⚠︎必ずattentionを読み、理解した上でお楽しみ下さい
⚠︎前回の続きとなっております そちらを読んでからお楽しみ下さい
⚠︎キス表現有
nkshk わるいこ誰だ 続き
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shk side
とある夏の日のこと。
俺は漫画を買いに、本屋を訪れていた。
過保護なnkは一緒に行きたいと言っていたが、あいにく委員会があるらしい。
nk「変な人についていったりしないでね、あと痴漢にも気をつけて。なんかあったらすぐ俺のこと呼んで」
それから、と前置きして、
nk「…もし雨が降ったら、すぐに帰ってきてね」
そう。普段nkが付けてくれている印は、雨が降るとその効果がほとんどなくなってしまうらしい。
nkいわく、
nk『俺が付けてる印はね、アイツらにしか分からない匂いを纏わせるために必要な物なんだ』
nk『アイツらはこの匂い大嫌いだから。俺に守られてる人だって分からせる意味もあるんだけどね』
nk『でも、雨が降ったらその匂いは薄れちゃうんだ。ただのキスマになるってこと』
そう言っていた。
nk「本当に大丈夫?1人でも大丈夫?」
shk「大丈夫だって。それじゃ、行ってくるね」
心配そうなnkに背を向けて本屋に向かう。
振り返ると、nkがブンブンと手を振っていた。俺も笑って振り返す。
次に振り返った時、nkは同じ委員会のknに引き摺られながら手を振っていた。
俺は漫画を買って、本屋を出た。
空を見上げると、雲行きが少し怪しい。雨が降りそうだ。
shk「急いで帰らないと」
本屋から寮までは、それなりの距離がある。俺は足を早めた。
少しして、頬にポツ、と何かが当たった。
───────雨だ。
そう分かった途端、えもいわれぬ恐怖が襲ってきた。
─────これ以上強くならないで。
そんな思いとは裏腹に、雨足はどんどん強まっていく。
俺を遠巻きに見ていたバケモノ達が、ひたひたと距離を詰めてくる。
急いで帰らないといけない。
そんなこと頭では理解している。
だが、走ろうにも恐怖で足が動かない。
───ズシリ、と体が重くなった。
肩を見れば、毛むくじゃらのバケモノと目があった。
大きい虫のバケモノが、バッグから折り畳み傘を奪った。
蛇のようなバケモノが足に絡みつく。
モヤのようなバケモノが飛び回り、嘶く。
グチャグチャの顔に手がくっついたようなバケモノが、俺の背中を押した。
ベシャ、という音とともに俺は地面に顔を突っ込んだ。
───「なんかあったらすぐ俺のこと呼んで」
nkの言葉を思い出し、立ち上がってポケットをまさぐる。
shk「…あれ、ない」
スマホがない。
どこかに落としたのか?
そう思い、後ろを振り返ると
『…キシシシシッ、クヒッ』
俺を嘲笑う能面のような顔のバケモノ。
その手には、俺のスマホが握られていた。
shk「ッ返せ!!」
スマホに手を伸ばすが、バケモノは宙に浮いてひらりと躱す。
『ヒヒヒヒヒッ、ギャギャッ』
『クヒヒヒ、ヒヒヒッヒャヒャヒャッ』
『キシシッ、キシシシシッ』
俺は不気味な笑い声を纏いながら、必死に足を動かした。
息がしづらい。
きもちわるい。
────早く、早くnkに会いたい。
その一心で、帰路を辿った。
…かなり時間が経ったのに、進んだ距離はそうでもない。
俺は、精神的にも肉体的にも疲れ切っていた。
寮までは、あと10分くらい。
──────nk、nk、たすけて、早く。
?「───ッ!」
?「 shkッ!」
その声に、俺は顔を上げる。
nk「 shkッ、 shk、大丈夫!?」
レインコートの裾をはためかせ、nkが俺の方に走って来ていた。
shk「……nk」
nk「 shk、ごめんね。すぐ祓うから」
そう言って、nkはバケモノ達を手で叩く。
パン、パンと音がして、バケモノ達は破裂していった。
ゴトリ、と俺のスマホと折り畳み傘が地面に落ちた。
nk「…よし、もう大丈夫だよ、 shk」
恐怖から解放され、力が抜けた俺は、その場にへたり込んだ。
nk「 shk、おぶってくから、これ着て背中乗って」
そう言って、自身のレインコートを俺に着せるnk。俺が頷いたのを確認すると、俺に背を向けてしゃがみ込んだ。
おずおずと彼の背中に体重をかける。
nk「 shk、寝れるんなら寝ときな」
shk「……ん」
疲弊しきっていた俺は、すぐに眠気の波にのまれていった。
─────オバケは、悪い子のところに集まるのだという。
確かに、俺は悪い子だ。
「1人で大丈夫」と言っておきながら、このザマだ。
「雨が降ったら急いで帰って来て」の言いつけも守れていない。
大事なときに恐怖で動けなくなって、またnkに迷惑をかける。
───────本当に、俺は悪い子だ。
shk「……ぅ」
目を覚ますと、そこは部屋のベッドの上だった。
濡れていた体は拭かれ、寝巻きに着替えさせられていた。
起き上がろうとしたが、ぐったりとした体はなかなか言うことを聞いてくれない。
nk「あ、 shk起きた?」
nk「良かった…」
ほぅ、と安堵のため息を吐くnk。
shk「……ごめん、nk」
nk「え、何が?」
shk「1人で大丈夫って言ったのに、また、nkに迷惑かけた」
shk「バケモノが近づいて来た時も、走って逃げればよかったのに、出来なかった」
shk「迎えにまで来させちゃったし、すごく、nkに心配かけた」
shk「本当にごめん」
それまで黙って話を聞いていたnkが、ベッドに腰掛ける。
nk「確かに、めっちゃ心配したよ?でも、こうして無事だったから、本当によかった」
nk「 shkにカッコいいところも見せれたし、俺はshkを守るために恋人になったんだから」
nk「だから、ごめんじゃなくて、ありがとうの方が嬉しいな?」
俺の頭を優しく撫でながら、そう言うnk。
shk「……ありがと、nk」
俺は紅潮した顔をnkからそらして、そう言った。
nk「うん」
nk「…でも」
nkが、俺に顔を近づける。
nk「…ありがとうのキス、とかはないの?」
shk「は!?」
俺は狼狽えながら、nkの方を見る。
nk「ほら、はーやーくー」
少しの間逡巡し、根負けした俺は、
shk「……チュッ」
唇に触れるだけのキスをした。
shk「これで満足かよ…っ!? 」
刹那、nkに唇を奪われた。
さっきのとは違い、長いキス。
shk「…っは、おま、ふざけ…ッ」
顔を真っ赤にしながら彼を見ると、
nk「…っふふ、かわいーね、 shk」
彼は、悪い子のような笑みを浮かべていた。
fin.