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「……はあ」
朝。
机に突っ伏したまま、小さくため息をつく。
寝た気しねえ……
昨日のことが頭から離れない。
白瀬の言葉。
“ここにいないはずの人”
あんなこと言われて、気にすんなって方が無理だろ……
「おはよー」
軽い声と一緒に、背中を叩かれる。
「いって!?」
顔を上げると、瀬名が笑っていた。
「朝から死んでんじゃん」
「誰のせいだと思ってんだよ……」
「え、俺なんかした?」
本気でわかってなさそうな顔。
こういうとこだよ……
「昨日の帰り、急にいなくなるし」
「……あー」
言葉に詰まる。
(神代と鉢合わせたとは言えないよな……)
「なんかあった?」
少しだけ真面目な声。
「別に」
目を逸らす。
「ふーん」
そのまま、ぐっと顔が近づく。
「嘘つくとき、わかりやすいよな」
「は!?」
反射的に身を引く。
近い近い近い!!
「ちょ、やめろって」
「なんで?」
「なんでって……」
言葉が詰まる。
距離が近いせいで、変に意識する。
こいつ、こんな距離感だったっけ……
「……ま、いっか」
瀬名があっさり離れる。
「そのうち話せよ」
「……気が向いたらな」
軽く流す。
でもーー
なんか、変だな
視線を感じる。
ちらっと横を見る。
神代。
一瞬、目が合う。
すぐに逸らされる。
でもーー
今、見てたよな……?
違和感が残る。
授業中。
……集中できねえ
黒板を見てるふりをしながら、考える。
瀬名も変だったし、神代もなんかおかしいし……
ふと、視線を感じる。
ゆっくり顔を上げる。
教室の端。
白瀬と、目が合う。
「……」
逸らさない。
じっと見てくる。
なんだよ……
その視線に、妙に落ち着かない。
白瀬が、ほんの少しだけ笑った。
……なんで笑うんだよ
意味がわからない。
放課後。
「朝霧」
呼ばれて振り返る。
橘が立っていた。
うわ、出た……
教師。
年上。
本来なら、もっと後で関わるキャラ。
「ちょっといいかな」
「え、俺ですか」
「他に誰がいるの」
軽く笑う。
いやいやいや
このイベント、こんな早くないだろ
「……なんですか」
警戒しながら近づく。
「最近、ぼーっとしてるでしょ」
図星。
「してませんけど」
「してるよ」
即答。
「授業中も上の空だし」
見てたのかよ……
「悩み事?」
「別に」
また同じ返し。
橘が少しだけ目を細める。
「強がるタイプか」
「違います」
「じゃあ、無理してる?」
言葉が詰まる。
なんでそんなことまでわかるんだよ……
「……関係ないでしょ」
少しだけ強く言う。
一瞬、沈黙。
でも橘は怒らない。
むしろーー
「関係あるよ」
一歩、距離が近づく。
「君のこと、気になってるから」
は?
思考が止まる。
いや待て待て待て
なんでここでそれ言う!?
「冗談、ですか」
「どう見える?」
余裕のある笑み。
この人……
絶対わざとだろ……
「……用事それだけですか」
逃げるように言う。
「うん、まあね」
あっさり引く。
でも去り際にーー
「無理するなよ」
小さく言う。
振り返ったときには、もういなかった。
一人になる。
「……なんなんだよ、ほんとに」
頭を抱える。
おかしい
一つ一つは小さい。
でも確実に、
全部がズレてる。
本来なら、こんな風に
全員と関わることなんてない。
それなのにーー
なんで俺なんだよ……
答えなんて出ない。
でも、はっきりしてる。
これ、もう元の話じゃない
ゆっくり息を吐く。
『俺がいるせいで、変わってる』
その事実だけが、重く残った。
〈登場人物紹介〉
橘 恒一郎(たちばな こういちろう)→からかい上手で本当はほかのキャラと付き合っていた設定のキャラ