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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「……どうしたの?

アイナちゃんとエミリアちゃん……」


19時、宿屋の食堂。

私とエミリアさんがテーブルに突っ伏していると、ジェラードとルークが戻ってきた。


「「……疲れました」」


「今日は大聖堂に行ったんですよね? 何があったんですか……?」


「はい……。レオノーラ様から魔法を教えて頂いていました……」


「まさか、あんなにスパルタになろうとは……」


「ふ、ふーん? 大変だったんだねぇ……。

それじゃ、ぱぱっと食べて、さっさと休む?」


「そうですね、まずは食べないと……!」


ジェラードの言葉に、エミリアさんが復活した。

ぬぬ、言葉だけで復活できるとは羨ましい。仕方ない、私も頑張ろう。


「まずは注文をしちゃいますか……。私は軽めで……えっと、これでいいや」


「いつも以上に軽いですね!?

わたしは、今日はもうがっつりいきますよ!」


「あはは、エミリアちゃんはいつもじゃないの」


「そ、そんなことはっ!」


あると思いまーす。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




食事を口に運び始めると、どうにか私の気力も戻ってきた。

うん、食事はやっぱり大切だね。


「はぁ、生き返るー……。

いや、それにしてもまさかあそこで腕立て伏せが始まるとは……」


「え、何で魔法の勉強で腕立て伏せを?」


「いえ、上手く脱力が出来ていないとかで……。

エミリアさんに教わったときも手を擦り合わせたりしましたし、私の魔法のイメージと何かが違う……」


「あはは、魔法の覚え方なんて人それぞれだからね。

アイナちゃんがイメージしてるのは、多分瞑想とか想像から入るタイプなんじゃない?」


「そうそう、まさにそれです!」


「もちろん、そういったやり方で教える人もいるよ。

良い悪いじゃなくて、今回は教えてくれる人がそういう方針だったってだけだね」


「大聖堂の人って、何だか肉体派ですよね……」


「否定できませんね!」


エミリアさんが即答する。

見た目は完全に魔法系っぽいのに、何で教え方が肉体系ばかりなんだろう。


ちなみに私の腕立て伏せに付き合って、エミリアさんも腕立て伏せをやらされていた。

結構な回数は出来ていたけど、レオノーラさんは何故か限界まで挑戦させていた。理由はよく分からない。


「それでアイナ様、魔法の方はいかがでしたか?」


「うん、おかげでしっかり使えるようになったよ! はい!」


私はルークに、指輪をはめた指を差し出した。


「え?」


「ちょっと指輪、取ってみて?」


「えぇっと、それでは失礼して……」


ルークはしばらく頑張ったものの、指輪を取ることはできなかった。


「ふふふ、どうだ!」


「なるほど、確かに指にくっついている感じがします。

情報操作の魔法も掛けてもらったことですし、これでもう心配はありませんね」


「そうだね。あとはルークに覚えてもらったら、装飾魔法の件はおしまいかな」


「そ、そうでした……。私も頑張ります……」


ルークは思い出したように、そう言った。

私がいつでも教えられるから、焦らずに頑張ってもらえれば良いんだけどね。


それにしても、私もついに自分で魔法を使えるようになったのかぁ……。

レオノーラさん曰く、ごく初級の魔法らしいんだけど……。


ちなみに装飾魔法の使い方を簡単に説明すると――

……マナ操作だけでやる方法は、例えば指輪の場合は、肌と指輪の接する場所にマナを満たすイメージを作るだけ。


つまりマナを接着剤みたいに使う感じだね。

他には釘を打ち込むようなイメージでも良いらしいんだけど、こっちは少し痛そうだからパスしておいた。


詠唱を伴ってやる方法は、マナを身体から離して、そこに言葉で魔法的な命令を与える……って感じ。

その命令は普通に口で言えば良かったんだけど、『マナを身体から離す』っていうのがよく分からなくて、先の腕立て伏せに繋がったわけだ。

おかげで何とか分かるようにはなったけど……その代わりに、かなり疲れる羽目になってしまった。


