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沖縄旅行2日目の朝。
澄み渡る青空の下、早めに朝食を済ませたふたりは、ビーチへ向かった。
目的は──サップ(SUP)体験。
みことは初めてのマリンスポーツに少し緊張した表情を見せながら、濡れてもいい服装に着替えて準備を整えていた。
「……すち、落ちたらどうしよう……」
「大丈夫。俺が絶対助けるから」
頼もしく笑うすちの手を握って、みことはゆっくりと海へ出た。
透明度の高いエメラルドグリーンの海。サップボードの上に立つと、足元に魚が泳ぐ姿も見えた。
「わぁ……海、きれい……!」
「ほら、深呼吸して──そーっと、バランス取って」
最初はふらついていたみことも、すちの横で少しずつコツを掴んでいき、数分後にはまるで風に乗るようにスイスイとボードを進めていた。
「すち、見て!できてる、俺できてるよ!」
「うん、上手。……でも調子乗って落ちるないでよ?」
その言葉の直後、波に揺られてバランスを崩したみことが、
「わ、わ──っ……っ!」
ばしゃん、と悲鳴とともに海へダイブ。
すぐにすちがボードから飛び込み、濡れたみことを引き上げる。
「だ、大丈夫?!」
「……うん、だいじょうぶ……でも、冷たい~!」
びしょ濡れになったまま笑い合うふたり。
サップの上に再び座り、今度はのんびりと海の上を漂いながら手を繋いだ。
「……楽しいね」
「うん、俺も。……こうして手を繋げるのも、海の上で見るみことの笑顔も、全部特別」
みことはちょっと照れながら、でもすぐに笑顔で「うん」と頷く。
海風が優しく吹き、2人の笑い声が水平線へと溶けていった──。
午後、サップ体験を終えたふたりは軽く休憩をとってから、次なるアクティビティ「シュノーケリング体験」へ。
ガイドの案内で専用のスーツとマスクを着け、ボートに乗って透明度の高い沖縄の海へと出発した。
揺れる波の音と、潮の香りが心地いい。
「……ちょっと緊張するかも」
みことはすちの隣でそっと手を握る。
「大丈夫。水の中、もっと綺麗だよ。みことも絶対好きになる」
すちは優しく言いながら、みことのマスクの付け方を整え、髪を整えてゴーグルを優しくつけてくれた。
海に入った瞬間──
みことの視界に広がったのは、サンゴ礁の広がる青い世界。
色とりどりの熱帯魚が目の前を泳ぎ、キラキラと光が揺れて幻想的だった。
思わず水中で「わぁ……!」と感動してしまうみこと。
横を見ると、すちも笑顔でOKサインを出していた。
しばらくは水中で手をつないで泳ぎ、魚の群れを追いかけたり、ハート型のサンゴを見つけてアイコンタクトを取ったり……。
途中、すちが指を差し、可愛いクマノミ(ニモ)をみことに見せる。
みことはマスク越しでも分かるほど目を輝かせ、嬉しそうに手を振った。
──水から上がったあと。
「……やばかった、海の中ってあんな綺麗なんだね……」
「うん、みこちゃんの目もずっと輝いてた。海より綺麗だったかも」
「な、なにそれ……もう……!」
濡れた髪をタオルで拭きながら、みことは真っ赤な顔で笑った。
その後、ふたりは海辺のカフェでひと休みしながら冷たいトロピカルドリンクを分け合い、
「この時間がずっと続けばいいのにね」と、ぽつりとこぼしたみことにすちはそっと手を重ねる。
「そうだね。ずっと一緒にいよう、みこちゃん」
海風がまたふたりの間を通り抜け、温かくて穏やかな午後が流れていった──。
夜の沖縄ビーチ。波の音が穏やかに響き、ふたりは裸足で砂浜を歩いている。
みことの足元に、小さな白い星形の砂がキラリと光った。
「見て、すち!星の砂だよ!」
みことは嬉しそうに拾い上げて、すちに見せる。
すちは優しく笑って、「ほんとだ、きれいだね」と指先でそっと触れた。
「沖縄に来てよかったなぁ」
みことの声には、ゆったりとした幸福感があふれている。
すちはみことの手をぎゅっと握り返し、ふたりは星空の下、静かに寄り添いながら歩いた。
潮風が柔らかく頬を撫で、星の砂のように小さな幸せが胸に降り積もる夜だった。
ホテルの浴室で、ふたりはゆっくりと潮の塩気を洗い流していた。温かい湯気が満ちる中、みことの体が少しずつ力を抜き、眠気が顔を覗かせる。
すちはみことの髪を優しく撫でながら、「ゆっくり休んでね」と囁く。みことはうっすらと目を閉じ、すちの腕の中で安心したように小さく息を吐いた。
湯船から出て部屋に戻ると、みことはふらりとベッドに倒れ込み、そのまま静かに眠りに落ちる。
すちはその寝顔を見つめながら、そっとみことにおやすみのキスを落とし、優しく抱き寄せた。
二人の呼吸がゆっくりと重なり合い、静かな夜がふたりを包み込んでいった。
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