風が「フゥー 」とないた鳥が「ピィー」とないたその瞬間森の奥にある古びた扉が音をたてた。
iemonは音のない世界に生まれた、人は話すことを忘れ、風はただ吹くだけになり、鳥は口を閉ざした。
だけどiemonだけはは音の記憶を持っていた。
それは、幼い頃聞いた母の歌声。
それは、誰にも聞こえないはずの「ピィー」と「フゥー」の響き。
その音に導かれて、iemonは森の扉の目の前に立っていた。
扉には、苔が絡まり、木の根が巻き付いていた。
けれど、鳥の声と風の鳴き声が重なった瞬間、扉は静かに開いた。
「ようこそ、音の森へ」
声はなかった。でも、iemonの心に響いた。







