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じぇおさんたち

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じぇおさんたち

8 - 🐰✈️

♥

116

2025年06月23日

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・アイドルではない世界線のkmskさんです

・kmさん少し狂ってます




その日は酷く雨が降っていた。冷たいアスファルトの上に、2人の青年が向き合っている。楽しく立ち話している雰囲気ではなく、雨のように冷たい雰囲気だ。

「……なんで、ここにおんねん」

碧海は傘を持たずに立っていた翔也を見下ろしながら、低くつぶやいた。翔也は笑った。可愛らしい顔で。けれどその目だけは、酷く暗かった。まるで、この世の終わりかのように。真っ黒で光を1つも宿さない目をしていた。

「どうしてって……会いたかったから、だよ?」

「はぁ……アホちゃう?あれだけ、もう関わるな言うたやろ」

「うん。言ってた。でも無理だった。だって碧海が僕の全部なんだよ」

雨音が2人の言葉を遮るかのように響いていた。碧海は翔也の言葉を無視して歩き出そうとする。だが、後ろを向き歩き出そうとした瞬間、碧海は翔也に手首を強く掴まれた。碧海と比べれば小柄な身体からは想像つかないような力の強さだった。

「離せや」

「イヤだ。もう、絶対に離さない」

翔也の声が少し震えた。

「僕さ……知ってるんだ。碧海が大学のとき、先生と何があったか。親父さんと絶縁した理由も。友達がみんな離れていったことも。……全部、僕だけは見てた。黙って見てた。碧海の隣で、ずっとずっと……!」

碧海の眉が僅かに動く。動揺の色を見せたが、すぐにキッ、とした表情に変わった。昔の恋人に向けるとは思えないくらい、鋭い眼差しだった。

「……それがなんやねん。翔也には関係ないやろ」

「関係あるよ。だって僕は、ずっと、碧海だけを見てた。碧海だけを、愛してたんだよ」

それは碧海に対するただの愛の告白じゃなかった。執着の宣言だった。絶対に離さない、そんな碧海に対する執着の色の目をしていた。

「もう、僕には碧海しかいない。碧海が誰にも心を開かなくても、笑わなくても、泣かなくても……いい。僕が全部、君の代わりに感じるから」

「……怖いわ、お前」

「そう言われるの、わかってた。でも、もう限界なんだ」

翔也はポケットからナイフを取り出した。細い光が鈍く反射する。碧海の目が細められる。逃げるでもなく、怯えるでもなく。軽くため息を吐き、ジッと翔也の方を見た。

「……何がしたいんや」

「……碧海がいない世界で、生きていく意味なんてない」

「だから___」

「僕と一緒に死のう?」

その言葉を聞いた瞬間、雨音がさらにうるさくなった気がした。

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