようかなぁ? 油でサクッと揚げたカレー入りの洋風饅頭が恐いなぁ! それに餡子(あんこ)の詰まった洋風饅頭を同じく揚げてしっとりしている内にタップリと砂糖を掛けた揚げドーナッツ、いやいや揚げ洋風饅頭激甘バージョンも恐いよなぁ、仕上げはさっぱりとしたサワークリーム入りの適度な甘さと酸味を楽しませてくれるスフレっぽい饅頭も恐いかも知れないなぁ~?」


出て来た……


敗北者たるコユキは流れ落ち続ける涎(ヨダレ)の滝を止めようともせず、目の前で食べ続ける正一を見つめ続けていた。


ボトボトボトボトボトボトボトボト……………


見かねたのだろう、ライコーが言う。


『もう良い、コユキよ、あのゴザを貰えよ…… 元々我々はそのつもりじゃったし、公時(きんとき)もこの段に至っては納得するじゃろうて…… あれを貰ってお腹イッパイ食べるが良いぞぇ、問題は無しっ!』


良かったなコユキ、許可が出たぞ!

そう思った私、コユキの可愛い孫、観察者の予想を裏切る言葉をコユキが言い放ったのであった。


「じょ、冗談じゃないわよ! お腹なんてこれっポッチも減ってなんかいないんだからね! べ、別にアイツが恐がっている食べ物なんか食べたくないんだから…… はっ! これ? こ、この口から流れ出ていた水分はアレよアレ! ぺって、ほらあのぺって、何も感じねっぞ! ぺっ! くだらねえなあ? っ的なヤツだから! そう言う風なヤツだからさ? 心配しないで、こんなヤツにアンタ等を渡す訳ないじゃない! ほら、だって、お腹イッパイなんだからね!」


痛々しい事この上ない……

でもアレだな、久しく聞いていなかった例のヤツだな、所謂(いわゆる)、ツンデブってヤツの再来であろう。


とは言え、ツンだけでデブってくれない…… あれ? デレ、いいやそんな筈は無いデブってくれないコユキにとっては…… んん? デブはデブだよな…… ま良いだろう!(無理やり)

只の言い訳的に時間を稼ぐくらいにしかならないのであった。


この間、ニヤニヤしながらもライコー初め四天王のメンバーに対して、想念を送って各々の意思、覚悟を確認し続けていた正一は自信満々で最後の値引き交渉へと舵を切り、頑な(かたくな)なコユキの気持ちを瓦解(がかい)させるのであった。


「あのねコユキさん? 君や善悪君がそのアーティファクトを持っていたとして…… どれだけ働けるのかな? 武芸に嗜み(たしなみ)がある様には見えないしなぁ! 適材適所! ねえ、聞いた事くらいあるでしょ? 武神たる俺と、格闘を気分と乗りだけでやって来たコユキさん、どちらが彼らを活かせるか位は分かるんじゃないの? どう! 違うかなぁ?」


「そ、それは…………」


口篭る(くちごもる)コユキを一瞥(いちべつ)した正一は、爽やかな笑顔を見せながらコユキ、いいやコユキの近くに控えたアーティファクト五体に向けて言ったのである。


「君達が変わった様にこの俺、原初の神である存在が気が付かないとでも? クソ真面目な爺(ジジイ)達と違って俺って『勝利の神』だよ? 彼女、コユキさんがどれ位稀有(けう)で、世界の有り様を変えられるか、なんて、とっくに気が付いているんだよ? さあ、選択の時間だ! 俺に従ってこのコユキさんと一緒に世界を改変するか、それとも、無知故に俺から離れて、この大きな子に全てを委ねて自分達の責任から解放されて良い気分でここまで繰り返してきた『滅びへの道』を繰り返し続けるか…… 選びなさい、どちらでも俺はお前ら、人間の選択を尊重するよ! 今迄と同じ様にね♪」


コユキに声の類は一切聞こえてはいなかったが、なにやらソワソワしているアーティファクト、頼光と四天王達が意見を交わしているのであろう、そのザワメキがイメージで伝わってきていた。

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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