「でも、エミリアさんは早々に使えるようになっていたんですよ。

何だか応用編までやっていたし」


「ふふふ、わたしは魔法の経験者ですからね! 基本編は余裕でした」


「ちなみに応用編って、どういうものを覚えたんですか?」


「えっとですね、落としたときに光を発するようにする魔法です!」


「……へぇ?」


エミリアさんの答えに、ルークは不思議そうな表情を浮かべた。


「指輪とかイヤリングって、落としたら見つけにくいことがあって……。

街中ならまだ良いんですけど、原っぱとかで失くしたら見つけにくいじゃないですか」


「おお、なるほど。そういったときに便利ですね」


「さらに応用すれば音も出せるようになるらしいんですが、わたしはそこまでは……」


「光らせる魔法だから、光属性の魔法を使えるエミリアさんと相性が良かった……っていうのもあるんですよね?」


「そうです、そうです。おかげで今日のうちに使えるようになりました!」


満足そうに笑顔を浮かべるエミリアさん。

やっぱり新しい魔法を使えるようになるのは嬉しいよね。


「……というわけで、こっちの首尾は上々だったよ。

ルークたちの方はどうだった?」


私は装飾魔法の話を終わらせて、ルークとジェラードの話を聞いてみることにした。


「はい、今日はまず武器屋に向かいました。

試し切りのブースにジェラードさんと行ったのですが――」


「いやぁ! ルーク君の剣は力強くて良いね!」


「そういうジェラードさんも、とても鋭い剣筋で素晴らしかったです」


「それは、試し切りのブースの方が心配になるレベル」


「さすがアイナ様。

若干お店の方の目も厳しくなってきたところで、魔物と戦ってみようという話になりました」


「え? 外に行ったの?」


これは予想外の展開だ。

てっきりずっと、街中で過ごしていたと思っていたんだけど。


「僕もたまには、魔物と戦ってみたくなってね。

冒険者ギルドで討伐依頼を受けて行ったんだ♪」


「ルークとジェラードさんが相手だと、魔物の方も大変ですね」


「今までの魔物討伐は、ルーク君がメインだったんだよね。

せっかく行って僕の獲物が無かったら嫌だったからさ、魔狼の群れの討伐パーティに参加して来たんだ♪」


「ま、まろう……?」


「話によれば悪い魔物使いがいて、ダンジョンの魔物を……何かよく分からない方法で、外に持ち出したんだってさ。

それで、その魔物をたくさん複製して暴れまくっていたみたい」


「す、凄いことをしますね……」


魔物使い……。

ゲームとかでは聞いたことがあるけど、そういう人もこの世界にいるのか。


「でも案外あっさり、すぐ終わりましたよね。

私とジェラードさんで多分50匹くらいずつ、あとは他に3人いましたが……その方々は20匹くらいでしたでしょうか」


「他と比べて、圧倒的すぎじゃないですかね……」


「冒険者ギルドの人も驚いていたよ? C-ランクの実力じゃない……って」


「ちなみに、魔物を複製していた魔物使いはジェラードさんが捕まえたんですよ。

最後のダッシュはお見事でした」


「いやいや、あれが魔物だったらルーク君には負けていたと思うよ。

対人戦は僕の方が得意だった、ってだけさ」


「はぁ、凄かったんですねぇ……」


「……あ、そうだ。魔狼を倒したらさ、魔石を落としたんだよ。

お土産に、アイナちゃんにあげるね!」


「え、良いんですか!?」


「アイナさん、ずるーい! わたしには無いんですか!?」


「あはは、今回のはアイナちゃん用かな。

もう持ってるやつだけど、たくさんあったら良いかなってやつだし」


え? 私が持ってる魔石?

それって『空箱の魔石』? それとも、もしかして『安寧の魔石』!?


ジェラードは微笑みながら、私に魔石を1つ渡してくれた。

ど、どっちだろう!? かんてーっ!


──────────────────

【迷踏の魔石(小)】

不思議な音を出す

──────────────────



……………………。


お前の存在を忘れてたぁあああああああああああああああああああああっ!!!!!!

異世界冒険録~神器のアルケミスト~

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