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早く助けないといけない。俺の大切な人。まずはポットから出すことからだろう。だし方は何となく分かる。
『ここをどうするか……』
何をどうするかに色々なことが決まる。あの子を出すことが最優先か他になにか用意するかが優先か、「助けたい」という気持ちが大きすぎて上手く頭が働かない。
あたふたしているうちに時間は過ぎる、こんなことであの子を失うなんて嫌だ。できる行動全てやらなければ。
カチッ
(早く、早くしないと)
カシャン
『!』
何かが落ちたようだが今はそれを気にしていられない。あの子の命がかかっている。助けれないなんてダメだ。
『ボク、頑張るから』
目を開けているのか閉じているのかよく分からない流月、何を考えてるのかも表情からは伝わらない。
(君は何を想うの?)
できることなら今すぐ話したい。ずっと思い出せず、ずっと我慢してきた。だからこの願いを叶えて欲しい。
(これだけ辛かったんだもん、少しくらい欲張ってもいいじゃん)
ゴボッ
『流月!!』
君が悲しいなら俺も悲しい、君が辛いなら俺も辛い、君が痛いなら俺も痛い、君が苦しいなら俺も苦しい。
『どうして、泡が…』
何かよくないことがあったのだろうか、不安でしかない。
『流月……』
もちろん返事はない、でも早くポットから出さなければいけない。流月には飴が必要だ。
(ねぇ、お願いだよ、助かってよね……)
あの箱の中身が気になったりで全然目の前のことに手が付かない。こんな大事な時にどうして手が動かないんだろう。余計なことも考えたらダメなのに………
『どうしたら…』
出た声はどことなく元気の無いような声だった。これじゃあ会えた時なんて台無しだな。
カチッ ガチャ
ビシャビシャ
一斉にしてポットから水が溢れてきた。それと同時に流月が倒れ落ちる。急いで飴をあげなければ。
『あ、れ?え?どうして……』
持っていた飴がない、ちゃんと準備したはずなのになんで……?
“カシャン”
『あ………』
(まさか…落とした?)
蘇る音の記憶、あれは飴を落とした音だった。明らかに飴がない。それに
(もしかして1個しかなかったの?)
ポケットを漁るが何も入っていない、あるとしたら💉から貰った箱くらいだろう。
(ヤバい、どうしたらいいんだ)
『あ……め…………さん』
『え?』
流月が俺のことを呼ぶ。声にならない細々とした声で。流月は笑ってるようなのに悲しそうに涙を流した。
『あ、れ』
指を指した先は💉がくれた中身の分からない箱だった。はこがどうしたのか聞こうとした時には指さしていた手はちからが入っていなかった。驚いて流月が生きているか確認した。
(呼吸して、ない?)
吸って吐いてをしていない、分かることは流月は息をしていない、だが飴もどこかで落とし見当たらない。つまり飴をあげれないのだ。
(どうしようこれじゃあ流月が生きられない)
そんなのダメだ、絶対に何がなんでも助けなければ、でも俺は今飴を持っている状態ではない。できることは無い。
『流月ッ!!流月!!』
泣き叫ぶことしか出来なかった。どこにこの想いをぶつければいいのだろう。せっかく思い出したのに…
(さっきの箱)
まだ中身を確認してない、確か💉は
『それを開ける時は彼女が目を覚ましたか目を覚まさない時にしてくれ』
そう言ったはず
きっともうこの子は目を覚まさない、ならもう開けてしまってもいいだろう。
パカッ
『え、な、何これ』
それは指輪だった。ていうかなんでサイズ分かったんだろう。なんで用意してくれたのだろう。
『普通、これはボクが用意するものだと思うよ…』
涙が溢れ出てくる、止まらない、この子の前では泣いたらダメだと思ってるのに、ありがとうと伝えたいのに…
『うわぁぁぁぁぁぁぁん』
叫ぶことしか出来ない
(なんで、なんで……)
後悔しか残らない、それは酷く苦く心は脆く壊れてしまいそうだった。
涙は雨のように
(飴なんていらない体だったら……)
badEND 飴と雨