テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
わああ第2話もすごく良かった…!!😭💕 らっだぁさんに続いてレウさんも優しすぎるでしょ…「辛かったね」「よく頑張ったね」って言われた瞬間のぺいんとくんの涙、こっちまでもらい泣きしそうになったよ…! 魔力ゼロって言った時のシーン、静かに受け止めてくれるレウさんの優しさが沁みる…🥺 ペンダントの謎も気になるし、館の住人たちとの関係がどう育っていくのか続きが待ちきれない! 雨月さんの描く温かい世界観、大好きです🌸
rd「それにしても人間でも大抵、魔法を少しは使える程度に魔力はあるのに。珍しいものだね」
らっだぁさんは、不思議そうに僕の目を覗き込んだ。
その瞳に見つめられていると、なんだか自分の全部を見透かされているような気がして、少し恥ずかしくなった。
僕は誤魔化すように視線を逸らした。
rd「まぁ、そんなことはどうでもいいか!」
らっだぁさんは、ぱっと明るい声を出した。
rd「それより、この館の案内をするね」
そう言って、僕の手を取る。
その手は温かかった。
森の中で一人、寒さと恐怖に震えていた僕にとって、その温もりはどこか安心できるものだった。
僕は小さく頷いて、らっだぁさんの後をついていった。
____________________
rd「まずここは___で〜、それでこっちは___」
らっだぁさんは楽しそうに館の中を案内してくれた。
広い廊下。
見たことのない部屋。
大きな階段。
何もかもが新鮮だった。
僕は時々「へぇ……」と声を漏らしながら、らっだぁさんの話を聞いていた。
しばらく歩いていると――
ぐぅぅぅぅぅ……。
静かな廊下に、僕のお腹の音が大きく響いた。
「…………」
一瞬、時間が止まったような気がした。
僕は顔が熱くなるのを感じて、俯いた。
恥ずかしい。
こんなに大きな音を鳴らすなんて。
すると、らっだぁさんが少し笑って言った。
rd「あ、そりゃあ一晩走って逃げてきたんだから、お腹すいてるか」
その言葉に、僕はさらに俯いた。
pn「……すみません」
rd「なんで謝るのさ」
らっだぁさんは笑った。
rd「ちょうど次が食堂だから、ついでにご飯も食べちゃおうか」
pn「ありが……とう、ございます……」
小さな声でそう言うと、らっだぁさんはニッと笑った。
rd「じゃあ、レウ〜!」
館中に響くくらいの大きな声で、誰かの名前を呼ぶ。
少しすると――
ru「何〜? らっだぁ〜……って、その子どうしたの?!」
廊下の向こうから、一人の男性が現れた。
赤い髪。
黒い帽子。
そして、目の下には少しあざ?のようなものがある。
きっと、この館にいるという四人のうちの一人だ。
rd「森で拾った」
ru「猫を拾ったみたいに言うな!」
即座に返ってきたツッコミに、僕は思わず小さく笑ってしまった。
それを見たらっだぁさんも、嬉しそうに笑う。
rd「こいつはぺいんと。色々あって、この館に住むことになった」
ru「俺はレウクラウド。みんなからはレウって呼ばれてるから、ぺいんとくんもレウって呼んでね!」
レウさんは、僕に向かって優しく笑った。
その笑顔は、とても自然で。
まるで、僕がここにいることを当たり前のように受け入れてくれている気がした。
pn「……初めまして。ぺいんとっていいます……」
ru「うん、よろしくね」
たったそれだけの言葉だった。
なのに、胸の奥が少しだけ温かくなった。
rd「とりあえず、ぺいんとに何か食わせてあげない?」
らっだぁさんが言った。
#君話長いんだよね
永遠に寝たい
115
#ぺいんと愛され
Nera🍀︎❄🐈⬛
267
rd「その後に、怪我も見てやってほしい」
その言葉を聞いて、僕は自分の身体を見た。
そういえば――僕は怪我をしていたんだった。
ru「おっけー。じゃあ、ついでにみんなの分の朝ごはんも作るね」
rd「さんきゅー」
pn「ありがとうございます……」
ru「笑笑、全然いいんだよ」
レウさんはそう言って、優しく微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間。
僕の胸の奥が、ほんの少しだけ――ぽわっと温かくなった。
こんなふうに笑いかけてもらったのは、いつぶりだろう。
____________________
ご飯を食べ終えると、らっだぁさんとは一度別れ、僕はレウさんの部屋へ向かった。
部屋に入ると、レウさんは救急箱を取り出した。
ru「ちょっと見せてね」
