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前回のリメイク前ではあんまり活躍のなかった“ココン”が!!! ビジュガ可愛くて勿体無かったから、嬉しすぎるっ✨✨✨
時を同じくして、ルシフェル家の屋敷。
トウカとアスカは、アフタヌーンティーを囲んで談笑していた。
「あら、転生者が?」
紅茶を注ぐ手を止め、私にそう聞き返すアスカ。
「そう。」
「それでそんなにイライラしてるわけ? 転生者が一人来たところで、変わらないでしょうに。」
「それはそうなんだけど。」
カップを一つ、私に差し出す。
一口飲むと、紅茶の香りが口に広がって、
紅茶の温かさが、胃の奥からじんわりと体に広がっていった。
「転生者ねぇ。短期間に3人も来るなんて、おかしなこともあるものね。」
「…そうなの?」
「そう。あなただって、1人目の転生者から2年も経った頃にやってきたもの。」
「へぇ。」
紅茶を一口口に含んだアスカは、ニヤリと笑ってこういった。
「そうだ、うちの居候がね。あなたのこと気に入ったみたいよ? 会いに行ってあげたら?」
「居候?」
居候とは、私がこの前会いに行ったあの研究者の話だ。
名前は、なんだったかな。アスカだか何だか、そんな名前。
「この前会ってくれたじゃない? そのあとね、彼が『次はいつ来るんだ』って聞いてきたのよ。」
「えぇ?」
「おかしな話よね。てっきり、人間はダメかと思ってたのに。」
「……。」
私は紅茶が飲み終わったタイミングで、席を立つ。
今日の夕飯の材料を、買いに行かないと行けないのだ。
「それじゃ、また来るわ。」
「えぇ。幽霊さんによろしくね。それと、次来た時には居候に会っていくこと。」
「わかった。またね。」
そうして、私は屋敷を後にした。
***
相変わらずの様子で市場は賑わっている。
夕飯時だから、仕方ないけど、やっぱり人混みは苦手だ。
さっさと抜け出してしまおう。
先程購入した夕飯の材料を両手に抱えながら、人混みを歩く。
「あっ、すみません…。」
誰かと肩がぶつかったのか、そんな声が聞こえてくる。
振り向くとそこには、薄茶色の短い髪に、髪と同じような色をした瞳。
いかにも気弱そうな少女が、不安そうな顔でこちらを見つめていた。
「いえ、大丈夫。」
「でも、リンゴが…!」
その声で足元を見ると、リンゴが全て紙袋から飛び出して地面に転がっている。
地面のリンゴは、波のように迫ってくる人に蹴られ、踏まれ、散々な目にあっていた。
「大丈夫です、リンゴは大して必要なものじゃなかったし。」
「でも、お金…。」
「大丈夫ですよ、また誰かの手伝いでもして稼ぎますから。」
「そんな…リンゴ、買わせてください!」
そう言って、深くお辞儀される。
やめてよ、人前で。
思わず顔を顰めそうになったが、それをぐっと堪え、丁寧に断った。
「えぇー、でも、でも!」
「大丈夫、大丈夫だから…。」
結局、リンゴは2つほど買ってもらうことにした。
人混みのない、市場の出口を二人で歩く。
「すみません、本当に。」
「大丈夫です。リンゴ、買ってもらっちゃったし。」
隣の彼女は、俯きながらとぼとぼと歩く。
「あ、私ここなんです。一緒に帰ってもらって、ありがとうございます。」
彼女が指さしたのは、この街の協会だった。
ここらの宗教にはあんまり詳しくないが、この協会に人が入ったところは、見たことがない。
「協会? じゃあ、あなたは。」
「はい。一応、聖職者を。」
「すごいのね。」
「いえ、そんなことは…。宗教が廃れてしまってから、人はほとんど来ないんです。仕事と言えば、葬儀の相談だけで。」
「それも、滅多に来ないんですけどね。」と困ったように笑った。
きっと、この人こそがカルヴァリーの言っていた、聖職者のことだろう。
いや、この子かは分からないな。あいつの生きてた頃だろうし。
「なら、今度でいいから、宗教について教えてくれる?」
「えっ、い、いいんですか?!」
「えぇ。ここに来てもう長いけど、宗教については触れてこなかったの。」
「も、もちろんです!いつでもいらしてください!」
彼女はにっこりと笑って、教会へと足を進めた。
「あっ、ちょっと待って!」
「は、はい。なんでしょうか?」
「貴方、名前は?」
「ココンです。あなたは?」
「…トウカ。」
私の名前を聞くと、彼女は一瞬驚いたような顔をした後、すぐに先程の笑顔に戻り、私に一礼して、教会へと入っていった。