テラーノベル
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ky「ここね……」
私はフェンスの上から動けなかった
ただ夕暮れ時の静寂を突き破るkyを見ているだけだった
ky……ごめんね
ky「謝るな、謝るのはこっちの方だから」
違うよ、嘘ついた私が悪いの
ky「私が悪い、私が悪いってそればっかり。もうやめてくれよ」
kyの声には涙が滲んでいた
ごめんね、本当にごめん、もう限界なの
ky「頼むから待ってくれ……俺がここねを救ってやるから、なぁ?!」
その叫び声は酷く虚しかった
こうして言葉をぶつけ合っているうちにも、日は沈んでいく
kyがいると、後悔を断ち切れないから……じゃあね
また、どこかで会おう
ky「ここね!!」
フェンスからはらりと舞い落ちる
その時の私が、きっと人生で一番美しかった
でも、少しだけ違和感があった
私一人の重さじゃない
???「先生、屋上から人がっ」
???「ふざけているんじゃない。練習を再開しなさい」
???「違うんです、そこにいます」
???「女子生徒と男子生徒が一人ずつです」
???「どっちも意識ありそうです!」
不幸な日だった
私たちは陸上部が高跳びの練習に使っていたマットの上に着地していた
医師「えー、骨折など目立った問題はなさそうですね」
それからここまでのことは詳しく覚えていない
気がついたら病院にいた
母親「よかった……本当によかったわ」
隣では母親が涙を流しながら喜んでいる
医師「確か月宮さんの話では、二階のベランダから落ちてしまったんですよね」
……はい
咄嗟の嘘を繰り返され、視線が少し泳ぐ
医師「そして下にたまたま高跳び用のマットがあったと。本当に奇跡ですね」
不運の間違いだ、と言いたくなる欲を私は必死で抑えた
医師「ただレントゲンでは分からないことがあるかもしれないので、何が体に異変かあったらまた来てください。お大事に」
病室を出た後も、嘘の罪悪感は加速していく
また逃げようにも、再び失敗してしまえばきっと言い訳はできない
死ぬより辛い苦しみというのは、まさにこの瞬間のことなのだろう
明日、どうしよう。
誰もいない部屋で、私はそっと呟いた
コメント
3件
ああ……この第8話、読んでいて胸がぎゅっとなりました。タイトルの「ティラミスを召し上がれ」の甘さとは真逆の、重くて切ない展開ですね。 「私一人の重さじゃない」の一文が特に印象的でした。ここねの身体にkyの想いまでも乗っているような、そんな重みを感じました。飛び降りた先にマットがあったという皮肉な偶然も、生き延びた先の「明日、どうしよう」という呟きも、救いがないようでいて、でもまだ続きがあるからこその痛みです。 この先、ここねがどう変わっていくのか、見届けたい気持ちでいっぱいになりました。続きを心待ちにしています。
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