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「……先生、そんなに震えてたら、指導案書けませんよ?」
放課後の理科準備室。カーテンの隙間から差し込む夕日が、教育実習生の本田菊(23)の横顔を赤く染めていた。
本田は、この春母校に戻ってきたばかりの、どこか放っておけない雰囲気を持つ青年だ。生徒たちからも慕われているが、ただ一人、教え子のアーサー・カークランド(17)にだけは、初日から奇妙な視線を向けられていた。
いま、本田の背後にはアーサーが立っている。指導案を確認するふりをして、その大きな掌が本田の肩を、そして首筋をゆっくりとなぞった。
「っ……アーサーさん、やめてください//ここは学校ですよ、、!」
本田は叱ろうとするが、喉が震えて声が掠れる。自分より一回りも身体が大きく、スポーツで鍛えられたアーサーの腕に囲い込まれると、大人であるはずの自分の方が小さく感じられた。
「学校じゃなきゃ、いいんですか」
アーサーの低い声が耳元で跳ねる。本田は眼鏡を指先で押し上げ、懸命に理性を保とうとした。しかし、アーサーの指がワイシャツの第一ボタンを器用に外すと、その決意は脆く崩れ去る。
「先生、知ってますか。あんたが授業中、俺のことだけ避けてるの。……意識しすぎなんですよ、大人のくせに」
実習が終われば、この関係も終わる。そう自分に言い聞かせていた本田だったが、熱を孕んだ若者の瞳に見つめられ、ついに膝の力が抜けた。
「……ずるいです、あなたは」
諦めたように瞳を潤ませる本田。その瞬間、アーサーの顔から余裕が消え、飢えた獣のような独占欲が露わになった。
理科準備室の重い空気の中に、衣類が擦れる微かな音と、本田の短く震える呼気だけが響く。
「……っ、ふ……あ」
アーサーの指が鎖骨の窪みをなぞり、そのまま肌を強く圧した。大人として、教師として、突き放すべきなのは分かっている。けれど、自分を貫くようなアーサーの鋭い視線に射すくめられると、蛇に睨まれた蛙のように指先一つ動かせない。
アーサーは本田の耳朶を軽く噛み、熱い吐息を吹きかけた。
「先生、今どんな顔してるか鏡で見せてあげたい。……こんなに赤くなって、誰にでもそんな隙見せてるんですか?」
「ちが……っ、あなただけ、です……」
その言葉を引き出したかったと言わんばかりに、アーサーの口元が愉悦に歪む。
アーサーは本田の腰を引き寄せ、実験机に座らせた。冷たい机の感触が、火照った背中にひやりと伝わる。その対比が、今の背徳感をより一層鮮明にさせた。
「あなただけ、なんて。……もしかして誘ってますか?笑」
アーサーの大きな手が、本田の細いウエストを掴んで引き寄せる。本田は自分の太ももの間にアーサーの膝が割り込んでくるのを感じ、逃げ場を失って彼の肩に縋りついた。
その時、廊下からバタバタと走り去る足音と、生徒たちの笑い声が聞こえてきた。
「……っ!」
本田が弾かれたように口を塞ぐ。アーサーはそんな本田の反応を楽しむように、わざと耳元で低く笑った。
「怖いですか? 誰かに見つかったら、先生の人生、終わりですもんね」
「アーサー、さん……お願いです、もう……」
懇願するように見上げる本田。目尻には涙が滲み、眼鏡がわずかにずれている。その無防備な姿が、アーサーの理性を最後の一線で断ち切った。
「……お願いの仕方が違います。……『アーサー』って、名前だけで呼んで」
それは命令に近い要求だった。本田は羞恥に顔を伏せながらも、逃れられない熱に浮かされるまま、震える唇を開いた。
「……あーさー……っ」
名前を呼んだ瞬間、深く激しい口づけが降ってきた。
三週間の実習期間。その半分も過ぎていないというのに、本田は自分がもう、この年下の教え子なしではいられないところまで堕ちていることを悟った。
教室の外から聞こえる足音に、心臓が跳ねる。理科準備室という「密室」が、急に薄氷の上のように頼りなく感じられた。
「……あ!、本田先生!、、まだここにいるのかい?」
ガラリと扉が開く。入ってきたのは、同じ理科担当の学年主任・アルフレッド・F・ジョーンズだった。
「ひっ……!」
本田は反射的に、自分を覆い隠すように立っていたアーサーを突き飛ばそうとした。しかし、アーサーは動じない。それどころか、わざとらしく本田の腰を抱き寄せたまま、平然と振り返った。
「なんだ、ジョーンズ先生。忘れ物ですか?」
アーサーの体躯が壁となり、本田の乱れた衣服や、赤く腫れた唇を隠す。だが、至近距離にいるアルフレッドには、二人の異様な密着具合が不自然に映ったはずだ。
「……君こそ、カークランドくん。実習生の指導の邪魔をしちゃダメなんだぞ!」
アルフレッドの目が、眼鏡の奥で鋭く光る。彼は一歩、また一歩と二人に近づいてきた。
「本田先生、顔が赤いようだけど……体調でも悪いのかい? こっちに来てみなよ」
アルフレッドの手が本田の腕に伸びる。その瞬間、アーサーが本田の肩に回した手にグッと力を込めた。
「先生、風邪ですよ。俺が保健室まで連れて行きます。……ね、先生?」
アーサーの指先が、アルフレッドから見えない位置で、本田の脇腹を執拗に弄る。
「声を出したら、全部バラすぞ」という無言の脅迫。
「あ……ええ、そうなんです。少し、眩暈がして……」
本田は顔を伏せ、嘘をつく。教え子の独占欲に加担し、同僚を欺く罪悪感。アルフレッドの疑いの視線と、アーサーの熱い手のひら。挟み撃ちにされた本田の背中を、冷たい汗が伝った。
「……そうか。ならいいんだけど。先生、君は『真面目すぎる』んだぞ!。あまり生徒に深入りしすぎないことをおすすめするよ」
アルフレッドは含みのある言葉を残し、ゆっくりと部屋を出て行った。
扉が閉まった瞬間、本田は崩れ落ちるように膝をつく。
「……最低ですね、私……」
自責の念に駆られる本田の髪を、アーサーが優しく、けれど逃がさないように掬い上げた。
「最高でしたよ。先生、あんなに必死に嘘ついて……。もう、俺の共犯者ですね……♡」
アーサーの瞳は、獲物を完全に追い詰めた悦びに濡れていた。
2000字いきました、、!なかなか倉庫掃除の2人の口調が掴めなくて、難しかったです
駄作ですがまだ投稿はしていくつもりです! 7
#セカキク