テラーノベル
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魔法消失の謎を調べる。
そう決めたものの、
神代玲司には一つ大きな問題があった。
「情報がねぇ……」
街の中央広場。
噴水近くのベンチに腰掛けながら、
玲司は頭を抱えていた。
魔法が使えない。
その事実は分かった。
だが、なぜ使えないのかが分からない。
原因が分からなければ調べようもない。
「まさか異世界に来て探偵ごっこすることになるとはな……」
ため息を吐く。
その時だった。
「なら、図書館へ行ってみたらどう?」
不意に声を掛けられた。
玲司は顔を上げる。
そして一瞬だけ目を見開いた。
綺麗だと思った。
黒紫色の髪。
肩まで伸びたボブハーフアップ。
薄紫色の瞳。
耳元では紫水晶のイヤリングが
陽の光を受けて静かに輝いている。
年齢は自分とそう変わらないはずなのに、
どこか大人びた雰囲気を纏っていた。
「図書館?」
「うん」
少女は柔らかく微笑む。
「昔の記録が残ってるかもしれないでしょ?」
「なるほど」
玲司は素直に感心した。
確かにその通りだ。
原因を調べるなら過去を知るのが一番早い。
「頭良いな」
「そうかな?」
「少なくとも今の俺よりは」
少女は小さく笑った。
笑うと少しだけ年相応に見える。
「あなたも調べてるの?」
「まぁな」
玲司は肩を竦める。
「魔法が使えなくなった原因」
「どうして?」
「金になりそうだから」
即答だった。
少女はきょとんとする。
「それだけ?」
「名誉も欲しい」
「正直だね」
「嘘ついても仕方ないだろ」
玲司は笑った。
「原因見つけたら英雄だぞ?」
「英雄になりたいんだ?」
「いや?」
「違うの?」
「英雄になった結果モテたい」
「最低」
今度ははっきり言われた。
「酷くない?」
「酷くない」
少女はくすりと笑う。
その様子を見ていると、妙に話しやすかった。
初対面なのに気を遣わなくていい。
そんな不思議な感覚だった。
「そういえば名前は?」
玲司が尋ねる。
少女は少しだけ間を置いてから答えた。
「ルナリア」
そして続ける。
「ルナリア・ヴェルローゼ」
「へぇ」
「あなたは?」
「神代玲司」
ルナリアは首を傾げた。
「カミシロ?」
「あー……」
この世界では名前が先で苗字が後。
だから神代が名前だと思われる。
「まぁ、そんな感じだ」
「変わった名前」
「人のこと言えないだろ」
「それもそうね」
二人は思わず笑った。 少しの沈黙。
だが不思議と気まずくない。
むしろ居心地が良かった。
玲司はふと思う。
もし本当に原因を探すなら、
一人より二人の方がいい。
情報も集めやすい。
何より——。
「なぁ」
「ん?」
「一緒に調べないか?」
ルナリアが目を瞬かせた。
「私と?」
「どうせ目的同じだろ」
「そうだけど……」
「一人より効率いい」
玲司はそう言ってから付け加える。
「あと美人が隣にいた方が頑張れる」
「やっぱり最低」
「褒めてるんだが」
「褒め方が最低なの」
呆れながらも。
ルナリアは手を差し出した。
「よろしくね、カミシロ」
玲司も立ち上がる。
そしてその手を握った。
「ああ、よろしく」
こうして二人の調査は始まった。
魔法が消えた原因を探すための旅が。
まだ誰も知らない。
この出会いが偶然ではなかったことを。
この時の玲司も知らない。
自分が差し出したその手が。
未来の自分を最も苦しめる選択になることを。
コメント
1件
うわ、ルナリアめっちゃいいキャラだね!「最低」って即答するところとか、玲司との軽妙なやりとりが自然で読んでて楽しかったわ。黒紫の髪に薄紫の瞳、紫水晶のイヤリング…いきなり美人登場でテンション上がった🔥 ラストの「未来の自分を最も苦しめる選択」って伏線がめっちゃ気になる…この出会い、偶然じゃなかったって意味深すぎるだろ!次話が待ち遠しいっす📖
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