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「かいッ!」
「魁星!」
「「──────」」
目が覚めた。
なのに、視界は真っ暗で。
身体は麻痺してしまったのだろうか、腕が上がらないから、自分の状態を確認できなくて。
衣擦れの音がした。
「…ぁれか、ぉるん?」
あぁ、声も上手く出ないや。
「かいせい…?」
「かい…?」
あぁ、いつもの2人や。安心した。
「…ぁ、ごめん、魁星の手握ったまま寝ちゃってた。」
「ははっ、おれもだ。」
そう言って2人は手を離した。
途端、温もりが消え、少し寂しくなる。
…まあいい、自分の顔の状態を…
…あれ?目隠しも何もついとらん。自分の睫毛に触れて気づく。
「…かい?」
「…ぁ、ゅうせい。」
「どした?」
「…ぁんでもないや。」
「…ははっ、どうしたんだよ。かいらしくない。」
…そうか、今の僕は僕じゃないのか。
幸いにも、耳は普通に聞こえる。
…でも、仕事、どうしようかなぁ。
鍵屋は、手の器用さが大事だが、目が見えなければ話にならない。
「…魁星。」
「…ぁんや、ネス。 」
「お前、目見えてないだろ。」
「…っ!ぁんで…」
「分かりやすすぎ。今きたみんが部屋出てったのも気づいてないでしょ。」
「…ぇ。」
「…んで、……ばっ…の?」
「…ぇす?」
「なんで、オレのこと庇ったの!?
オレだって、横から攻撃飛んできてたの分かってた!確かに、完全に防げる自信はなかったけど、オレは魁星と違って、防御手段があるから、大丈夫だったのに!
…っなんで、オレなんか庇ったんだよ…っ!」
ぎゅっと握りしめてくる手が熱い。
グローブを外して、「執事」ではなく、「友人」として彼はこの場にいるのだ。
「…ぁしかに、ぉまえは、つよくて、かっこよくて、てんさいやけどな、わしらの、たいせつな、かわいい、なかまで、ともだちやねん。そんなおまえが、きずついたら、いややねん。」
「…ッ理由になってない…っ!」
「…はは、、せやろか。…でも、それでからだが、うごいちゃってん、しょうがないやろ。」
「…」
あーあ、泣かせちゃった。
「…ねす、ごめんなぁ」
「…っ!…なんで、あやまんの…」
「ねすのこと、なかせてもうた…」
「…ないてねぇし…」
「…ねす」
「なに」
「ありがとうなぁ…」
「…
こちらこそ、助けてくれてありがとう」
「ん。」
「かいー、ネスー、戻ったー!」
「おかえり、きたみん」
「おかえりー」
「おっ、かいもう喋れるようになったんか!」
「まだちょっとくるしいけどな」
「そっか、あ、プリンとゼリー持ってきたぜ!」
「お、ありがとうな。」
「起き上がれる?…よいしょ。」
「…あっ、てか1人じゃ食べれねえか!しょうがない、おれが食わせてやろう!」
「おーおー、至れり尽くせりやな」
「もちろん、かいはおれ達の大事な友達だからな!」
「…ふはっ、同じこと言ってらぁ」
「えっ、はははっ!」