保「……」
これで、いい。
これでええんや。
鳴海さん。僕があなたを意識しすぎて、あなたにもその気持ちが移ったんやと思います。
きっと錯覚です。
その気持ちは、僕に向けるもんやない。
保(これで、僕も諦められるやろ)
鳴「保科」
保「なんですか?」
鳴「ボクは頑固なんだ」
保「…はぁ、?」
鳴「1度フラれたくらいで諦めないぞ」
そう伝えると、
保科はいつも閉じている(本人からしたら開いてるらしい)目を見開いて驚いたような顔をした。
さっき泣いていたこともあり、少し赤い目尻と濡れたまつ毛が柘榴(ざくろ)のような瞳をさらに輝かせる。
鳴(やっぱり綺麗な色だ)
数秒間見つめ合う形で目線を絡ませていたら
相手の方から目線が逸らされた。
保「…そこまでして手に入れてもいい事なんてありませんよ」
鳴「好きなやつの特別になれるんだぞ?それだけで十分いい事だ」
保「….」
鳴「好きじゃないなら好きにさせればいい」
鳴「こう見えてボクは一途だからな」
どこからそんな自信が湧いてくるのか、
見知ったドヤ顔と見透かしたような瞳、
違うゲームに目移りばっかやのに…
まぁ、ゲームというものには一途やな
でもそれとこれは話が違うんよ。
僕の本性を知ったら、きっとあなたは幻滅するでしょう。
知らぬが吉、ですよ。
2度目のチャンス、あなたにあげました。
3度目はありません。
逃げる道を切り開いてあげたんです。
なんで、こっちに来るんですか
あなたの知っている僕は、いい人を演じている僕です。
あなたの好きになった人は、僕じゃない。
保「…変な人」
鳴「なんとでも言え」
鳴「ほら、手握ってやるからさっさと寝ろ」
保「もう熱下がってますし必要ないですよ」
鳴「ボクが握りたいんだ」
鳴「悪いか?」
保「…性格、悪いですよ」
鳴「お前よりはマシだと思うがな」
ーーー
保(あの夢が、現実になればいいのに)
神様は、僕の願いを聞いてくれないんですね
コメント
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続き待ってます!!