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天城先輩の腕の中で

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天城先輩の腕の中で

10 - 第10話媚薬(2)

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2025年07月18日

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部屋に流れるのは扇風機の微かな音と、さっきまでのキスの余韻。
「……なあ、コンちゃん」


天城悠馬が少ししゃがれた声で呼ぶ。ぐっと那央の顎を持ち上げて、うわずった瞳を覗き込んだ。


「俺……たぶん、優しくできないかも」


は、と熱を帯びた吐息が那央の頬に落ちる。


那央は、ぎゅっとシーツを握ったまま、ぽやっとした目で先輩を見た。汗ばんだ髪が額にはりついていて、瞳の奥はどこか、蕩けている。


「……だいじょうぶです。欲しい、から」


声が震えてる。けど、確かに言った。


欲しいって。


天城の口角が、ほんのり持ち上がる。


「そっか。じゃあ、泣かないでね」


一瞬の間をおいて、那央の脚の内側に冷たい指がすべりこむ。触れたところから熱が広がって、腰がびくっと跳ねた。


「んっ、あっ……」


甘く漏れる声。薬が効いてる。


那央の指先も、無意識に先輩のシャツの裾をつかんでいる。


「こわい…」


那央が呟くように言ったのを、先輩は聞き逃さなかった。


「大丈夫。ちゃんと気持ちいいことするから」「あと、俺がもう我慢できない」


そのままぐっと那央の足を開いて、腰を押し当てる。服越しでも熱くて硬いそれが、いやでもわかる。


「な、あ……っ、ちょっ……!」


「コンちゃん、俺ばっかりしてたら不公平じゃん。ほら、さっきのお返し」


そう言って、首筋に唇を這わせながら、軽く甘噛み。那央は細い声で、


「や……ぁ、そんなとこ……っ、くすぐった、……ふ、ぅんっ」


「くすぐったいだけじゃないでしょ?感じてる」


悠馬の目は獣じみていた。媚薬が入っているはずなのに、どこか冷静で、余裕すらある。


「コンちゃん、俺にもっとぐちゃぐちゃにしてほしい?」


耳元で囁かれて、ぞくっと背筋が震える。


「……いわせないで」


そう答えた瞬間、腰を押し込まれた。まだ服の上からだけど、擦れるだけでも涙がにじむほどの熱量。


「こんなの……変、なのに……」


「でも、気持ちいいんでしょ?」


「……いっちゃやぁ…っ」


そこから先は、何度もキスを重ねながら、服を脱がされるたびに、心も身体も剥がれていくようだった。


那央の息遣いも、悠馬の吐息も、どんどん乱れて。


「コンちゃん、やめてって言われてももうやめれないから」


「うん、……止めないで」


その夜、何度も熱が交わされた。

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