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「……今も普通に可愛いし」
店内が静まり返る。
仁人は固まったまま瞬きした。
「……え?」
勇斗も自分で言ったあとに固まっていた。
「……いや」
「……」
「今のなしで」
「言いましたよね?」
「勢い」
「また?」
「だって!」
勇斗は頭を抱える。
「脳が追いついてない!」
仁人は思わず吹き出した。
「ふふっ」
「笑わないで!?」
「だって勇斗さん顔真っ赤」
「誰のせいだと!」
「わたし……じゃなくて、俺?」
「混乱させないで!」
仁人は肩を揺らして笑う。
いつものまさこみたいな柔らかい笑い方なのに、さっきより少し低い声。
それだけなのに、妙にドキドキする。
勇斗はもう何が何だか分からなかった。
「……えぇ……」
「そんなにショックでした?」
仁人が恐る恐る聞く。
勇斗は顔を上げた。
「ショックっていうか……」
言葉に詰まる。
だって。
好きだったまさこさんが男だった。
普通なら、「まじかよ..」で終わるはずなのに。
目の前の仁人を見ても。
全然、嫌じゃない。
むしろ。
「……ずるい」
「え?」
「男って分かったのに、普通に綺麗なんだけど」
仁人がまた赤くなる。
「やめてくださいよ……」
「しかも可愛いし」
「追撃しないで」
「いやほんと意味分かんない」
勇斗は椅子にもたれた。
脳内が大渋滞している。
女装してる男。
でも好きだった人。
しかも今も普通にときめく。
(え、俺どうなってんの……)
仁人が小さく言う。
「……気持ち悪くないんですか」
勇斗は眉を寄せた。
「は?」
「いや、その……」
仁人は視線を落とす。
「こういうの、苦手な人もいるし」
勇斗はしばらく黙っていた。
それから、ゆっくり立ち上がる。
「仁人」
名前で呼ばれて、仁人が顔を上げた。
「俺、びっくりしたよ」
「……はい」
「でも」
勇斗は少し困ったように笑う。
「まさこさん好きになった理由、別に女の人だったからだけじゃないし」
仁人が目を丸くする。
「優しいし、笑うと可愛いし、一緒いると楽しいし」
「……」
「花好きなとこも好き」
「……勇斗さん」
「だから今、男なんだってなっても」
勇斗は耳を赤くしながら言った。
「……嫌いには、ならなかった」
仁人の喉が小さく鳴る。
胸がぎゅっとした。
こんなふうに言われたこと、なかった。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