pn「はい……」
レウさんが傷を確認する。
ru「ありゃー……この傷は痛いだろうねー」
優しい声だった。
傷口に触れる手も、できるだけ痛くないようにしてくれているのが分かる。
pn「……っ」
少し痛みに顔を歪めると、
ru「ごめんごめん。もうちょっとだからね」
そう言って、レウさんは手当てを続けた。
しばらく沈黙が続いた。
やがて、レウさんがぽつりと口を開く。
ru「話したくなかったら話さなくていいんだけどさ」
僕の手を包帯で巻きながら、静かに続けた。
ru「なんで、ぺいんとくんは森で倒れてたの?」
その瞬間。
胸の奥が、ズキッと痛んだ。
忘れたかった。
できるなら、ずっと忘れていたかった。
でも、その言葉を聞いた瞬間、頭の中に今までの出来事が鮮明に蘇ってきた。
怖かった。
苦しかった。
逃げたかった。
僕の目から、大粒の涙が一つ、ぽろりと落ちた。
ru「わわっ……!」
レウさんが慌てたように顔を上げる。
ru「ごめんね! 今のは聞かなかったことにしていいから!」
そう言って、困ったように笑った。
でも――
僕は首を横に振った。
pn「……大丈夫、です」
声は震えていた。
それでも、ゆっくりと言葉を紡いだ。
pn「僕……魔力が、一ミリも無いんです……」
レウさんは何も言わなかった。
ただ、僕の目をまっすぐ見つめていた。
驚いた様子も。
馬鹿にする様子も。
気味悪がる様子もない。
ただ、静かに僕の話を待ってくれていた。
だから僕は――
話した。
今まで何があったのか。
どうして森を一人で走ることになったのか。
どうして、あんなに怖かったのか。
らっだぁさんに話した時と同じように。
一つ一つ、ゆっくりと。
途中で何度も言葉に詰まり、涙で声が震えた。
それでも、レウさんは一度も僕の話を遮らなかった。
ただ黙って、僕の傷を手当てしながら、最後まで聞いてくれた。
____________________
ru「……そっか」
全てを話し終えると、部屋には静寂が落ちた。
僕は俯いた。
気づけば、また涙が頬を伝っていた。
止めようとしても、止まらなかった。
ru「……辛かったね」
レウさんの声が聞こえた。
顔を上げると、レウさんは少し悲しそうに、それでも優しく微笑んでいた。
ru「よく頑張ったね」
その一言が、胸に刺さった。
今まで誰にも言ってもらえなかった言葉。
「辛かったね」
「よく頑張ったね」
その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていたものが、ぷつんと切れた。
pn「……っ、う……」
涙が止まらない。
そんな僕を見て、レウさんは何も言わずにそっと待ってくれた。
pn「僕は……ここにいていいんですか?」
ru「もちろん」
レウさんは優しく笑った。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が少しだけ熱くなった。
その日、僕は初めて――
この館を『知らない場所』ではなく、
少しだけ『帰る場所』だと思えた。
僕は俯いて、自分の胸元に手を伸ばす。
指先に触れたのは、いつも身につけているペンダントだった。
母さんからもらった、大切なもの。
無意識にそれを握りしめる。
ru「……これ」
pn「ん?」
ru「これどうしたの?」
レウさんが僕の手の中を覗き込む。
pn「いつから持っているのか覚えてないけどずっと持ってるんです」
ru「ペンダント?」
pn「はい」
ru「そっか、綺麗だね」
pn「はい…。」
レウさんはそれ以上聞かなかった。
ただ、少しだけ優しい目でペンダントを見つめていた。
ru「じゃあ、それはきっとぺいんとくんにとって大切なのものなのかもね」
pn「……確かにこのペンダントだけはずっと肌身離さず持っていますね」
ru「うん」
「大切なものって持ってるだけで、少し安心することない?」
pn「……あります」
僕はペンダントを胸元に戻した。
なぜか分からない。
でも、これを持っていると昔から少しだけ安心した。
まるで――
何か大切なものを守ってくれているような。
pn「……」
でも、それが何なのかは僕にも分からなかった。
ru「大切にしなよ」
pn「……はい」
レウさんは笑った。
その笑顔を見ていると、胸の奥が少しだけ温かくなる。
この時の僕は、まだ知らなかった。
その小さなペンダントの中に――
僕自身も知らない何かが眠っていることを。
そして。
それが、僕の人生を大きく変えることになるなんて。
まだ、知る由もなかった。