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「……へぇ、お前が合衆国ってやつか」
海の合唱を遮るように、別の誰かの声が聞こえてきた。後ろから聞こえるその声の主を見ようと振り返ると……今まであってきたやつの中で少し背が高く、目の奥から生気や野望といった物を感じられない人物がいた。
「ん?……あなたは……?」
少し困惑したかと思えば、何かを思い出し自己紹介をした。
「ん?ああ、俺達初対面だったな……俺は東ロシア連邦だ。」
「東ロシア……?聞いたことも無いな……」
初めて聞く彼の名前に不思議そうな顔をしている合衆国を見た東ロシアは軽めに彼が元あった「姿」について話した。海の波が行き来している浜辺、砂から出てくる小さなカニが歩く音、その音の中で二人は海の周りを歩いてある場所まで向かっていった。
「どこへ行くんだ?」
「まあ着いてこい」
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第二次世界大戦中のソビエト連邦は、ナチスの軍事技術や環境対策という予期もしなかった事があったゆえ、いとも簡単に攻め込まれモスクワまで行き届いた所で降伏した。そして東側の方では日帝とその他の占領地の国々の軍隊を使って、いとも簡単に侵攻され……ソ連は崩壊した。そこからナチスと日帝が衝突し、一時第二次世界大戦よりも規模が大きい戦争が起きるだろうと、周辺が緊張していた中日帝とナチスは和解した。理由は、北ユーラシア大陸にそれといった資源や環境が極寒であるためとされている……
南北アメリカ大陸侵攻前、ナチスと日帝はソ連を西と東に分割し、お互いにいる共産主義者を全員処刑・拷問を行い、今現在もその調査を行っている……
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東ロシアの話を聞いた合衆国は、記憶の奥底から「ソ連」という人物について僅かながらの人物像が浮かび上がった。ソ連について一時警戒していた頃……枢軸の対応についてどうするか話し合った事……経験したことが無い過去のことが頭の中で渦巻きながら映し出される……
「……お前やっぱりあいつなのか?」
「え?……なんの事?」
「……いや、なんでもない……着いたぞ」
着いたその場所は、綺麗な海とはかけ離れた森の中……その唯一陽の光が入ってくる「森の穴」までやってきた。歩いている最中に、黒く染った土、木の根元にある銃痕らしき傷、人型のような黒い模様……など森に無いものがそこにはあった。
「ここは、俺には関係ないアジアの戦争だが……昔、日帝と争って負けた記憶がある森だ。」
「え……あの日帝さんと……?」
「ああ……んで負けて分割された俺は敵のスパイの役割を与えられた。てっきり拷問とか処刑とかされると思ってたら……こうだとはな」
かつて戦ってきたあの森の風景が映像のように目の前で描かれる……見渡す限りの血の海、黒い煙、仲間たちの叫び声……今自分生きてるのが不思議なくらいと思っていると、不意に目から僅かながらの涙が出てきた……
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一方、大ナチス帝国はナチスの頼みで牢屋にいるある人物の元へ行って事情聴取をしに行った。地下にある牢屋には白骨化した遺体や腐りかけて内臓が出ている遺体もあった。気味悪がりながらも、その人物が居る牢屋まで行った……
その場所について、声をかけると……
「……ナチスではないんだな……もしかしてお前……」
「アメリカか?」
続く
コメント
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はい、めちゃめちゃ好きです投稿してくださりありがとうございます!