テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
飼われて一週間ちょっと経ったぐらいだろうか一応、スマホはあるが、何故か見る気になれない
そのような気力がだんだんと衰えていくから
「…おっそ」
大森は現在仕事中で、部屋は冷たく人の体温を感じない
一人ではスペースを余すほど広い大森のベットで毛布にくるまって、まるで飼い主を求めるように呟く
家にいる間は家事をすべきなのだろうが、大森がそれを拒んだ
“犬は家事なんて出来ないからね、料理も”と
笑顔でそう言いながら夕食にトマトパスタを出してくれたが、食べるのを拒みそうになったこともある
つまり、勝手なことをするなと言うことだろう
皮肉のように、そのような意味が隠れている気がした
ぼーっと時計の秒針を目で追っていると、急に玄関から音がした
恐らく、鍵穴の回る音
大森が帰ってきたのだ
犬のように、小走りで玄関に向かう
もとき、もとき
若井も自身でとっくにおかしいと思っている
自分を監禁するやつの帰りを待つだなんて
でも何故か、堕ちるように求めている
「ただいま、いい子にできた?」
そう優しい目をしながら、若井の頭を撫でる
やけに心地よく、無意識にもっとを求めたくなってしまう
「若井、お土産あるよ」
そうにこにこしながら大森がカバンの中を覗く
お土産と聞くと、悪い気はしない、心を踊らせながらその品を待つ
「ほら、これ」
輪っかと紐が繋がっているものがカバンの中から出る
「首輪、今度はチョーカーじゃなくて、ホントの首輪」
愛おしそうにその首輪に繋がれるリードを撫でる大森を見て、心底吐き気がした
吐き気と、恐怖が募るばかり
「綺麗でしょ、青色、若井の色だし」
「まって、まって」
そう言いながら若井に近づく大森の肩を掴み、制止させる
「なんでこんな…っチョーカーはまだファッションに出来るにしても、首輪って…しかもリード…っ」
「良いでしょ、犬の証」
一息置いて、また笑顔で言う大森は、まるでサイコパスだった
まずい
このままでは本当に犬に堕ちてしまう
その確信は、若井の体を動かした
一目散に玄関に走ると、勢いよく靴も履かずに外へ飛び出す
久しぶりの外は冷たく、雪こそ降らないが凍えるような寒さだ
大森がコートにマフラーを巻いていたのも頷ける
でも、マンションの廊下の冷たさなど関係ない、走らないと
そう全力で走ろうとした途端、背中に人の体温を感じた
「だめ、いかないで」
「おねがい」
腕を前に回し、ぎゅっと優しく抱きしめられた
震えた声で若井を引き止めるその声は、弱々しい小動物のようで、若井の心を揺らした
後ろでぐすぐすと鼻をすする音がして、何ともいたたまれなくなる
「ごめ、元貴、泣かないで」
「だって、わかいが、また、いなくなっちゃうから」
「居なくなんないから、大丈夫」
「…ほんと?」
「うん、なんない」
「ずっと一緒だから」
そう言った途端、強い力で腕を引っ張られ、玄関で倒れる
「いっ”」
胸を強打し、痛みで声が漏れる
「泣き落としに引っかかるなんて、若井もお人好しだね」
「ほんと、馬鹿」
真っ黒な、だがその奥にある怒りが渦巻く瞳で、若井を見つめる
若井のチョーカーを強引に外し、片手に持つ首輪を装着する
「いい眺め」
嘲笑を含んだ言い方をしながらリードを撫で、いきなり引っ張る
「あ”っ、ふ、ひゅ、か”」
苦しそうに、喉を掻き毟ったかのような声で鳴く
その若井の姿は、大森をさらに興奮させるだけだった
手を離すと、若井が大きく息を吸って咳をする
「…痛い?」
「けほ”ッごほ、ッ」
若井をごろんと仰向けにさせると、、大森が馬乗りのまま問いかける
「なんで逃げちゃうの?」
顎をぎゅっと掴み、強い圧で圧倒される
「答えろよ」
ぱちん、と乾いた音が鳴る
大森が若井の頬を平手打ちした
頬がひりひりと痛む
泣きも喚きもせず、若井は黙ったままだった
恐怖で、何も出来ない
ただ弱々しく震えるだけ
「ご主人様の言うこと聞けないなんて、だめ犬だね」
若井の腕を掴み、少し引きずると壁にぶつけ、腹部を蹴る
「ぁ”ッ、!?げほッ」
何度も何度も腹部に蹴りを入れる大森に、さらに強い恐怖が積もる
「ん”、ぉえ”ッ」
何度も何度も蹴られるので、胃の中のものを吐き出してしまう
ただ、何も食べていないため、出るのは白濁した胃酸だけ
口の中が酸っぱく、苦く、冷や汗がながれる
口から床へ胃酸が流れるのを見た大森が、呟く
「…汚な」
また、鼻で笑うような、嘲笑した声で
若井はそんな大森を初めて見たため、怖くて怖くて仕方なかった
吐いた嫌悪感と、恐怖で涙が流れる
「…泣いちゃったの?かわい」
そう頭を撫でられ、また実感する
こいつからは逃げられない
コメント
5件
若井さんが可哀想でかわいい・・・ 大森さんの泣き落としに引っかかっちゃうのも それからとことん躾されちゃうのも シチュとして美味しすぎました 更新すぐ読めなかったのがくやしい。

めっっちゃくちゃ好きです、うわわ大好き…… 若井さんがもう逃げないように、逃げようとしたらどうなるかとことん身体に教え込む大森さんが鬼畜すぎて大好きです 泣き落としに引っ掛かっちゃう、お人好しな若井さんが可愛い…… この、大森さんの容赦のない躾が大好きですほんっとに…… そしてタイトルが秀逸……この2つの心が徹底的に壊されていく様子、楽しみ過ぎますほんとに 更新された瞬間に読めて幸せ……